201 / 240
初めての夫婦喧嘩(?)で新妻爆発する~なぜそんなものを犬に食わせようとした?~
23
しおりを挟む
私はいまさらながら裸で抱き合っていることに気付き、恥ずかしさのあまり真っ赤になった顔を両手で覆う。
「え……あ……それはかたじけない……」
どうやら私は、尚史の欲情を無意識に煽っていたらしい。
ついさっき果てたばかりのはずなのに、私の言葉ひとつであっという間にこんなになってしまうなんて、尚史はどんだけ私のことが好きなんだ!
……っていうか、思春期真っ只中の中高生男子並みに性欲旺盛か!
やっとのことで初めての営みを終えたところなのに、あんなのがまた始まってしまっては私の身がもたない。
「無事に仲直りもしたことだし……それに明日は仕事だし、とりあえず今夜はもう寝よう。ね?」
あわてて起き上がりパジャマを着ようとすると、尚史は私の腕をつかんで体を引き寄せ、ギュッと抱きしめる。
「今夜はこのまま寝たい」
「えっ?!裸で寝るの?」
「モモを抱いたあと、二人とも裸のままで抱き合って寝るのが夢だったから」
さては尚史め、私を丸裸にして抱き潰して、二人とも力尽きて朝まで眠るというシミュレーションを、脳内で何度も繰り返していたのだな?
でもまぁ……それも悪くない。
素肌が触れ合う心地よさとか、抱き合ってお互いのぬくもりを感じると安心するのは、私にもわかる。
ずっと私を想い続けてくれた尚史のささやかな夢を叶えられるのは私しかいないし、私も尚史とならそうしていたいと思う。
「うん……じゃあ、そうしようかな」
裸のまま抱きしめられて広い胸に頬をすり寄せると、尚史はまた幸せそうに笑って私の額にキスをした。
「あー……幸せ……。モモ可愛い……。ずっと夢だったことが現実になると、『死んでもいい』なんて思わないんだな。俺、今『モモと一緒にめちゃくちゃ長生きしたい』って思ってる」
私だと思い込んで初めて水野さんを抱いたあと、『死んでもいい』と思ったと尚史は言っていた。
尚史はきっと、そのときのことを思い出したんだと思う。
身代わりでも妄想でもなく、生身の実体の私と結ばれて、『できるだけ長く二人で一緒にいたい』という欲が出てきたんだろう。
「結婚したところなのに『死んでもいい』なんて言われたらイヤだよ、私も尚史とずっと一緒にいたいもん」
「うん。じいさんばあさんになっても、ずっと一緒にいような」
「だったらもうひとつ約束して。尚史は私に気を遣って、思ってることあんまり言わないけど……言ってくれなきゃわからないこともあるし、夫婦になったんだから、これからはちゃんと言ってね」
私の言葉は意外だったようで、尚史は少し驚いた顔をした。
「ホントに?言っていいの?」
「うん、いいよ」
「じゃあ思いきって言うけど……」
私に言いたいことをそんなに我慢していたのかと思って真剣に話を聞こうとしたら、あろうことか尚史は私の胸を鷲掴みにした。
予想外の尚史の行動に目が点になる。
「やっぱりもう1回……」
「早よ寝ろ」
喧嘩しているときは地を這うような絶望的な顔をしていたのに、仲直りした途端これだ。
そりゃ犬も食わんわ。
私に冷たくあしらわれた尚史はばつの悪そうな顔をして、私の胸から離した手で自分の頬をさすった。
「じゃあ2回目は我慢するから……おやすみのキスはしてくれる?」
「うん、いいよ」
私たちは額をくっつけて『おやすみ』と言ったあと、唇が触れ合うだけの長くて優しいキスをして、裸のまま抱きしめ合って眠りに就いた。
少しずつ薄れていく意識の中で、尚史が最初で最後の人になることが、心の底から嬉しいと思った。
「え……あ……それはかたじけない……」
どうやら私は、尚史の欲情を無意識に煽っていたらしい。
ついさっき果てたばかりのはずなのに、私の言葉ひとつであっという間にこんなになってしまうなんて、尚史はどんだけ私のことが好きなんだ!
……っていうか、思春期真っ只中の中高生男子並みに性欲旺盛か!
やっとのことで初めての営みを終えたところなのに、あんなのがまた始まってしまっては私の身がもたない。
「無事に仲直りもしたことだし……それに明日は仕事だし、とりあえず今夜はもう寝よう。ね?」
あわてて起き上がりパジャマを着ようとすると、尚史は私の腕をつかんで体を引き寄せ、ギュッと抱きしめる。
「今夜はこのまま寝たい」
「えっ?!裸で寝るの?」
「モモを抱いたあと、二人とも裸のままで抱き合って寝るのが夢だったから」
さては尚史め、私を丸裸にして抱き潰して、二人とも力尽きて朝まで眠るというシミュレーションを、脳内で何度も繰り返していたのだな?
でもまぁ……それも悪くない。
素肌が触れ合う心地よさとか、抱き合ってお互いのぬくもりを感じると安心するのは、私にもわかる。
ずっと私を想い続けてくれた尚史のささやかな夢を叶えられるのは私しかいないし、私も尚史とならそうしていたいと思う。
「うん……じゃあ、そうしようかな」
裸のまま抱きしめられて広い胸に頬をすり寄せると、尚史はまた幸せそうに笑って私の額にキスをした。
「あー……幸せ……。モモ可愛い……。ずっと夢だったことが現実になると、『死んでもいい』なんて思わないんだな。俺、今『モモと一緒にめちゃくちゃ長生きしたい』って思ってる」
私だと思い込んで初めて水野さんを抱いたあと、『死んでもいい』と思ったと尚史は言っていた。
尚史はきっと、そのときのことを思い出したんだと思う。
身代わりでも妄想でもなく、生身の実体の私と結ばれて、『できるだけ長く二人で一緒にいたい』という欲が出てきたんだろう。
「結婚したところなのに『死んでもいい』なんて言われたらイヤだよ、私も尚史とずっと一緒にいたいもん」
「うん。じいさんばあさんになっても、ずっと一緒にいような」
「だったらもうひとつ約束して。尚史は私に気を遣って、思ってることあんまり言わないけど……言ってくれなきゃわからないこともあるし、夫婦になったんだから、これからはちゃんと言ってね」
私の言葉は意外だったようで、尚史は少し驚いた顔をした。
「ホントに?言っていいの?」
「うん、いいよ」
「じゃあ思いきって言うけど……」
私に言いたいことをそんなに我慢していたのかと思って真剣に話を聞こうとしたら、あろうことか尚史は私の胸を鷲掴みにした。
予想外の尚史の行動に目が点になる。
「やっぱりもう1回……」
「早よ寝ろ」
喧嘩しているときは地を這うような絶望的な顔をしていたのに、仲直りした途端これだ。
そりゃ犬も食わんわ。
私に冷たくあしらわれた尚史はばつの悪そうな顔をして、私の胸から離した手で自分の頬をさすった。
「じゃあ2回目は我慢するから……おやすみのキスはしてくれる?」
「うん、いいよ」
私たちは額をくっつけて『おやすみ』と言ったあと、唇が触れ合うだけの長くて優しいキスをして、裸のまま抱きしめ合って眠りに就いた。
少しずつ薄れていく意識の中で、尚史が最初で最後の人になることが、心の底から嬉しいと思った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
159
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる