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繋いだ手
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その後も勢いは止まらずに、あっという間に皿を空にしてしまう。食後のケーキを幸せそうに頬張るレンを見ていると、少し量が物足りなかったのも忘れてしまいそうだった。
会計を終え、ニコニコ顔の店員さんに見送られて店を出る。
「あぁ、美味しかった。日本はすごいな。ソウスケ」
「うん、満足したみたいでよかった。中武さんに感謝しないと」
たぶんあの人、レンのテンションが吹っ切れるの知ってて連れてきてるよな。
ありがとうございます。いいもの見れました。
「それにしても、いたるところに自動車が止まっているな」
「ああ、ここだと無いと生活できないからね。もう車がある前提で生活圏ができあがってるから」
「そうなのか。便利な乗り物だと思ったが、それはそれで不便な気がするな」
言われてみるとそうかも。あんまり気にしたことなかったけど。
「あ、ソウスケ、あれはなんだろう?」
突然、レンが道の真ん中を走り出す。怖い怖い。
「レン、車とか危ないから!」
なんか小さい子供みたいだ。慌てて追いかけて手を握る。
「あっ、すまない、その…」
「ああっ!ごめん!」
慌てて手を離すと、レンが手を取ってぎゅっと握ってくる。
「ん、いいんだ。握っててくれ。また飛び出してしまうかもしれない」
俯いたまま。表情は見えない。
「あ…、うん」
壊してしまいそうなほどに細いその手を、そっと握り返す。
皮が厚くなって固いレンの掌。きっと毎日、剣を振ってるんだと思う。それなのに、こうして手を繋ぐと不思議なほど柔らかく感じる。
どうしよう、俺、女の子と手つなぐなんて記憶にないくらいなんだけど…。
「ソウスケの手は大きいな」
「うん。まぁ、身体が大きいから」
こんな返し方しかできない自分が辛い。
「えっと、それで何が気になったの?」
「ああ、その赤い結界だ」
と、レンが指差したのは稲荷神社の赤い鳥居。
「これは鳥居だよ。この先に神様が祭ってあるんだ。神域と俗界を分ける意味があるんだったかな」
「そうか。これが日本の神殿なんだな」
強い結界が張られているわけだ。とレンが納得するけど、いまいちピンとこない。
「そういうこと。どうする、入ってみる?」
「いや、気にはなるんだが…、その、はやくお店に行きたいというのが…」
そうだった。ほんとに楽しみにしてたんだな。
「じゃ、行こうか。すぐそこだから」
手を繋いだまま鳥居を背にして歩くと、すぐに目的の場所が視界いっぱいに入ってくる。
「ほら、そこだよ、レン」
反応がない。不思議に思ってレンの顔をみると、ぽかんと口を開けて目的の場所、ショッピングモールを眺めていた。
「どうかした?」
「おおきい…」
「ああ、うん、そうだね」
この地方でも最大級なんだっけ。
「そうすけ、小さいって言ってなかったか?」
「うん、この中に色んな店が入ってるんだ。市場みたいなもんかな。あ、ここから入ろう」
わざとそうしてあるのか、自然とそうなったのか、垣根の切れ目から敷地の中へ入る。
「市場…、なんでこんなものを作ろうと思ったんだろう…」
「なんでだろう。天候を気にせずに買い物できるからかな。車きてるから気をつけて」
「くるまがいっぱいだ…」
「うん。休日だからね」
レンの手を引きながら駐車場を通って入り口にたどり着く。なんかいつもより遠く感じた…。
「それじゃ、入ろう」
「わ、わかった」
なんか緊張してる。
自動ドアにはあまり驚かなかったのが少し残念だ。
「うわぁ…」
溜息が混じったような驚きの声。
俺も初めて連れてこられた時はこんなだったのかな。
「ほんとに人がいっぱいだ…」
「うん」
「みんな綺麗にしてる…」
「ここに来る時は、みんなおしゃれしてくるらしいよ」
田舎ならではだよね。
「うぁぁっ!すごいなソウスケ!」
俺の腕を揺すって飛び跳ねそうなくらいにはしゃぎ始める。
「はやく行こう!ソウスケ!」
今にも駆け出しそうな勢い。繋いだ手が手綱みたいになってるよ。
会計を終え、ニコニコ顔の店員さんに見送られて店を出る。
「あぁ、美味しかった。日本はすごいな。ソウスケ」
「うん、満足したみたいでよかった。中武さんに感謝しないと」
たぶんあの人、レンのテンションが吹っ切れるの知ってて連れてきてるよな。
ありがとうございます。いいもの見れました。
「それにしても、いたるところに自動車が止まっているな」
「ああ、ここだと無いと生活できないからね。もう車がある前提で生活圏ができあがってるから」
「そうなのか。便利な乗り物だと思ったが、それはそれで不便な気がするな」
言われてみるとそうかも。あんまり気にしたことなかったけど。
「あ、ソウスケ、あれはなんだろう?」
突然、レンが道の真ん中を走り出す。怖い怖い。
「レン、車とか危ないから!」
なんか小さい子供みたいだ。慌てて追いかけて手を握る。
「あっ、すまない、その…」
「ああっ!ごめん!」
慌てて手を離すと、レンが手を取ってぎゅっと握ってくる。
「ん、いいんだ。握っててくれ。また飛び出してしまうかもしれない」
俯いたまま。表情は見えない。
「あ…、うん」
壊してしまいそうなほどに細いその手を、そっと握り返す。
皮が厚くなって固いレンの掌。きっと毎日、剣を振ってるんだと思う。それなのに、こうして手を繋ぐと不思議なほど柔らかく感じる。
どうしよう、俺、女の子と手つなぐなんて記憶にないくらいなんだけど…。
「ソウスケの手は大きいな」
「うん。まぁ、身体が大きいから」
こんな返し方しかできない自分が辛い。
「えっと、それで何が気になったの?」
「ああ、その赤い結界だ」
と、レンが指差したのは稲荷神社の赤い鳥居。
「これは鳥居だよ。この先に神様が祭ってあるんだ。神域と俗界を分ける意味があるんだったかな」
「そうか。これが日本の神殿なんだな」
強い結界が張られているわけだ。とレンが納得するけど、いまいちピンとこない。
「そういうこと。どうする、入ってみる?」
「いや、気にはなるんだが…、その、はやくお店に行きたいというのが…」
そうだった。ほんとに楽しみにしてたんだな。
「じゃ、行こうか。すぐそこだから」
手を繋いだまま鳥居を背にして歩くと、すぐに目的の場所が視界いっぱいに入ってくる。
「ほら、そこだよ、レン」
反応がない。不思議に思ってレンの顔をみると、ぽかんと口を開けて目的の場所、ショッピングモールを眺めていた。
「どうかした?」
「おおきい…」
「ああ、うん、そうだね」
この地方でも最大級なんだっけ。
「そうすけ、小さいって言ってなかったか?」
「うん、この中に色んな店が入ってるんだ。市場みたいなもんかな。あ、ここから入ろう」
わざとそうしてあるのか、自然とそうなったのか、垣根の切れ目から敷地の中へ入る。
「市場…、なんでこんなものを作ろうと思ったんだろう…」
「なんでだろう。天候を気にせずに買い物できるからかな。車きてるから気をつけて」
「くるまがいっぱいだ…」
「うん。休日だからね」
レンの手を引きながら駐車場を通って入り口にたどり着く。なんかいつもより遠く感じた…。
「それじゃ、入ろう」
「わ、わかった」
なんか緊張してる。
自動ドアにはあまり驚かなかったのが少し残念だ。
「うわぁ…」
溜息が混じったような驚きの声。
俺も初めて連れてこられた時はこんなだったのかな。
「ほんとに人がいっぱいだ…」
「うん」
「みんな綺麗にしてる…」
「ここに来る時は、みんなおしゃれしてくるらしいよ」
田舎ならではだよね。
「うぁぁっ!すごいなソウスケ!」
俺の腕を揺すって飛び跳ねそうなくらいにはしゃぎ始める。
「はやく行こう!ソウスケ!」
今にも駆け出しそうな勢い。繋いだ手が手綱みたいになってるよ。
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