15 / 16
古の王
しおりを挟む
―――――速い。
それだけ感じ取る。後は本能に任せ、障壁を展開した。
激しくぶつかり合う。眼前のそれは、ほとんど少女の体を成していない。おおよそ異形の怪物である。
「さて、こいつはなんだ…?」
独り言混じりに腕を振り下ろす。すると異形も地面に叩きつけられる。
さてと、僕は目覚めさせてはならないものを目覚めさせたのかもしれない。
『あれは…古の鎧…。』
「古の鎧?なんだよそれ!?」
乱暴にルージュが聞く。
『1000年ほど前、文明その物を破壊した王が居た。それが従えていたのがあれだ。』
なるほどね。しかしこの術式…厄介だ。
『その王は何百もの古の鎧を従え、この世界を滅ぼし世界を作り替えたと言う。』
「なんでそんなものが今、それもあの女の中に…?」
『解らん…だが、奴ならなにか知っているんじゃないか?』
そう言うと、黒竜はこちらを向く。種明かしをすると、あれは僕の産み出した術式だ。だが、少し違和感がある。そもそも、僕が居たのは6000年前の話だ。つまりは…1000年前、人類は僕のレベルに追い付いていたのだろう。だが、そこで狂人が文明を破壊した。結果、再構築されたこの世界は以前よりも劣った文明レベルである。ってとこか?まあ、何故あれが今になって発動したから知らんが。
「納得。」
さて、ともかく目の前のことに集中しよう。あれの対処は正直面倒である。まあ、まずはセオリーを試そう。
「主を履き違えるな。」
「うぅ…!?」
おぉ、動きが止まった。
そのまま、奴の目の前まで降りる。
「主を履き違えるな。僕の名を唱えろ。」
「く…クライン…様…。」
クライン…予想外の名前だな。僕を崇拝していた狂信者じゃないか。
「クラインか…あいつは不老不死にでもなったのかね?まあ、いいさ。ともかく出ていけ。」
それだけ言うと、鎧はくだけ散る。これがこの術式の解除方法。主が命じなければ永遠とこのままな上に、これが誰かを殺せばそいつもこうなる。無限に増え続ける僕の兵隊だったんだが…。
ともかく、このおてんばに回復魔法をかける。まだ事切れてはなかったらしい。
『おまえは...何者なんだ?』
黒竜が僕に問う。
「イール·マギア。ただの人間だよ。」
『マギア…だと!?その名は…いや、不思議ではない…か…。』
「何よ…何を知っているの!?」
「まあ、落ち着けよ。御二人さん。お兄さんの方はだいぶ勘づいているみたいだがな。」
『マギア…魔術の祖、魔術の神と称えられた存在。生物の頂点としてこの星に君臨した男…イール·マギア。なぜそんな人がここに...。』
「争いが嫌だったからさ。人殺しはもう勘弁願いたい。そんな一心でこんな未来に来たが…まさか1度文明が滅びていたとはね…。」
「イール…。」
「まあ、僕はとりあえずこの子を送り届けることにするよ。君らは兄妹水入らず、じっくり話すといいさ。」
そうして、僕は彼女を抱えその森を出るのだった。
―――――――――――――――
――――――――――
―――――
「…兄貴…あの女の中にいる奴のこと気がついてたのか?」
『逆に、おまえは解らなかったか?』
「解るわけ無いだろ?」
『はあ、やっぱりまだまだだな。力は確かだが、感情を読み取る能力が未発達だ。』
「じ、じゃあなに?ワイバーンならあのくらい解って当然とでも?」
『解って当然だ。この地では竜信仰が根強かった。その信仰心を力に変えることが出きるのが我々ワイバーンだ。』
「そんな…。」
『だからこそ、おまえは異例なんだ。信仰心なしの補助であれ程の力を持つ。仮に感情を力に変化させる能力が開花したらおまえに勝てる奴などイール·マギア以外居らんだろう。』
「………まさか、あんたがいつまでも居残り続けるのって。」
『…まあ、なんだ。まだまだおまえは強くなることが出きるってことさ。』
どうやら、私と言うのは今の今まで随分と勘違いをしているようだった。私はこの上ないほどの力を持っていると自負していたが…決してそんなことはなかった。
黒竜は何も言わずに飛び立った。
「…バカ兄貴…。」
ぽつり、そう呟く。
「ごめんなさい。」
今度は少し、大きく言う。
私は、兄貴よりも弱かった。きっと他のワイバーンよりも弱い。感情を読み取る力…今後の課題となりそうだ。
それだけ感じ取る。後は本能に任せ、障壁を展開した。
激しくぶつかり合う。眼前のそれは、ほとんど少女の体を成していない。おおよそ異形の怪物である。
「さて、こいつはなんだ…?」
独り言混じりに腕を振り下ろす。すると異形も地面に叩きつけられる。
さてと、僕は目覚めさせてはならないものを目覚めさせたのかもしれない。
『あれは…古の鎧…。』
「古の鎧?なんだよそれ!?」
乱暴にルージュが聞く。
『1000年ほど前、文明その物を破壊した王が居た。それが従えていたのがあれだ。』
なるほどね。しかしこの術式…厄介だ。
『その王は何百もの古の鎧を従え、この世界を滅ぼし世界を作り替えたと言う。』
「なんでそんなものが今、それもあの女の中に…?」
『解らん…だが、奴ならなにか知っているんじゃないか?』
そう言うと、黒竜はこちらを向く。種明かしをすると、あれは僕の産み出した術式だ。だが、少し違和感がある。そもそも、僕が居たのは6000年前の話だ。つまりは…1000年前、人類は僕のレベルに追い付いていたのだろう。だが、そこで狂人が文明を破壊した。結果、再構築されたこの世界は以前よりも劣った文明レベルである。ってとこか?まあ、何故あれが今になって発動したから知らんが。
「納得。」
さて、ともかく目の前のことに集中しよう。あれの対処は正直面倒である。まあ、まずはセオリーを試そう。
「主を履き違えるな。」
「うぅ…!?」
おぉ、動きが止まった。
そのまま、奴の目の前まで降りる。
「主を履き違えるな。僕の名を唱えろ。」
「く…クライン…様…。」
クライン…予想外の名前だな。僕を崇拝していた狂信者じゃないか。
「クラインか…あいつは不老不死にでもなったのかね?まあ、いいさ。ともかく出ていけ。」
それだけ言うと、鎧はくだけ散る。これがこの術式の解除方法。主が命じなければ永遠とこのままな上に、これが誰かを殺せばそいつもこうなる。無限に増え続ける僕の兵隊だったんだが…。
ともかく、このおてんばに回復魔法をかける。まだ事切れてはなかったらしい。
『おまえは...何者なんだ?』
黒竜が僕に問う。
「イール·マギア。ただの人間だよ。」
『マギア…だと!?その名は…いや、不思議ではない…か…。』
「何よ…何を知っているの!?」
「まあ、落ち着けよ。御二人さん。お兄さんの方はだいぶ勘づいているみたいだがな。」
『マギア…魔術の祖、魔術の神と称えられた存在。生物の頂点としてこの星に君臨した男…イール·マギア。なぜそんな人がここに...。』
「争いが嫌だったからさ。人殺しはもう勘弁願いたい。そんな一心でこんな未来に来たが…まさか1度文明が滅びていたとはね…。」
「イール…。」
「まあ、僕はとりあえずこの子を送り届けることにするよ。君らは兄妹水入らず、じっくり話すといいさ。」
そうして、僕は彼女を抱えその森を出るのだった。
―――――――――――――――
――――――――――
―――――
「…兄貴…あの女の中にいる奴のこと気がついてたのか?」
『逆に、おまえは解らなかったか?』
「解るわけ無いだろ?」
『はあ、やっぱりまだまだだな。力は確かだが、感情を読み取る能力が未発達だ。』
「じ、じゃあなに?ワイバーンならあのくらい解って当然とでも?」
『解って当然だ。この地では竜信仰が根強かった。その信仰心を力に変えることが出きるのが我々ワイバーンだ。』
「そんな…。」
『だからこそ、おまえは異例なんだ。信仰心なしの補助であれ程の力を持つ。仮に感情を力に変化させる能力が開花したらおまえに勝てる奴などイール·マギア以外居らんだろう。』
「………まさか、あんたがいつまでも居残り続けるのって。」
『…まあ、なんだ。まだまだおまえは強くなることが出きるってことさ。』
どうやら、私と言うのは今の今まで随分と勘違いをしているようだった。私はこの上ないほどの力を持っていると自負していたが…決してそんなことはなかった。
黒竜は何も言わずに飛び立った。
「…バカ兄貴…。」
ぽつり、そう呟く。
「ごめんなさい。」
今度は少し、大きく言う。
私は、兄貴よりも弱かった。きっと他のワイバーンよりも弱い。感情を読み取る力…今後の課題となりそうだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
無自覚チートで無双する気はなかったのに、小石を投げたら山が崩れ、クシャミをしたら魔王が滅びた。俺はただ、平穏に暮らしたいだけなんです!
黒崎隼人
ファンタジー
トラックに轢かれ、平凡な人生を終えたはずのサラリーマン、ユウキ。彼が次に目覚めたのは、剣と魔法の異世界だった。
「あれ?なんか身体が軽いな」
その程度の認識で放った小石が岩を砕き、ただのジャンプが木々を越える。本人は自分の異常さに全く気づかないまま、ゴブリンを避けようとして一撃でなぎ倒し、怪我人を見つけて「血、止まらないかな」と願えば傷が癒える。
これは、自分の持つ規格外の力に一切気づかない男が、善意と天然で周囲の度肝を抜き、勘違いされながら意図せず英雄へと成り上がっていく、無自覚無双ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる