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火炎魔法

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「大丈夫じゃねぇだろぉ!それぇ!」
ボコっとバットで殴りつける音も聞こえてくる。
「結構いけますよ!」
拳を振るいながら、それに答える。
「規格外だな…。」
「とにかくスペースを空けるぞ!すいません!急いで運び出してください!」
ぐにぐにとしたゾンビを足場にしながら拳を振るい、邪魔なゾンビを奥へと放り投げていると、すぐ後から河野さんの声がかかる。
「スペースができた!少し下がれ!」
「わかりました!」
足元の武器を拾い、後へ飛ぶ。
ようやくゾンビまみれの状態から開放された。
予定の5人では手が足りず、何人かは戦闘に参加しているようだ。
「甲斐君、魔法準備!」
「はい!」
「奥のほうならどこでもいい!とりあえず数を減らしてくれ!」
横薙ぎに鉄板を振るうと3体の頭が吹き飛ぶ。
よし、やっぱり殲滅力が違う。
もう1本を奥に投げたのは失敗だったかな。
「秋月君、奥は見えるか!?」
ゾンビを殴りつけながら河野さんが聞いてくる。
「見えます!」
俺も負けじと鉄板を振るう。
「あとどのくらいいそうだ!?」
ぎっちぎちだからな。1㎡あたり8体くらいとして…。
「見える範囲はみっちり!たぶん1000以上です!」
「まじかよぉっ!」
悲鳴のような川越さんの声。
「炎よ!」
それに被せるように、甲斐君の声が響く。
ポーンと、煌々と光る火の玉が奥へと飛んでいって…。
爆炎が巻き起こった。
「うおおおお!」
その場にいた全員が叫ぶ。
すっげぇ。
これで酸素がなくならないんだから魔法って不思議だよなぁ。
「どう!?秋月くん!」
「最高だ!あと何回いける!?」
「たぶんあと3回で気絶する!」
そこまでは使わせられないって。
「甲斐君だけで500は減らせますよ!俺もまだ余裕です!1000くらい問題ないですよ!」
おお!と、みんなが俺の叫びに答えてくれる。
実際は、その奥にまだいそうなんだけど。
最悪、俺も広範囲に魔法を使うしかないか。
俺が動けなくなると終わりだから、慎重に使わないと…。
「すいません!少し奥に向かいます!」
「ちょっ!無茶すんなよ!」
川越さんが心配そうに叫ぶ。
「大丈夫ですよ!」
実際、周りに人がいないほうが振り回しやすいんだから!
全身を使って鉄板を振り回す。
胴がひしゃげたゾンビが吹き飛ぶ。
遠心力を使って動きを止めずに前へと進む。
千切れた頭が、身体が飛び散る。
皆が作ってくれたスペースのお陰で、ものすごく動きやすくなった。
押し寄せてくるゾンビを蹴散らしながら、少しずつ前進する。
たぶんこの辺に落ちたと思うんだけど…あったあ!
あんまり奥に行ってなくてよかった!
目の前のゾンビを上から下に叩き潰しながら投げ捨てた武器を拾い、周りを薙ぎ払いながら立ち上がる。
よし、こっからが本番だ。
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