勇者の友人はひきこもり

山鳥うずら

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第四十一話 ひきこもり、驚愕の事実を知る

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「落ち着いたみたいなので、もう一度自己紹介する。俺の名前はイマイズミ マコトだ」

 クララを見据えながら、俺は名乗る。

「イマ……イスミ……マコト」

 彼女はズの発音を上手く出来ないらしい……。

「マコトと呼んでくれれば問題ない」

「私はロード・ロロ・クララ、クララと呼んで下さい」

 そう名乗り、彼女は丁寧にお辞儀した。その姿を見た俺は、彼女が高貴な身分ではないかと感じ取った。

「クララも沢山聞きたいことがあると思うが、まずは俺から幾つか質問をさせてくれ」

 俺はできるだけ優しい口調で、クララに言った。

「うん……」

 その言葉に対し、こくりと頷き返してきた。

「まずはクララがどうしてこの地に来たのか教えて欲しい」

「この土地がアースというのが前提で話させて貰うわね……。私はエルフの国、オリンピア皇国の出身なの。同盟国のバルザ王国に裏切られ、属国にされてしまい、私は実験道具としてバルザ王国に連れて行かれたの……。そこでアースという異世界に、人間どもが安全に転移するための、実験体の役割を負わされてしまった」

 彼女はぽつぽつと語り始め、次第に熱がこもる……。

「その言葉を信じるとして、クララがこの地に無事に着いたかどうか、どうして分かるんだ?」

 クララの目をもう一度見据えながら、続きを促した。

「私は奴らにとって実験用の動物に過ぎなかったわ……。この転移実験に関する情報なんて殆ど知らされていないの……。ただ、最初はこの実験で集められた相当数の魔人やエルフが、バルザ王国によって殺された……。エルフは魔人と違い、人間に近いので奴らにとって、扱いやすい実験道具おもちゃだったの 」

 その話を聞いて、俺は思わずゴクリと唾を飲み込んだ……。

「酷い話しだな……。この地でゴブリンが居たのも、その転移魔法の実験動物だったのか?」

「その可能性が高いわ」

 クララがきっぱりとした声で答える。

「私に掛けられた転移魔法によって身体に大きな負荷がかかり、アースに着いたときは、半死半生に近かった……。なんとか回復魔法を絞り出し、身体を癒すことが出来たので助かったの。たぶんアースに無事に着いたとて、殆どの実験体が生き残っているとは思えない……」

「こちらの世界で、魔人やエルフが死体で見つかったという話しは全く聞かないので、かなり謎が残るな」

 俺は気になった疑問をぶつけてみた。

「普通の転移魔法と違って、全く違う世界に扉を開くのに膨大な魔石を使っているとすれば、アースに人間を送る実験は少なかったのかもしれないわ。それに魔人やエルフは死ねば魔石しか残らないので、この世界で死体で発見されることは無いはずよ」

「魔石を集めるために、エルフや魔人が殺されたと……」

 俺は心底から嫌そうな顔になる。

「力の弱い魔人と比較するなら、私たちの魔石はかなり魔力を秘めた石だと言えるわね。石が欲しいからといって、エルフを虐殺したとは考えたくないけど……」

 クララはそう言って、顔を苦しげに、しかめてみせた。

「クララの口から、そこまで言わせてしまって悪かった……」

 そう謝罪する俺に、クララは首を横に振るう。

「謝る必要は無い……私も聞きたいことが沢山あるし……。まず確認したいことは、ここはアースなのかしら?」

 一呼吸置いた後に、今度は彼女の質問が始まった。

「ここはバルザ王国が狙っているアースに間違いない。ただし、アース全体から見れば、ちっぽけな島国だ。この地は国名で言うと、ニッポンと呼ばれている」

 そう言って、俺はスマホで世界地図を開き、地球の大きさと国の数を伝えると彼女は絶句した。

「疑いたくはないけど、マコトはどうして私たちのことを知っているのかしら?」

 クララがためらいがちに聞いてきた。

「俺の友人がバルザ王国から帰還して、現状を教えてくれたと言うしかない」

「信じて良いのかしら……」

「君を騙して、こちらが得る物なんて無いと思うけどね……」

 俺は少々皮肉を込めて答える。

「ご免なさい……助けて貰ったのに、失礼な物言いだったわ」

 クララは。ばつが悪そうな顔で謝罪してきた。

 俺は帰りのバスを待っている間、クララの疑問に答え続ける事になった――
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