天から二物も三物も与えられ過ぎた俺がダンジョンで青春を取り戻す

黒丸

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ラニブラ

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「ん、どうかしたか?」
「いや、レンは偉いなって思って」
「なんのことだ、急に…」
「レンが俺の親を褒めてくれた時にさ、俺は少し恥ずかしかったんだ。でもレンは自分の家族を褒められて誇らしげだったから。俺も見習わないとなって思った」
「そう改めて言われると恥ずかしくなってくるだろう…」
拗ねるようにそっぽを向く。
本当に喋り方や仕草からは想像できないくらいに表情がコロコロかわるなあ。
「ごめん。そうだ、今日は日曜だから人が多いと思うけど大丈夫?」
俺が住んでるところは田舎だ。休日、しかも春休み中ともなれば、いま向かっているショッピングモールに県内中から人が集まってくる。もちろん、東京とは比べるべくもないけど。
「大丈夫だ。私はラニブラの王都で育ったからな。人が多いのには慣れている」
「ラニブラ?」
「あ、そうか。まだこちらでは知られていないんだな」
なんか一人で納得してるし。
「レンの住んでる町のこと?」
「半分は正解だ。君たちが呼んでいるムーという国はずっと昔に滅んでいるんだ。今は大陸の国の連合をムーと呼んでいるだけでね」
そうだったのか。まだその程度の情報も入ってこないんだな。こっちには。
「私の国はラニブラ。かつてのムー帝国の首都を擁する国だ。ソウスケには覚えておいてほしい」
「わかった。覚えておくよ」
と、答えたところでバックミラー越しに、中武さんのニヤニヤした顔が見える。
「なんですか、中武さん」
「いや、秋月くん、今のをスルーしちゃうんだね」
「な、やめてください!」
レンが中武さんに抗議するけど、ほんとになんのことかわからない。どこをスルーしたんだ俺。
「もう…、とにかく人が多いのは平気だ。気を使ってくれてありがとう。ソウスケ」
「あ、うん。それで先にレンの行きたい店にいってもいいかな。ほんとは昼ご飯にしたいんだけど、まだ混んでると思うからさ」
「ああ、もちろんだ。ふふっ、楽しみだな」
「二人とも、ちょっと口出ししてもいいかな?」
中武さんからの突っ込み。
「そういう初々しいのもいいんだけどね。せっかく来たんだから美味しいものを食べようよ。連れて行くから」
そうして連れてこられたのは、目的地のショッピングモールのすぐ近く。グリム童話の女の子の呼び名を店名にした、地元の有名店だった。
「じゃあ、秋月くん。レンを頼むよ。また夕方に迎えにくるから」
そう言って、中武さんはさっさと車で走り去ってしまった。
「…とりあえず、入ろうか」
「すまない、ソウスケ。あの人は昔からああなんだ…」
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