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第6章
こんなにきれいなんだから
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魔法が解けて、美しい女性の体が砂のようにさらさらと流れていく様を、シルヴェーヌは見ました。大粒の涙がぼろぼろとこぼれ落ちます。
「なんでジャマするのじゃあ。きれいになりたいだけなのに、それもいけないことなのかえ?」
それからは、子供のように、泣きくずれます。ガナッシュは思わず耳をふさぎました。洞窟全体が、泣いているみたいでした。
彼女は、大きなトカゲの姿をしていました。尻尾がヘビのように細く長く、白いウロコが全身をおおっています。
「痛いのじゃ。悲しいのじゃ。ベリーズ。ベリーズー。」
ソルトが、シフォンを振り返ります。その目を見て、彼女は仕方ないですねと言うように首を振って、杖をくるりと回しました。
「シルヴェーヌ様。」
「シル様あー。」
光とともに現れたのは、同じくトカゲの姿をした紫と赤のモンスターでした。後ろの二足でシルヴェーヌの元に走っていきます。その様子と声から、二人がベリーズであることが想像できます。
「いいの?」
と、ミントがシフォンに聞きます。
「勇者さまに言ってください。」
ため息混じりに魔法使いは答え、泣きじゃくるモンスターに歩き寄っていくソルトに視線をうつします。
「きれいだよ。」
ベリーズに抱きしめられていたシルヴェーヌは涙をいっぱいためた目で、そう言った彼を見上げました。
「ここは暗いから。でも、太陽の下なら、素敵な色をしていると思うんだ。」
ソルトは扇の色を思い出します。悲しい色だったのはきっと、日の下ではもっと美しいのに…という声だったのだと思いました。
「いいの?」
と、ミントはもう一度シフォンに聞きます。今度は、彼女は答えません。ヤキモチ、と思ってミントもそれ以上は何も言いませんでした。
「こんなにきれいなんだから、かくさないで。」
女心を何一つわかってない勇者はにっこり笑って、自分の思ったままを正直に口にするのでした。
「なんでジャマするのじゃあ。きれいになりたいだけなのに、それもいけないことなのかえ?」
それからは、子供のように、泣きくずれます。ガナッシュは思わず耳をふさぎました。洞窟全体が、泣いているみたいでした。
彼女は、大きなトカゲの姿をしていました。尻尾がヘビのように細く長く、白いウロコが全身をおおっています。
「痛いのじゃ。悲しいのじゃ。ベリーズ。ベリーズー。」
ソルトが、シフォンを振り返ります。その目を見て、彼女は仕方ないですねと言うように首を振って、杖をくるりと回しました。
「シルヴェーヌ様。」
「シル様あー。」
光とともに現れたのは、同じくトカゲの姿をした紫と赤のモンスターでした。後ろの二足でシルヴェーヌの元に走っていきます。その様子と声から、二人がベリーズであることが想像できます。
「いいの?」
と、ミントがシフォンに聞きます。
「勇者さまに言ってください。」
ため息混じりに魔法使いは答え、泣きじゃくるモンスターに歩き寄っていくソルトに視線をうつします。
「きれいだよ。」
ベリーズに抱きしめられていたシルヴェーヌは涙をいっぱいためた目で、そう言った彼を見上げました。
「ここは暗いから。でも、太陽の下なら、素敵な色をしていると思うんだ。」
ソルトは扇の色を思い出します。悲しい色だったのはきっと、日の下ではもっと美しいのに…という声だったのだと思いました。
「いいの?」
と、ミントはもう一度シフォンに聞きます。今度は、彼女は答えません。ヤキモチ、と思ってミントもそれ以上は何も言いませんでした。
「こんなにきれいなんだから、かくさないで。」
女心を何一つわかってない勇者はにっこり笑って、自分の思ったままを正直に口にするのでした。
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