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志樹くんハピバ旅行の夜の出来事①
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2回目の志樹くんの誕生日です
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自己主張が強く口達者な姉妹に挟まれて、譲るのが得意になった。自分の『好き嫌い』にほんの少し鈍感でいて、波風立たない選択で喜べる楽観さがあればいい。
穏やかに、相手のペースを乱さない範囲で、自分の歩調を守る。最早、無意識レベルで行なわれる妥協と固執の分別。
かつて、祖父はこう言ってくれたのを、最近よく思い出す。
「志樹には小さくとも、絶対に誰にも渡さない『宝箱』があるんだな」
旅先で見つけた綺麗な石、町内会で景品にもらったポールペン、受験期を共にした英単語帳、バイト代を貯めて買った一眼レフ。そして、
『志樹くんが思ってるよりずっと、本当は、私も、志樹くんのことが、好き、で。きっと、これまで伝えてくれた気持ちとつり合うくらい』
初めての恋をした。
初めてづくしの中で知ったのは、自分の『所有欲』は人にも適応されるということだった。
はじめはほんの些細なヤキモチで、恋愛にはきっとよくあるものだろうとやり過ごしていたのに、違和感を覚え始めたのはいつだっただろう。
おそらく、彼女が一生懸命、気持ちを伝えようとしてくれるようになってから、だろうか。不安が消えていくにつれて、いつまでも満たされない欲求を目の当たりにする。
きっと俺は、彼女の全部、まるごと欲しいと思い始めている。
笑顔も涙も、時間も生活も、なにもかもが。
彼女に対して知らないことがあると胸がチリリと焦げつくような感覚に見舞われて、目の届く範囲にいてくれると心が穏やかになる。
極め付けは、彼女の誕生日のあと。
「洋服贈るのは脱がせたいからっていうよね」
そういう話が好きな知人に揶揄われた。まったくピンと来なかった。何故かって、『ずっと着ててほしかった』から。似合ってたからとか、そういう単純な答えじゃなくて、ただただ、心が満たされていた。まるで『俺のもの』になったみたいで、『俺のもの』だって、知らしめているみたいでーー
そこまで思い当たって、愕然とした。こんな感情、あまりに身勝手すぎる。
優しい彼女の気を揉ませてしまうのは本意じゃない。
宝物ならば。
大事にしたいのが性分だ。
それも確かに、真実で、本音だった。
グラグラと危うい天秤は、今はまだ均衡を保っている。
ただ、彼女と肌を重ねている瞬間や、不意打ちで見せる『だいすき』の表現に、一瞬で、呑まれてしまいそうになるのもまた認めざるを得なかった。
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自己主張が強く口達者な姉妹に挟まれて、譲るのが得意になった。自分の『好き嫌い』にほんの少し鈍感でいて、波風立たない選択で喜べる楽観さがあればいい。
穏やかに、相手のペースを乱さない範囲で、自分の歩調を守る。最早、無意識レベルで行なわれる妥協と固執の分別。
かつて、祖父はこう言ってくれたのを、最近よく思い出す。
「志樹には小さくとも、絶対に誰にも渡さない『宝箱』があるんだな」
旅先で見つけた綺麗な石、町内会で景品にもらったポールペン、受験期を共にした英単語帳、バイト代を貯めて買った一眼レフ。そして、
『志樹くんが思ってるよりずっと、本当は、私も、志樹くんのことが、好き、で。きっと、これまで伝えてくれた気持ちとつり合うくらい』
初めての恋をした。
初めてづくしの中で知ったのは、自分の『所有欲』は人にも適応されるということだった。
はじめはほんの些細なヤキモチで、恋愛にはきっとよくあるものだろうとやり過ごしていたのに、違和感を覚え始めたのはいつだっただろう。
おそらく、彼女が一生懸命、気持ちを伝えようとしてくれるようになってから、だろうか。不安が消えていくにつれて、いつまでも満たされない欲求を目の当たりにする。
きっと俺は、彼女の全部、まるごと欲しいと思い始めている。
笑顔も涙も、時間も生活も、なにもかもが。
彼女に対して知らないことがあると胸がチリリと焦げつくような感覚に見舞われて、目の届く範囲にいてくれると心が穏やかになる。
極め付けは、彼女の誕生日のあと。
「洋服贈るのは脱がせたいからっていうよね」
そういう話が好きな知人に揶揄われた。まったくピンと来なかった。何故かって、『ずっと着ててほしかった』から。似合ってたからとか、そういう単純な答えじゃなくて、ただただ、心が満たされていた。まるで『俺のもの』になったみたいで、『俺のもの』だって、知らしめているみたいでーー
そこまで思い当たって、愕然とした。こんな感情、あまりに身勝手すぎる。
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それも確かに、真実で、本音だった。
グラグラと危うい天秤は、今はまだ均衡を保っている。
ただ、彼女と肌を重ねている瞬間や、不意打ちで見せる『だいすき』の表現に、一瞬で、呑まれてしまいそうになるのもまた認めざるを得なかった。
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