5 / 16
冒険者
しおりを挟む
しばらくして、僕たちは件の川までやって来ていた。
「ここじゃちょっと日当たりが悪いか…。」
『そうなの?』
「ああ、上流の方に行きたいんだが…。」
『どうかしたの?』
「いや、空から探すのもありと言えばアリなのだけど…それだと味気ないしな。」
『味気ないって…早く見つかるに越したことはないんじゃない?』
「そうと言えばそう。だけど、僕は珍しいものが好きだからね。歩いていきたい。」
『変わってるね。』
「さて、そこでだよ。」
『?』
「君、身体大きくない?」
『なっ!?竜なんだから当たり前でしょ!!』
「歩きで行くにはすごく不便だと思わない?」
『まあ歩いていくなら。な、何企んでるの?』
「ずばり、君も人間に成らないか?」
『…はい?』
「要は人間の姿欲しくない?ってこと。案外そっちの方が便利だぞ?」
『べ、別に私はこのままでもいいし!』
「うまい手料理が食えるぞ?」
『うっ…。』
「うっかり尻尾を大木にぶつけるとか無くなるぞ?」
『そ、そんなこと言ったって。』
「雨風にさらされること無く眠れるぞ?」
『………お願いします。』
良かった。懐柔成功だ。実際、こいつと共に行動していたらすごく目立つ。真っ黒なワイバーンとか普通恐怖の対象でしかない。そんなところを人に見られたら………僕は間違いなく人かどうかを怪しまれることになる。まあ、こんな森の中に住んでる時点でヤバイか。
「さて、じゃあ始めよう。」
【変化術式】
その竜の足元に巨大な魔方陣を構築する。
【分解】
その詠唱でまずは竜の身体が光に包まれる。
【再構築】
それと共に今度は人の形へと、姿を変えていく。物の数分とかからない内にそれは終えられた。
その姿に目を奪われる。白い髪に赤い瞳。透き通った肌。
「おお…!」
「お、おう。」
しまったな。
「すごい!すごいな!これ!!」
ぴょんぴょんと跳び跳ねながら喜ぶ彼女。それと共に大きなそれもぶるんぶるん…おっけ、服作ろ。
さて、見繕った今風のそれっぽい簡素な服。
「人間も大変なんだね。」
「他人事だな…。」
「事実そうですし。」
「まあいいさ、とりあえずはな。」
まさかメスだったとは…。いや、声やら口調で判断できたな?僕のミスだ。何より服のことも考えてなかった。これから術式組むに当たってそこも考慮しなくては。にしても...……。
「どうしたの?じろじろこっち見て。」
「いや、わりと顔整ってんなって思って。」
「…へ?」
「どんな声だよ。ほら、さっさと行くぞ?」
「え?ちょ、ちょっと待ってよ!」
そうして、彼女と2人川沿いを歩く散歩道。綺麗だ。水も、草花も...何もかも。待ち望んでいたスローライフと言うやつである。さてさて、ここから例の薬草を見つけれるかどうかだ。そんでもって、家の周辺環境に適応させなければならない。まあ、そこん所はどうにかしよう。
「そう言えばさ、君は名前とか無いんだよな?」
「そうだな。」
「なんて呼んだらいい?」
「ワイバーン?」
「まんま過ぎるし、他の奴と混ざるだろ。」
「えー、じゃあイールが決めてよ。」
ワイバーン…名前…赤い瞳…。
「ルージュ…。」
そう呟いた。
「ルージュ…?」
「別のが良かったか?」
「ううん!ありがとう!!」
そう言って彼女は笑って見せた。心なしか、少し頬が赤くなって見えた。まあ、喜んでくれたなら僕としてもありがたい限りだ。
そうして、川沿いに登り続け数時間。
「無いね。」
「無いな。」
僕らは木陰で休憩をしていた。まあ、あると言う確証はなかったし当然か。
「低木が多くなってるからもうそろそろ見つかってもよさげなんだがな。」
「まあ、そんなに焦らなくてもいいんじゃない?」
そう言うと彼女は僕の肩に頭を預ける。
「まあ、それもそうか。」
しかしどうしたもんかな…どうやって人間らしい生活をしていこう。なんて考えたときだった。
「おい、あんたら!!ここをどこだと思ってるんだ!?」
そちらを向くと、それなりの装備を備えた男女数名から成る集団。さてと、どう乗りきるか。
「じ、実は僕たちは駆け出しの者で…ある薬草を取りに来たんだけどなかなか見つからなくて…紫色の花を咲かせる薬草って生えてないですかね?」
さあ、苦し紛れだがどうだ?
