41 / 44
第四十一話 ひきこもり、驚愕の事実を知る
しおりを挟む
「落ち着いたみたいなので、もう一度自己紹介する。俺の名前はイマイズミ マコトだ」
クララを見据えながら、俺は名乗る。
「イマ……イスミ……マコト」
彼女はズの発音を上手く出来ないらしい……。
「マコトと呼んでくれれば問題ない」
「私はロード・ロロ・クララ、クララと呼んで下さい」
そう名乗り、彼女は丁寧にお辞儀した。その姿を見た俺は、彼女が高貴な身分ではないかと感じ取った。
「クララも沢山聞きたいことがあると思うが、まずは俺から幾つか質問をさせてくれ」
俺はできるだけ優しい口調で、クララに言った。
「うん……」
その言葉に対し、こくりと頷き返してきた。
「まずはクララがどうしてこの地に来たのか教えて欲しい」
「この土地がアースというのが前提で話させて貰うわね……。私はエルフの国、オリンピア皇国の出身なの。同盟国のバルザ王国に裏切られ、属国にされてしまい、私は実験道具としてバルザ王国に連れて行かれたの……。そこでアースという異世界に、人間どもが安全に転移するための、実験体の役割を負わされてしまった」
彼女はぽつぽつと語り始め、次第に熱がこもる……。
「その言葉を信じるとして、クララがこの地に無事に着いたかどうか、どうして分かるんだ?」
クララの目をもう一度見据えながら、続きを促した。
「私は奴らにとって実験用の動物に過ぎなかったわ……。この転移実験に関する情報なんて殆ど知らされていないの……。ただ、最初はこの実験で集められた相当数の魔人やエルフが、バルザ王国によって殺された……。エルフは魔人と違い、人間に近いので奴らにとって、扱いやすい実験道具だったの 」
その話を聞いて、俺は思わずゴクリと唾を飲み込んだ……。
「酷い話しだな……。この地でゴブリンが居たのも、その転移魔法の実験動物だったのか?」
「その可能性が高いわ」
クララがきっぱりとした声で答える。
「私に掛けられた転移魔法によって身体に大きな負荷がかかり、アースに着いたときは、半死半生に近かった……。なんとか回復魔法を絞り出し、身体を癒すことが出来たので助かったの。たぶんアースに無事に着いたとて、殆どの実験体が生き残っているとは思えない……」
「こちらの世界で、魔人やエルフが死体で見つかったという話しは全く聞かないので、かなり謎が残るな」
俺は気になった疑問をぶつけてみた。
「普通の転移魔法と違って、全く違う世界に扉を開くのに膨大な魔石を使っているとすれば、アースに人間を送る実験は少なかったのかもしれないわ。それに魔人やエルフは死ねば魔石しか残らないので、この世界で死体で発見されることは無いはずよ」
「魔石を集めるために、エルフや魔人が殺されたと……」
俺は心底から嫌そうな顔になる。
「力の弱い魔人と比較するなら、私たちの魔石はかなり魔力を秘めた石だと言えるわね。石が欲しいからといって、エルフを虐殺したとは考えたくないけど……」
クララはそう言って、顔を苦しげに、しかめてみせた。
「クララの口から、そこまで言わせてしまって悪かった……」
そう謝罪する俺に、クララは首を横に振るう。
「謝る必要は無い……私も聞きたいことが沢山あるし……。まず確認したいことは、ここはアースなのかしら?」
一呼吸置いた後に、今度は彼女の質問が始まった。
「ここはバルザ王国が狙っているアースに間違いない。ただし、アース全体から見れば、ちっぽけな島国だ。この地は国名で言うと、ニッポンと呼ばれている」
そう言って、俺はスマホで世界地図を開き、地球の大きさと国の数を伝えると彼女は絶句した。
「疑いたくはないけど、マコトはどうして私たちのことを知っているのかしら?」
クララがためらいがちに聞いてきた。
「俺の友人がバルザ王国から帰還して、現状を教えてくれたと言うしかない」
「信じて良いのかしら……」
「君を騙して、こちらが得る物なんて無いと思うけどね……」
俺は少々皮肉を込めて答える。
「ご免なさい……助けて貰ったのに、失礼な物言いだったわ」
クララは。ばつが悪そうな顔で謝罪してきた。
俺は帰りのバスを待っている間、クララの疑問に答え続ける事になった――
クララを見据えながら、俺は名乗る。
「イマ……イスミ……マコト」
彼女はズの発音を上手く出来ないらしい……。
「マコトと呼んでくれれば問題ない」
「私はロード・ロロ・クララ、クララと呼んで下さい」
そう名乗り、彼女は丁寧にお辞儀した。その姿を見た俺は、彼女が高貴な身分ではないかと感じ取った。
「クララも沢山聞きたいことがあると思うが、まずは俺から幾つか質問をさせてくれ」
俺はできるだけ優しい口調で、クララに言った。
「うん……」
その言葉に対し、こくりと頷き返してきた。
「まずはクララがどうしてこの地に来たのか教えて欲しい」
「この土地がアースというのが前提で話させて貰うわね……。私はエルフの国、オリンピア皇国の出身なの。同盟国のバルザ王国に裏切られ、属国にされてしまい、私は実験道具としてバルザ王国に連れて行かれたの……。そこでアースという異世界に、人間どもが安全に転移するための、実験体の役割を負わされてしまった」
彼女はぽつぽつと語り始め、次第に熱がこもる……。
「その言葉を信じるとして、クララがこの地に無事に着いたかどうか、どうして分かるんだ?」
クララの目をもう一度見据えながら、続きを促した。
「私は奴らにとって実験用の動物に過ぎなかったわ……。この転移実験に関する情報なんて殆ど知らされていないの……。ただ、最初はこの実験で集められた相当数の魔人やエルフが、バルザ王国によって殺された……。エルフは魔人と違い、人間に近いので奴らにとって、扱いやすい実験道具だったの 」
その話を聞いて、俺は思わずゴクリと唾を飲み込んだ……。
「酷い話しだな……。この地でゴブリンが居たのも、その転移魔法の実験動物だったのか?」
「その可能性が高いわ」
クララがきっぱりとした声で答える。
「私に掛けられた転移魔法によって身体に大きな負荷がかかり、アースに着いたときは、半死半生に近かった……。なんとか回復魔法を絞り出し、身体を癒すことが出来たので助かったの。たぶんアースに無事に着いたとて、殆どの実験体が生き残っているとは思えない……」
「こちらの世界で、魔人やエルフが死体で見つかったという話しは全く聞かないので、かなり謎が残るな」
俺は気になった疑問をぶつけてみた。
「普通の転移魔法と違って、全く違う世界に扉を開くのに膨大な魔石を使っているとすれば、アースに人間を送る実験は少なかったのかもしれないわ。それに魔人やエルフは死ねば魔石しか残らないので、この世界で死体で発見されることは無いはずよ」
「魔石を集めるために、エルフや魔人が殺されたと……」
俺は心底から嫌そうな顔になる。
「力の弱い魔人と比較するなら、私たちの魔石はかなり魔力を秘めた石だと言えるわね。石が欲しいからといって、エルフを虐殺したとは考えたくないけど……」
クララはそう言って、顔を苦しげに、しかめてみせた。
「クララの口から、そこまで言わせてしまって悪かった……」
そう謝罪する俺に、クララは首を横に振るう。
「謝る必要は無い……私も聞きたいことが沢山あるし……。まず確認したいことは、ここはアースなのかしら?」
一呼吸置いた後に、今度は彼女の質問が始まった。
「ここはバルザ王国が狙っているアースに間違いない。ただし、アース全体から見れば、ちっぽけな島国だ。この地は国名で言うと、ニッポンと呼ばれている」
そう言って、俺はスマホで世界地図を開き、地球の大きさと国の数を伝えると彼女は絶句した。
「疑いたくはないけど、マコトはどうして私たちのことを知っているのかしら?」
クララがためらいがちに聞いてきた。
「俺の友人がバルザ王国から帰還して、現状を教えてくれたと言うしかない」
「信じて良いのかしら……」
「君を騙して、こちらが得る物なんて無いと思うけどね……」
俺は少々皮肉を込めて答える。
「ご免なさい……助けて貰ったのに、失礼な物言いだったわ」
クララは。ばつが悪そうな顔で謝罪してきた。
俺は帰りのバスを待っている間、クララの疑問に答え続ける事になった――
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!
よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる