魔道を極めた最強賢者は遥か未来の世界でスローライフを謳歌する

烏の人

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ワイバーン

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 冗談じゃない。こんなバケモンと対峙なんて出来るか!!ただの人間だと思ってたけどこいつは相当ヤバイ。
 軽々しく顕現させたこの1本の槍でさえ地上に放てば全生命の活動が等しく塵になるレベル。もう死ぬとかそんな次元の話じゃない。

『だからね?その槍、しまってくれないかなぁ…?』

「死合うんじゃなかったのか?」

『一方的な蹂躙やろがい!』

「まあ、そうなっちまうかもな。」

『魔王でもそんなことにはならんぞ。』

「ほう、魔王ね…。」

『強者を見る目をするんじゃない…怖いから。』

 この男。今生きている生命…いや、有史上間違いなく最強である。

「まあ、君に戦う気がなくなったならいいんだ。」

 そう言うと、その男は槍を消失させる。ひとまずは安心だ。

「それでさっきの話の続きだが、ここに住みたい。構わないか?」

『…人にとっては毒だぞ?この魔素濃度。』

「僕にとってはあまり関係の無いことだ。」

『まあ、構いはしない…。』

 というか出来ない。

「ありがとう。さて、そうしたら………そうだな。ログハウスってのはアリだ。」

 そう言うと彼の周りに魔方陣が構築される。

「まあ、どうせ一人暮らしだし最低限でいい。」

 独り言をぶつぶつ呟きながら、頭の中のイメージを現実にさせている。魔方陣は樹木を産み、それらは徐々に人の家を成すように加工、構築される。
 そうして、物の数分もしない内に何もない開けた土地に一軒の家が立っていた。

「ま、こんなもんでいいだろ。」

 無詠唱でここまで出来ていいわけがない。

『す、すごい…。』

「ん?おまえから見ても、やっぱりすごいか?」

『当たり前でしょ、私はこれでも500年は生きてきたが…こんな芸当は見たことがない。』

「500年前か………なあ、そのおまえが見てきた500年って言うのを教えてくれないか?」

『まあ、いいけど。』

 物好きなんだな、と思いながら500年前を思い出す。
 人々は宗教に陶酔し、奇跡論を現在よりも深く信仰していた。故に考えを押し付け合うような戦争があちらこちらで起こっていた。私が生まれたのはそんな時代の話だ。
 魔物は現在よりも嫌われ、排除されるか或いは信仰の対象として奉られているか。私の生まれた土地は竜信仰の深い場所だった。そこでは私達を守り神として讃えていた。
 だから、私はその時まで自分が竜だと疑わなかった。
 100年は生きたくらいの歳だったろうか?私はその青年と出会う。不思議な青年だった。人間の姿をしながら、私と対等に戦いった。最後に立っていたのは彼のほうであった。
 そいつが教えてくれたんだ。本当の竜属はもういないって。だから私は本当の竜属になれるように力を求めた。

『そうやって私は生きてきたんだ。』

「さらっと出てきたけどその男謎すぎないか?そいつはその後どうなったんだよ?」

『不思議なやつだったからな。フラ~っと現れてその歴史だけ伝えて消えていったよ。』

「歴史って言うと、竜属の滅んだ歴史か?」

『まあ、そんなところだな。むかーし、むかし、地球規模の大変動によって滅びたんだってさ。そう言うわけで今じゃ伝説なんだよ。』

「ほーう。時に、君。イール·マギアの名を知っているか?」

『イール·マギア?知らないけど?』

「なるほど?」

『誰なのさ?そいつ。』

「僕の名前だ。」

『?』

「まあ、気にしなくていい。」

『変なやつだな。』

「そんなのとっくに解ってるだろ?」

 どこか、400年前の青年と似通った雰囲気を纏う彼はログハウスの中に入っていく。本当にここで暮らす気なんだろう。

「ああ、そう言えば。」

 彼は扉を締め切る前で、一度こちらに顔を出す。

「これからも話し相手になってくれるか?」

『え…?』

「いや、ゆっくり暮らしたいとは思っているが何もないのは暇だ。話し相手の一人は欲しい。」

『ま、まあ、私でよければ構わないけど?』

「ありがとう。」

 そう言って、彼は完全に扉を締め切る。

 なにかこう、初めて感じる変な気持ちだ。高揚感とも違う高鳴り。それが身体を駆け巡った。
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