「紫色の花を咲かせる…?ああ、魔力回復薬を作るあの薬草か。それならもう少し上流にある。なんなら、案内しようか?」
よし、乗りきれた上に有益な情報も手に入れることが出来た。
「いいんですか?お願いします!!」
その誘いを断る理由もなく、僕たちはそのパーティに一時的ではあるが加わるのだった。
「ここじゃちょっと日当たりが悪いか…。」
『そうなの?』
「ああ、上流の方に行きたいんだが…。」
『どうかしたの?』
「いや、空から探すのもありと言えばアリなのだけど…それだと味気ないしな。」
『味気ないって…早く見つかるに越したことはないんじゃない?』
「そうと言えばそう。だけど、僕は珍しいものが好きだからね。歩いていきたい。」
『変わってるね。』
「さて、そこでだよ。」
『?』
「君、身体大きくない?」
『なっ!?竜なんだから当たり前でしょ!!』
「歩きで行くにはすごく不便だと思わない?」
『まあ歩いていくなら。な、何企んでるの?』
「ずばり、君も人間に成らないか?」
『…はい?』
「要は人間の姿欲しくない?ってこと。案外そっちの方が便利だぞ?」
『べ、別に私はこのままでもいいし!』
「うまい手料理が食えるぞ?」
『うっ…。』
「うっかり尻尾を大木にぶつけるとか無くなるぞ?」
『そ、そんなこと言ったって。』
「雨風にさらされること無く眠れるぞ?」
『………お願いします。』
良かった。懐柔成功だ。実際、こいつと共に行動していたらすごく目立つ。真っ黒なワイバーンとか普通恐怖の対象でしかない。そんなところを人に見られたら………僕は間違いなく人かどうかを怪しまれることになる。まあ、こんな森の中に住んでる時点でヤバイか。
「さて、じゃあ始めよう。」
【変化術式】
その竜の足元に巨大な魔方陣を構築する。
【分解】
その詠唱でまずは竜の身体が光に包まれる。
【再構築】
それと共に今度は人の形へと、姿を変えていく。物の数分とかからない内にそれは終えられた。
その姿に目を奪われる。白い髪に赤い瞳。透き通った肌。
「おお…!」
「お、おう。」
しまったな。
「すごい!すごいな!これ!!」
ぴょんぴょんと跳び跳ねながら喜ぶ彼女。それと共に大きなそれもぶるんぶるん…おっけ、服作ろ。
さて、見繕った今風のそれっぽい簡素な服。
「人間も大変なんだね。」
「他人事だな…。」
「事実そうですし。」
「まあいいさ、とりあえずはな。」
まさかメスだったとは…。いや、声やら口調で判断できたな?僕のミスだ。何より服のことも考えてなかった。これから術式組むに当たってそこも考慮しなくては。にしても...……。
「どうしたの?じろじろこっち見て。」
「いや、わりと顔整ってんなって思って。」
「…へ?」
「どんな声だよ。ほら、さっさと行くぞ?」
「え?ちょ、ちょっと待ってよ!」
そうして、彼女と2人川沿いを歩く散歩道。綺麗だ。水も、草花も...何もかも。待ち望んでいたスローライフと言うやつである。さてさて、ここから例の薬草を見つけれるかどうかだ。そんでもって、家の周辺環境に適応させなければならない。まあ、そこん所はどうにかしよう。
「そう言えばさ、君は名前とか無いんだよな?」
「そうだな。」
「なんて呼んだらいい?」
「ワイバーン?」
「まんま過ぎるし、他の奴と混ざるだろ。」
「えー、じゃあイールが決めてよ。」
ワイバーン…名前…赤い瞳…。
「ルージュ…。」
そう呟いた。
「ルージュ…?」
「別のが良かったか?」
「ううん!ありがとう!!」
そう言って彼女は笑って見せた。心なしか、少し頬が赤くなって見えた。まあ、喜んでくれたなら僕としてもありがたい限りだ。
そうして、川沿いに登り続け数時間。
「無いね。」
「無いな。」
僕らは木陰で休憩をしていた。まあ、あると言う確証はなかったし当然か。
「低木が多くなってるからもうそろそろ見つかってもよさげなんだがな。」
「まあ、そんなに焦らなくてもいいんじゃない?」
そう言うと彼女は僕の肩に頭を預ける。
「まあ、それもそうか。」
しかしどうしたもんかな…どうやって人間らしい生活をしていこう。なんて考えたときだった。
「おい、あんたら!!ここをどこだと思ってるんだ!?」
そちらを向くと、それなりの装備を備えた男女数名から成る集団。さてと、どう乗りきるか。
「じ、実は僕たちは駆け出しの者で…ある薬草を取りに来たんだけどなかなか見つからなくて…紫色の花を咲かせる薬草って生えてないですかね?」
さあ、苦し紛れだがどうだ?
「紫色の花を咲かせる…?ああ、魔力回復薬を作るあの薬草か。それならもう少し上流にある。なんなら、案内しようか?」
よし、乗りきれた上に有益な情報も手に入れることが出来た。
「いいんですか?お願いします!!」
その誘いを断る理由もなく、僕たちはそのパーティに一時的ではあるが加わるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
無自覚チートで無双する気はなかったのに、小石を投げたら山が崩れ、クシャミをしたら魔王が滅びた。俺はただ、平穏に暮らしたいだけなんです!
黒崎隼人
ファンタジー
トラックに轢かれ、平凡な人生を終えたはずのサラリーマン、ユウキ。彼が次に目覚めたのは、剣と魔法の異世界だった。
「あれ?なんか身体が軽いな」
その程度の認識で放った小石が岩を砕き、ただのジャンプが木々を越える。本人は自分の異常さに全く気づかないまま、ゴブリンを避けようとして一撃でなぎ倒し、怪我人を見つけて「血、止まらないかな」と願えば傷が癒える。
これは、自分の持つ規格外の力に一切気づかない男が、善意と天然で周囲の度肝を抜き、勘違いされながら意図せず英雄へと成り上がっていく、無自覚無双ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる