天から二物も三物も与えられ過ぎた俺がダンジョンで青春を取り戻す

黒丸

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初めての闘い

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家の裏に回り裏山を登る。
山といっても少し小高い丘程度。工事車両を入れるための砂利道を歩くと、すぐに目的の場所がみえてくる。
フェンスに囲まれたコンクリート製の小屋。
迷宮関連特別法では、私有地に出現したダンジョンの個人所有は認められたが、管理については最低でも厚さ30cm以上の鉄筋コンクリートの壁で覆わなければならないなど、かなり厳しく定められた。当然、費用は所有者の負担。補助もない。
かかる費用の大きさから、国に土地代程度で買い上げてもらうケースが殆どになる見通しらしい。
まあ、まだ準備期間ということもあり、所有を希望していても設置できてないダンジョンが殆どだけど、うちは問題が起こると親の仕事に影響があることから無理をして設置してもらった。
フェンスを開け、小屋の鍵を開けて厚さ3cmの鉄製のドアをスライドさせると、むわっとした獣臭い空気が流れ出してくる。センサーライトに照らされた直径2mほどの大穴。これが我が家所有ダンジョンの入り口だ。
地面に口をあけた真っ暗な穴。
恐怖はない。
ただただ、身体が弾けそうなくらいに興奮している。
やっと。やっと自分の力を、全力で振るえる日がきた。
逸る気持ちを抑えてスマホから探索者専用アプリを起動する。

探索開始報告。
秋月家所有27号ダンジョン。
帰還予定時間は・・・とりあえず4時間。
正午12時帰還で報告。

よし!
スマートフォンをしまい俺はダンジョンへ飛び降りた。


真っ暗な穴の中に飛び込むとそこはけっこう急な下り坂になっていた。高さは入り口と同じ2mほど。俺には少し低い。かがまないと頭をぶつけてしまう高さだ。
外から見たときは中は真っ暗に見えたのに、中に入ってしまうと不思議と明るい。
魔力的な感覚器官が関連してるって話だけど、まだいまいち実感がないな。
このダンジョンは全5階層。迷宮化は進んでなくて、全階層が一本道だ。調査が入ったのが3ヶ月前だから、少し変わってるかもしれない。
考えながら降りていると、坂道が終わり唐突に道幅が広くなる。幅も高さも5mくらいかな。前に見に行った素掘りのトンネルを大きくしたみたいな感じだ。
これだけあれば、気兼ねなく武器を振り回せる。
調査に来た自衛官の人の話だと、一本道を500mほど進むと2層への下り坂があるらしい。
魔物は犬型のやつが…いる。
いるな。
中型犬くらいの奴が3体。
ゆっくりと武器を抜き、両手で構える。
厚さ2cmの鉄板を幅20cm、長さ100cmに切り落として持ち手をボルトで固定しただけの鈍器。
普通の人なら持つので精一杯だろうけど、俺にとっては振り回すのに丁度いい。

近づいてきてる。

来い。

むこうも気付いてる。

目が合った。

3匹が爆発したように走り出す。
速い。
2体が両側へ、1匹は正面から。
飛び掛ってくる。
狙いは足、手、顔!

みえみえなんだよ畜生共!

右足を踏み込んで蹴り飛ばす。
左手を振って叩き落とす。
その勢いで3匹目の頭を鉄板で振りぬく。
一動作。
ほとんど抵抗を感じずに3匹目の頭が弾ける。
遠心力を殺さず回転し、たたき落とした犬へゴルフのようにスイング。
今度は骨の砕ける感触。
最後の1匹は――少し遠い、蹴りすぎた。
大きく踏み込んで、首元に鉄板を突きこむ。
今度もしっかりとした手ごたえがある。
生き物を殺した手ごたえ。
不快感は無い。
鉄板を引き抜き、どろりとこびりついた血を見つめる。
やった。
やれた。
普通の人なら、いや、訓練を受けた人だって今のは対応できない。
俺だから反応できた!
俺だから生き残れた!
俺のこの身体はこの時のためにあった!
ここなら、この場所なら、誰に咎められることなく全力を振るえる!
ここは俺の世界だ!

「おおおおおおおおお!」

衝動のままに雄叫びをあげる。
狭い階層だ。これで全部の犬共が集まってくるだろう。
来い、一匹残らず片付けてやる!
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