天から二物も三物も与えられ過ぎた俺がダンジョンで青春を取り戻す

黒丸

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「じゃ、行こう」

「ああ、うん」

 真の小さな手で手首をつかまれ引っ張られる。

 興梠さんの座るカウンターを抜けて、職員の人に頭を下げながら、休憩スペースの衝立の中に入ると――

 「うわ」

 思わず声が出た。

 丸テーブルを囲んで座る、ごつい男が三人。知り合いじゃなかったら近づきたくない。

「うわってなんだ。宗助」

「いや、三人で小さいテーブル囲むと、威圧感すごいですよ」

「お前に言われるとショックだな……」

「どう考えても、宗助一人のほうが威圧感あんだろぉが」

「それ、絶対に宗助くんが言っちゃ駄目なことだと思う」

 全員からボコボコに言われた。仕方ないでしょ、俺は身体が大きいだけの小心者なんだから。

 すこしへこみながら、真と並んでパイプ椅子に腰掛ける。

 ビシッギッと悲鳴を上げるパイプ椅子。

「なんか聞いたことねえ音だしてんぞ」

「弱いんですよ。パイプ椅子って」

「卒業式の練習で三脚壊してたもんね」

 余計なこと言うな真。

「まあ、宗助はこれからも椅子を壊し続けるだろうから、それは置いとこう」

「そうだな……」

 そうだなじゃないですよ。これでも気を使って座ってるんですよ。

「でだ、そんなに凹むってことは、よっぽど酷い降られ方でもしたのか?」

「う……」

 いきなり斬り込んできた。

「話すと少し楽になんぞ?」

 悪魔の囁きだ。そう思って春人さんを見ると、普通に心配そうにしてた。

 普段はデリカシーないくせに、こういう時は優しいんだもんなぁ。

「いや、振られた訳じゃないんです。けどこういうの初めてだったんで」

「そうか……、振られた訳じゃないのか……」

 耕介さん寂しそうにしないで。仲間じゃなくてすいません。

「ボクとしては、何があったのかすっごく気になります。この6年間、こんなことなかったんですよ!」

「真だって無かっただろ!」

「ボクはあるし!」

「え!?」

 全員の声がハモった。真も普通に恋愛してたんだ。

「真のはとりあえず置いとこう……」

「そうだな。置いとこう」

「で、何があったんだよ、宗助」

 スルーして俺に振ってくる三人。真は少し不満そうだけど、俺の話が気になるのか口は出さない。

「実は昨日、自宅のダンジョンを攻略したんです」

「ああ、それは知ってる」

「お前、公式チャンネル見ろよ、ホントによぉ」

 はあ!? 公式チャンネル!?

「また俺がネタにされてたんですか!?」

「動画の話は後で!」

「続けろ……、宗助……」

 真と耕介さんの圧が強い。てか、耕介さんこういう話好きなんですか。

「えっと、それでその、最下層攻略にあたって、危険かもしれないって、ムーから立会人がきたんですよ。それが、その、同じ歳の女性で、それでまぁ、その……」

「惚れたか……?」

 ストレートすぎる。

「……はい」

「ええええ!? 宗助くんそんなちょろいの!?」

 ちょろいって言うなよ!



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