非日常な日常を送る保護猫カフェ

せん猫

文字の大きさ
6 / 25

国王様からの呼び出し

しおりを挟む
 ある日、保護猫カフェに手紙が届けられた。差出人はこの国の王様からだ。

 多種多様な種族の国を一代で築き上げた凄腕の国王。

 そして私と同じ日本人。

 そう。

 同じ日本からの転移者がいるのだ。

 その人からの手紙の内容は……。

【オーナーの元井紬(もといつむぎ)殿にお城へと来てほしい】

 というものだった。

 この国に来たときにとても親身になって良くしてくれたのでその恩義はある。

「はぁ……仕方ない行ってくるよナナさん」

「国王様からのお声掛けなのに浮かない感じですね」

「うん。実は苦手なのよねあの方……」

「苦手……ですか……?」

 ナナさんは不思議そうな顔をしていた。

 特にこの国の住民にとってあの国王は神様に近い存在なのだから。

 しかも私と国王は日本の同郷人でもある。

 そんな人を苦手と言うのだから不思議なのは仕方ない。




 次のお休みの日にお城へ出向いた。

 お城はいたって普通の外観。洋風のお城。

 そういえば街全体も古いヨーロッパという感じの建物ばかり。もともとあった小国の国王が国をまるごと譲りその後、今の形の国へと急成長したらしい。

「保護猫カフェ紬様がお見えになりました」

 謁見室へ案内をされる。

「こんにちは。国王様。本日はお呼びいただき誠にありがとうございます」

「なにそんな固い挨拶してんの! つむぎちゃん! いらっしゃーい」

 これがこの国の王様。見た目はイケオジだが軽い感じでどうにも受け入れがたい。

「周りに人がいる以上ちゃんとTPOくらいはわきまえます」

「まぁたしかにね。さすがだね。で、要件なんだけどさ。んっとね、まずこれ見てくんない?」

 そう言うとスマホを見せてきた。そこには一匹の子猫の姿があった。首輪がついている。

 ちなみになぜか彼はスマホを持っている。ネットには繋がらないがカメラ機能などのアプリは生きているらしい。しかも充電フリー。なんともご都合アイテムだ。転移する際に身の回りのものが添付でもされるのだろうか?

「この子が庭に住み着いちゃってさ。お城の人たちに聞いてもわからないって言うし。だ、か、ら。つむぎちゃんの力を借りたいなって」

「うちのお店に迷い猫として貼り紙を掲示したいですがイラストの方がわかりやすいですね」

「たしかにイラストだとわかりやすいよね。とりあえず、うちの画家ちゃんに相談するね。あ、猫ちゃんはこのままお城の庭でお世話を続けるから安心してね。じゃあ、これから公務があるからよろしくね!」

 そう言い残すと彼は部屋を出ていってしまった。補佐の方と二人きりになってしまったので少し雑談をしてお城をあとにした。




 数日後、お城から使いの方がみえて、絵が完成したので取りに来てほしいと言われた。使いの方に付き添われて指定された場所に着くと一人の女性と魂が抜けた感じの国王が待っていた。

「お待ちしておりました」

 そう言うと彼女は丁寧に頭を下げた。

「お初にお目にかかります。私は画家のステラと申します。以後お見知り置きを」

 そう自己紹介をする彼女はとても美しい。美人で画家をしているなんて羨ましい限り。絵が上手く書ければなぁ。

 しかし隣にいる国王はどうして疲れているのか気になった。訳を尋ねると画家ステラさんの指導の下で何度も何度も書きなおし、国王が自ら迷い猫の貼り紙を書いたらしい。

「では、こちらが猫ちゃんの貼り紙になります」

 ステラさんから渡された絵を見てみる。そこに描かれていたのはとても可愛らしく、特徴を捉えていて、写真と代わり映えしない絵だった。

「すごい上手じゃないですか! これならすぐ見つかりますよ」

「よかった。頑張って書いたかいがあったよ。ならこれよろしくね。猫ちゃんはうちでお世話続けるよ」

 貼り紙を受け取ると早速お店に掲示した。すぐ飼い主さんは見つかり、その猫ちゃんは飼い主さんの元へ帰っていった。国王の書いた貼り紙とともに。

 何事にも真っ直ぐで素直な彼だからこそ様々な種族を受け入れる国を作れたんだと思う。

 この国には様々な種族が住んでいるのだけどもちろん猫の獣人族もいる。

 普通の猫も暮らしている。

 猫をはじめ動物はとても大事にされている ( 人もだけど ) 

 そしてこの国は猫の妖精ケット・シーによって守られている。

 国王は大の猫好き。猫好きとコミュニケーションの高さ、それにスマホという謎のマジックアイテムを持っていたことであれよあれよと言う間に国王になってしまったという話も聞いたことがある。

 そのおかげでうちのお店を普通に営業させてもらえることになったんです。

 ★登場人物

 国王:紬と同じ日本人。ネットに繋がらないスマホを持っている。ケット・シーの加護持ち。

 ステラ:王国お抱えの画家。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』

宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?

『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。 国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。 でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。 これってもしかして【動物スキル?】 笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

処理中です...