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迷い猫の飼い主さん
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今日は休日。猫たちのお世話を終わらせて一段落。
「たまの休みだしゆっくりしようかな」
そう思ってコーヒーを飲み始めた時、ドアを叩く音がした。
「はーい」
鍵を開け扉を開けるとそこには一人の少女が立っていた。
「こんにちは。お休みのところごめんなさい」
「こんにちは。あ、先日の迷い猫の飼い主さんですね」
この子は国王が保護した猫の飼い主さん。
張り紙を出したあとにタイミングよく来店されたのだけど貼り紙を見るとすぐに出ていってしまった。
あとで侍女の方がお店に来て、この子が貼り紙の迷い猫の飼い主さんで無事に飼うことになったと教えてくれた。
「先日はありがとうございました。貼り紙を見てすぐ飛び出して行ってしまいごめんなさい。すぐにでも迎えにいかなきゃと慌ててしまいました」
「いえいえ。それよりも猫ちゃんが無事におうちへ戻れてよかったです」
「はい。おかげさまで。それでお礼をしたいのですが……」
「いえいえ。お気持ちだけで十分ですよ。私はなにもしていません。むしろお礼なら国王様にしてください」
「国王陛下にはたくさんお礼しました。でも、そのきっかけを作ってくださったのは貴女ですので是非何かさせてください」
そう言って食い下がられる。
「うーん……それではお茶でも飲みながらお話しをするのはいかがでしょうか?」
「はいっ! ありがとうございます」
こうして彼女と話すことが決まった。さっきのコーヒーはあとで飲むとして、テーブルに二人分の紅茶を置く。
「お砂糖とミルクはいりますか?」
「あ、はい。お願いします」
彼女が答えると、ミルクポットと角砂糖の入った瓶とティースプーンを渡す。
「好きな量を入れてくださいね。さて、何から話せばいいのやら」
「あのっ! まず私が名乗らせていただきたいです。私はこの国の王女のミキと言います」
そういえば娘がいると言ってたな……ちなみにあの国王はあんな感じだが年は五十歳くらいらしい。王女に会うのははじめて。
「私はこのお店の店長をしています紬と申します」
「よろしくお願いいたします。紬様」
様付けで呼ばれるのは初めて。ちょっと照れる。
「あれ? 今、王女って……」
「はい……実はあの猫ちゃん、お父様やお城のみんなに内緒で私がお世話をしていた子だったのです。いざ勇気を出して話そうと思ったときに行方がわからなくなってしまい探しに街へ出向いたときにこちらの猫カフェであのチラシを見ました」
「そうだったのですね。王女様とは知らずに大変失礼しました。でもよかったです。無事に見つかって。それで猫ちゃんは飼うことを許してもらえたのでしょうか?」
「はい。なんでもっと早く言わなかったんだと少し叱られました。でもそのおかげでお父様の書いた絵が貰えたのでよかったです。とても気に入ってます」
「大切なものを二つもいただいたのですね。それは大事にしないといけませんね」
「はい! ありがとうございます。それで……、紬様に助けていただいたのでそのお礼に来ました」
「そんなことお気になさらないでください。あ、それなら私に、様をつけず呼んでいただきたいです。あと敬語もできればなしのほうが……」
「そうですか……」
シュンとしてしまった。そんなに名前に様をつけたかったのかな……。
「ほ、ほら、王女様はまだ15歳くらいですよね?妹みたいだからお姉ちゃんみたいな感じでもいいのですが……」
みるみる明るい顔になり。
「本当ですか! ありがとうございます。紬お姉様!」
お姉様になってしまった……。わ
「あと……。私、紬お姉様のお店で働いてみたいんです! お父様にも許可をいただきました! お手紙を預かってきました」
そういって渡される。そこには。
【よろしくね☆】と、だけ書いてあった。
「……はい!?」
思わず声が出る。まさかそんなことを言われるとは思わなかった。流石に王女様を働かせるわけにはいかないでしょ。むしろ私になんの相談もなく……あの人は! 何考えているんだか……。しかし無下に断るのも……。
ちらっと彼女を見るとうるうるした瞳で見つめてくる。これは解答が苦しい……。
どうしたものやら……。
「ありがとう。だけどごめんなさい。今はナナさんがいるから人手は足りているんです。うーん……でもボランティアといって猫のお世話をするお手伝いならあるのですが……。それだったらお願いしたいです」
「本当ですか!? 私、頑張ります!!」
「ありがとう。よろしくお願いいたします。ミキ様」
「様なんて付けないでください。ミキって呼んでください」
「ええと、そういうわけには……。じゃあ……ミキさん」
「さんもよそよそしいです……」
「ミキちゃん……? それじゃぁ明日来ていただいてもよろしいでしょうか?作業のことお教えします」
「はい! わかりました!」
元気よく返事をして帰って行った。本当にボランティアしてもらって大丈夫なのか。
国王に聞いても「うん。よろしくねー」で終わりそうだけど……。
次の日、開店前の時間よりだいぶ早くミキちゃんはやってきた。
「おはようございます」
「あら、早いですね」
「えへへ、楽しみすぎて早く起きちゃいました」
「ふふ、そうでしたか」
「そういえばナナさんはまだいないんですね」
「用事があるみたいなので、もう少ししたら来るはずです」
「そうなんですね」
「とりあえず簡単にお店のことを説明しますね。といってもそこまで難しいことはしてないのですが」
「はい」
「基本は猫の世話がメインになります。身の回りのことやブラッシングとか遊び相手にもなっていただければと思います。あとどうしても忙しいときにはお客様の案内もお願いしてもよろしいでしょうか?」
「はいっ! 精一杯努めさせていただきます」
「ありがとうございます。なにかわからないことがあれば私かナナさんに聞いてください」
「はい! わかりました」
「よし、では早速お仕事をはじめましょう」
ミキちゃんは飲み込みが早く。猫たちともあっという間に仲良くなった。お気に入りはハンちゃんみたい。鳴き声が独特でかわいいとのこと。
たしかにこの子は「ヒャーー」と鳴く。かなりか細い。頭をゴッツンコするのも好きで特にごはん前はアピールが激しい。こちらをガン見してくる。それがハマってしまったらしい。
★登場人物
ミキ:王女。国王が保護した猫の飼い主さん。保護猫カフェのボランティア。
「たまの休みだしゆっくりしようかな」
そう思ってコーヒーを飲み始めた時、ドアを叩く音がした。
「はーい」
鍵を開け扉を開けるとそこには一人の少女が立っていた。
「こんにちは。お休みのところごめんなさい」
「こんにちは。あ、先日の迷い猫の飼い主さんですね」
この子は国王が保護した猫の飼い主さん。
張り紙を出したあとにタイミングよく来店されたのだけど貼り紙を見るとすぐに出ていってしまった。
あとで侍女の方がお店に来て、この子が貼り紙の迷い猫の飼い主さんで無事に飼うことになったと教えてくれた。
「先日はありがとうございました。貼り紙を見てすぐ飛び出して行ってしまいごめんなさい。すぐにでも迎えにいかなきゃと慌ててしまいました」
「いえいえ。それよりも猫ちゃんが無事におうちへ戻れてよかったです」
「はい。おかげさまで。それでお礼をしたいのですが……」
「いえいえ。お気持ちだけで十分ですよ。私はなにもしていません。むしろお礼なら国王様にしてください」
「国王陛下にはたくさんお礼しました。でも、そのきっかけを作ってくださったのは貴女ですので是非何かさせてください」
そう言って食い下がられる。
「うーん……それではお茶でも飲みながらお話しをするのはいかがでしょうか?」
「はいっ! ありがとうございます」
こうして彼女と話すことが決まった。さっきのコーヒーはあとで飲むとして、テーブルに二人分の紅茶を置く。
「お砂糖とミルクはいりますか?」
「あ、はい。お願いします」
彼女が答えると、ミルクポットと角砂糖の入った瓶とティースプーンを渡す。
「好きな量を入れてくださいね。さて、何から話せばいいのやら」
「あのっ! まず私が名乗らせていただきたいです。私はこの国の王女のミキと言います」
そういえば娘がいると言ってたな……ちなみにあの国王はあんな感じだが年は五十歳くらいらしい。王女に会うのははじめて。
「私はこのお店の店長をしています紬と申します」
「よろしくお願いいたします。紬様」
様付けで呼ばれるのは初めて。ちょっと照れる。
「あれ? 今、王女って……」
「はい……実はあの猫ちゃん、お父様やお城のみんなに内緒で私がお世話をしていた子だったのです。いざ勇気を出して話そうと思ったときに行方がわからなくなってしまい探しに街へ出向いたときにこちらの猫カフェであのチラシを見ました」
「そうだったのですね。王女様とは知らずに大変失礼しました。でもよかったです。無事に見つかって。それで猫ちゃんは飼うことを許してもらえたのでしょうか?」
「はい。なんでもっと早く言わなかったんだと少し叱られました。でもそのおかげでお父様の書いた絵が貰えたのでよかったです。とても気に入ってます」
「大切なものを二つもいただいたのですね。それは大事にしないといけませんね」
「はい! ありがとうございます。それで……、紬様に助けていただいたのでそのお礼に来ました」
「そんなことお気になさらないでください。あ、それなら私に、様をつけず呼んでいただきたいです。あと敬語もできればなしのほうが……」
「そうですか……」
シュンとしてしまった。そんなに名前に様をつけたかったのかな……。
「ほ、ほら、王女様はまだ15歳くらいですよね?妹みたいだからお姉ちゃんみたいな感じでもいいのですが……」
みるみる明るい顔になり。
「本当ですか! ありがとうございます。紬お姉様!」
お姉様になってしまった……。わ
「あと……。私、紬お姉様のお店で働いてみたいんです! お父様にも許可をいただきました! お手紙を預かってきました」
そういって渡される。そこには。
【よろしくね☆】と、だけ書いてあった。
「……はい!?」
思わず声が出る。まさかそんなことを言われるとは思わなかった。流石に王女様を働かせるわけにはいかないでしょ。むしろ私になんの相談もなく……あの人は! 何考えているんだか……。しかし無下に断るのも……。
ちらっと彼女を見るとうるうるした瞳で見つめてくる。これは解答が苦しい……。
どうしたものやら……。
「ありがとう。だけどごめんなさい。今はナナさんがいるから人手は足りているんです。うーん……でもボランティアといって猫のお世話をするお手伝いならあるのですが……。それだったらお願いしたいです」
「本当ですか!? 私、頑張ります!!」
「ありがとう。よろしくお願いいたします。ミキ様」
「様なんて付けないでください。ミキって呼んでください」
「ええと、そういうわけには……。じゃあ……ミキさん」
「さんもよそよそしいです……」
「ミキちゃん……? それじゃぁ明日来ていただいてもよろしいでしょうか?作業のことお教えします」
「はい! わかりました!」
元気よく返事をして帰って行った。本当にボランティアしてもらって大丈夫なのか。
国王に聞いても「うん。よろしくねー」で終わりそうだけど……。
次の日、開店前の時間よりだいぶ早くミキちゃんはやってきた。
「おはようございます」
「あら、早いですね」
「えへへ、楽しみすぎて早く起きちゃいました」
「ふふ、そうでしたか」
「そういえばナナさんはまだいないんですね」
「用事があるみたいなので、もう少ししたら来るはずです」
「そうなんですね」
「とりあえず簡単にお店のことを説明しますね。といってもそこまで難しいことはしてないのですが」
「はい」
「基本は猫の世話がメインになります。身の回りのことやブラッシングとか遊び相手にもなっていただければと思います。あとどうしても忙しいときにはお客様の案内もお願いしてもよろしいでしょうか?」
「はいっ! 精一杯努めさせていただきます」
「ありがとうございます。なにかわからないことがあれば私かナナさんに聞いてください」
「はい! わかりました」
「よし、では早速お仕事をはじめましょう」
ミキちゃんは飲み込みが早く。猫たちともあっという間に仲良くなった。お気に入りはハンちゃんみたい。鳴き声が独特でかわいいとのこと。
たしかにこの子は「ヒャーー」と鳴く。かなりか細い。頭をゴッツンコするのも好きで特にごはん前はアピールが激しい。こちらをガン見してくる。それがハマってしまったらしい。
★登場人物
ミキ:王女。国王が保護した猫の飼い主さん。保護猫カフェのボランティア。
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