今日も私は思考する

希ヰ

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或る男と女

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「今日はいい天気ね」

ガサガサした声の女が呟いた

「こんなに晴れ晴れしていると逆に憂鬱になるのだけれど今日はとても気分がいいのよ」

僕は黙ったままその場に立っていた

「私今だから言うのだけれど貴方のこと嫌いじゃなかったのよ」
むしろ好きすぎるくらいと女は付け足した

(ああ僕も好きだった)
どうしても声にはならなかった

「貴方と過ごした二年間案外嫌いじゃなかったのよ」

(僕だってそうさ)

「ねえ、最後に声くらい聞かせてくれたっていいんじゃないの?」

「君は今どこに居るんだ?」



声より先に聞こえたものは頭蓋骨が砕ける音だった
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