非日常な日常を送る保護猫カフェ

せん猫

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記念日

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 続々とお客様が来店する。
 
 この地でのオープン一周年記念イベントを開催している。

 結局いいアイデアが思い浮かばなくて記念品のクッキーといそがしい中で国王の内藤さんが書いてくれたデンさんのイラストを配ることにした。

「いや……できる限り手伝うと言ったけどさ……これはさすがにきつかったよ……」

 燃え尽きている内藤さん。
 
「本当にありがとうございます。みなさん喜んでいますよ」

 受け取った人たちはみんな大喜び

「こくおうさま。ありがとうーー」

「なんと……国王様自らがお書きになったケット・シー様の絵とな。これは家宝にしなくてはなりませんな」

「ありがたや。ありがたや」

 内藤さんもそれを聞いてニヤニヤとしている。本当は大喜びしたいところだけどそれができないほど疲れている。申し訳ないので先日、お客様にいただいた果物で作った茶を差し出す。

「ありがとう。気が利くね」

「いえ。私が無理にお願いしたことですから……ありがとうございました」

「いいってことよ。みんなの笑顔も見られたし。しかし、このゆず茶?おいしいね」

「ええ。先日、常連のお客様がゆずみたいな果物をくださったのです。南国のお土産だそうです。香りが似ていたので作ってみたのです」

「そうなんだ……なんだか懐かしいな。いやさ、言っていなかったけど。妻がいてね。結婚する前にこれに似たものをよく作ってくれていたんだ」

「内藤さん……」

 しんみりしていると。マリーさんがお店へやってきた。
「紬!一周年おめでとう!お祝いのお花と、これいつものお土産ね。今回は西の国で見つけた猫ちゃん型の……置物……?なんだか足の裏をなでると運気があがるんですって!」

 金色の猫が座って足を前に出している……これって確か大阪のビリ・・さん……いえ、似てるだけよね。

「ありがとうございます。お店に飾りますね」

 ふと、隣にいる美人さんが目に留まる。

「マリーさんそちらの……」

 と、聞こうとしたとき

「おお!マイハニーおかえりー!!!」

「あなた!偶然ね!ただいま帰りましたわ!」

 内藤さんとその女性が熱い抱擁を交わした。この女性が王妃様。先ほどの内藤さんの感じ……なんだったのか。

「あなたが紬ちゃんね。国王やマリーからいつも話を聞いているわ。改めてはじめまして。私は王妃のカイリというの。よろしくね」

「はじめまして。カイリ王妃様。元井紬と申します。よろしくお願いいたします」

「うわさ通りすてきな女性ね。もっとよく知りたいわ。あら?そのお飲み物って」

「あ、はい。お店の常連の方がくださった果実の皮を刻んだものを砂糖で煮詰めてお湯で割ったものです」

「懐かしいわ。結婚する前によく作っていたものに似ているわ。あ、そうだわ。マリー。今度南の国に行くときに紬ちゃんも一緒に行きましょうよ」

「あら。それはいい考えね。ぜひ行きましょう」

 自己紹介から次の旅行の仲間入りまであっという間に進んでしまった。

「紬ちゃんごめんね。この二人いっつも旅行へ行っているんだ。外交やら視察やら兼ねてなんだけどね。ほとんど王宮にもいないから会ったことなかったよね」

「まったく。お母様ったら戻ってきてもこの調子なんだから」

「ミキ!あなたもいたのね。ただいま。いつもありがとうね。あとでお土産渡すわね」

 二人ともカイリ様の旅行癖は諦めて好きなようにやらせているみたい。

「お姉様は私を置いていかないでくださいね」

 ミキちゃんには妙な釘を刺されてしまった。

 しかし南の国は気になる。どんなところだろう?前にみた世界地図では日本の形が大体そのまま世界の形になっている感じだった。

 北極、北側に北海道のような大きな島。その下に横に伸びた本島が半分以上あって九州と四国の島がその残り。南極辺りに沖縄や島々があった。沖縄は南国のイメージだけど南極になるから寒いのかもしれない。ここの世界の南国なら四国っぽい島のあたりかな?
 他国の猫ちゃんはどんな感じなんだろう……会ってみたいなぁ……

「ちょっとお姉様! 聞いていらっしゃるの?」

「ごめんなさい。うん。大丈夫よ。置いていかないわ」

「約束よ!」

「ミキちゃーん?」

カイリ様がミキちゃんをじっと見る。

「紬ちゃんが困っているでしょう?だめよ。大事な人にそんなことを言っていると。飽きられちゃうわよ?」

「はーい。お母様……。ごめんなさい。お姉様」

「ううん。大丈夫よ。お気持ちはとっても嬉しいから」

カイリ様の大事な人という言い方に少し引っかかるものがあったけど……。

そのあともティリさんやヤリさんをはじめ常連のみなさんもきてくださり大いに盛り上がった。

 考えた末に、この世界、この国でお店を続けることにした。日本へは戻れるタイミングあれば戻ってはみたいけどまたこの国へ戻れるかもわからない。ただ、帰る方法は探すことにした。今後、転移してきた人に出会いその人が戻りたいと言ったときに戻してあげられるように。

 ★登場人物

 *カイリ:王妃。マリーとよく旅行に行っている。国内にほとんどいない。
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