非日常な日常を送る保護猫カフェ

せん猫

文字の大きさ
8 / 25

多種族な世界

しおりを挟む
 猫のタムがお客様の膝でゴロゴロしている。

 タムはかなりの甘えん坊。

 猫トイレを掃除を始める前に必ずだっこの要求をしてくる。

 普段から膝に乗ってくることが多い。

 その甘えっぷりはお客様に対しても同じ。


 しかし今日のお客様は鳥みたいな翼がある有翼族。

 鳥と猫の関係に思えるので少し心配。

 ちなみに、この世界で種族の壁はほとんどない。

 特にこの国はなおさら。

 色々な種族の方が居て、たくさんの方が住んでいる。

 珍しい種族もいる。

 特に彼女は手の代わりに翼が生えている。

 不便ではないとのことだけど。

 はじめての来店時はとても心配でお店の猫たちが襲わないかと思い、失礼ながら確認をした。

 彼女は大丈夫ですよと言い猫エリアへ入る。

 そして慣れた様子で猫と接していた。

「あの……猫はなんともないんでしょうか……?」

「はい。全然大丈夫です。周りからも心配されるのですが私は一度も襲われたことがないんですよ」

「心配をしすぎましたね。ごめんなさい。ゆっくり楽しんでくださいね」

「はい。ありがとうございます」

 よかったよかった。

 しかし……いま"私は"と言っていたような……?

 少し気になったがこれ以上触れてはいけない気がしたので聞かないことにした。

 彼女はとても満足してもらえたようでまた来ます。と言ってくれた。

 他種族の方への猫たちの反応も気になる……。




「オーナーお疲れさまです」

「ナナさん。おつかれさまです」

「お客さんたくさん来てくれたわね」

「そうですね。みなさま可愛らしい猫ちゃんたちに夢中になってました」

「ふふ、そうね。お客様はみんな帰られたし今日はおしまいにしましょうか」

「はい」

 猫のお世話をして閉店作業をして二人でお店の裏にある自宅へ向かう。扉をあけると声をかけられた。

「紬さん、ナナさん、お食事の用意ができています」

 声をかけてきたのは住み込みで家事などをしてくれているシルフィ。ブラウニーと呼ばれる精霊。

 この家にずっと昔からここに住んでいる。家事をするのが得意で住むかわりに奉仕するらしい。

 たまに銀貨をあげるようにしている。

 理由は知らないけど大家さんに言われたのでそうしている。

「いつもありがとうね」

「いえ。これが私の仕事ですし、ここに住んでいる理由ですから」

 と次の家事へ向かっていってしまった。

 ナナさんと食卓につく。

 彼女は魔法生命体だが形式上ごはんを食べることができる。

 なのでなるべく一緒に食べることにしている。

「そういえばナナさん。今日のお客様。有翼族? というのかしら?この国には様々な種族がいるよね?」

「ええ。そうですね。多種多様で私にもどれだけの種族がいるかまでは把握できておりません。有翼族、エルフ、ドワーフ、獣人。これは猫科や犬科など細かく分かれますね」


「獣人族も細かく分かれているんですね」

「はい。あとはシルフィさんのような精霊もいますし、ケット・シー様も精霊ですね。私のような魔法生命体もいますし、もちろん人もいますね。そうそうドラゴンなど大型の種族は人型になっている方もいらっしゃいますね。スライムなども人型になりますね」 

「たくさん……。王宮にも勤めているから多いですよね。国王は本当に偏見差別ない人だよね。色々な方と知り合ってみたいな……。あ、そういえば有翼族の方。鳥みたいな感覚なんだけど猫に慣れてたよね」

「そうですね。少しドキドキしてみていました」

「ナナさんもなのね。どうなのかなと思ったけど、あれだけ触れ合えるなんて本当に不思議。うちの子たちを引き取りたい気持ちはあったみたいだけど家族が絶対無理だから。って諦めてたわね。仕方ないと思うけど」

「そうですね。彼女はよくてもご家族が襲われる可能性がありますからね」

「ですね。彼女にはぜひ常連になっていただけると嬉しいですね」

 そういうとナナさんは足もとに来ていたロコを抱き上げる。

 うちには日本からきた猫と、この国で保護した猫を数匹飼っている。

 ちなみに私の膝の上にはカルシファーとポン太が乗っている。ふたりとも大きなキジトラ猫。

 重度の甘えん坊でいつも乗ってくるのだけどとにかく重い。

 寝ているときに布団の上、胸のあたりに乗るので死にそうになることがある。

 このふたりは仲がいいので思いのだけ我慢すれば大丈夫。

 あやめやふーちゃん子たちは独占欲が強く自分が乗っているときに他の子がくると猫パンチを出す。

 威嚇のように大声を出しながら。

 こっちも殴られるし声の大きさに心臓も悪いのでもうちょっと落ち着いてほしい……。


 しかし、猫を抱いていると眠くなる……。

「だめだ。そろそろ寝る準備するね」

 ナナさんとシルフィにそう告げて猫のお世話と身支度をしてお布団に入ると。


 当然猫たちも集まる。

 今日は無事に寝られますように。

 おやすみなさい。



……。



……。



……。



 ダダダダッ。バリバリッ。


 「アオーン。アオーン」


 ドンッ! ダダダダッ!


 ドスッ! 


 「ぐふっ」



誰が勢いよくおなかに飛び乗った……。

気を失うように猫たちの運動会の音を聞きながら落ちた。





 ★登場人物

 有翼族:猫好き。他の家族は猫に襲われるらしい。

 シルフィ:ブラウニーという精霊。紬の自宅に住んでいる。家事をしてくれる。

 飼い猫:ロコ(ナナさんの飼い猫)、カルシファー、ポン太、あやめ、ふーちゃん
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。 国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。 でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。 これってもしかして【動物スキル?】 笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』

宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

処理中です...