天から二物も三物も与えられ過ぎた俺がダンジョンで青春を取り戻す

黒丸

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作戦当日と甲斐君

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探索三日目、午前九時
初めて入った指定ダンジョンを囲う壁の中には、それなりに人が集まっていた。
アプリで掃討作戦が通知されてたもんなぁ。
実際に戦うのは俺を含めて六人だけで、あとは魔石回収とかの補助がメインなんだけど。
ダンジョン入り口に向かって歩いていると、久しぶりに見る顔が目に入る。
「甲斐君!」
「あ、秋月くん!」
呼びかけると小走りでこちらへ駆け寄ってくる。
相変わらず動きが小動物っぽいな、甲斐君。
「ひさしぶり。元気だった?」
一五〇センチくらいしかない身長で見上げてくる。
変声期を忘れてしまったような声も相変わらずだ。
「見ての通り元気だよ。甲斐君は一昨日、大活躍だったって?」
「そんな、ボクなんて全然だよ!ただ必死で魔法を使ってただけで。すぐに気絶しちゃったし…。」
「いや、河野さんに聞いたけど、あんな状況で踏みとどまれるだけでも凄いことだって。」
「そうかな…。えへへ…。」
はにかむように笑う甲斐君。
以前よりも髪が伸びたせいか、なんかこう…。
「甲斐君。髪、伸ばしてる?」
「あ、うん。…変、かな?」
「ん、いや似合ってると思う。」
けど、中性的を通り越して女の子になってる…とは言えない。
「ほんとに!?実はもう少し伸ばしたいって思ってるんだ。」
すでにショートボブくらいの長さの髪をいじる甲斐君。
う~ん。まあ似合ってるし、本人がいいならいいのかな。
「あ、そうだ。やっぱり秋月くんは自宅のダンジョンに行ってるの?」
「ああ、うん。でも小さいダンジョンだから、もう終わりそうでさ。」
一応、防衛状態でボスポップしてそうなことは伏せる。
「まだ二日なのに!?…やっぱり秋月くんはすごいなぁ。あ、終わったらこっちに来るの?」
「たぶんそうなるかな。未調査の十一層から先も気になるし。」
甲斐君の顔がぱぁっと明るくなる。
「じゃあ一緒に潜ろうよ!ボク、まだ固定の人いないから!」
「うおう、グイグイくるね。まぁ、毎回は無理だけど、それでよければ。一人で自分を試したいってのがあるからさ。」
「もちろん大丈夫!ボク、魔法しかできないから毎日は潜れないし。きっと丁度いいよ!」
あっれぇ、甲斐君キャラかわってない?
もっと内向的というか引っ込み思案な感じだったんだけど。
もしかしたら、一昨日の経験で何かが変わったのかな。
「ん、わかった。じゃあ、自宅のが片付いたら連絡するから。」
「うん。待ってる!」
キラッキラの笑顔の甲斐君。
うーん、男子三日会わざればってやつか。
『皆さん、そろそろ入り口前に集まってくださーい。』
そんなことを考えていると、スピーカーから興梠さんの声が響く。
『あと、秋月さんは今すぐ職員のところまでお願いしまーす。』
俺は名指しかよ!
「ごめん、甲斐君。ちょっと先に行ってくるよ。」
「うん。また後でね!」
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