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第13話 殺し屋らしいです

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 そうして、俺が目覚めたのは夕暮れ時。俺たちが入った水道の入り口だった。

「………あぁ、あいつは………?」

「倒したよ………ナナさんが。」

「そうか………ならよかった。リンは?」

「リュークさん?と再開できたみたいだからそこで別れた。」

「そうか………。」

 まぁ、異音騒ぎについては一旦治まるだろう。尤も、それ以上の謎を呼んでしまったわけだが。

「まぁいいさ。さてと。」

 起き上がり、リラの方を向く。

「約束だ。話してもらう。」

 そう言うと、リラは堪忍したような顔をして語りだした。

「今回の一件で奴らで無いことは明白でしたから、いいですよ。」

 奴ら?何のことだろうか?

「まぁ端的に言うと私は殺し屋です。」

「殺し屋!?」

「はい。何かあればあなたを殺せと。」

「だ、誰から!?」

「ギルドマスターですよ。」

「ギルドマスターって………。」

「えぇ、ルイ·ネフィリムですよ。あなたの経歴があまりにも異常だったので何かあれば殺せと。」

「ま、待て待て。全くもって解らんぞ。」

「………聞いたこと無いですか?殺しの女神って。」

「あ、あぁ。名前くらいなら。」

「数ある殺し屋集団の中でも精鋭のみで組まれたパーティ。それが殺しの女神です。ですが、殺しの女神は常に雇用状態にあります。」

「………まさかだが………。」

「ええ、その雇用主がルイ·ネフィリムです。」

「ま、待て………そうなるとリラ、お前は………。」

「えぇ、『殺しの女神』の一員です。と、この事はどうか内密に。あなたのことも秘密にしますから。尤も、今回の件その物は報告しますけどね。」

「まぁ、構わないよ………。」

「それにしても、こんな事態は初めてですよ。」

「と、言うと?」

「うちのギルドには、もう一人経歴が異常な人物がいます。名前は教えませんけど。まぁ、あなたは今後狙われることはないでしょうね。」

「そうか………まぁ、狙われるようなことをするつもりもないけどな。」

「さてと………帰りましょうか。」

「あぁ………だが………。」

「どうしたんです?」

「あの吸血種だ。奴はここで何をしていたんだ?」

「………ギルドマスターに直接聞きましょうか。」

 含みありげに、リラは答える。こいつは………俺の知らないようなことをこれでもかと言う程知っている。やはり、裏に生きる存在と言うわけか。

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 そうして、俺達はギルドまで帰ってきていた。さてと………。

「リラ、どこに行くんだ?」

「あ、ええとギルドマスターに呼ばれていますので。ナナさんもついてきてもらっていいですか?」

 と、わざとらしく気の弱いふりをするリラ。そこまでしなければいけないほど個人的なことなのだろう。ギルドぐるみと言うわけではないようである。

「ああ。了解だ。」

 さてと………この件どう報告したもんか。
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