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第1章

218 末路

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次の日、学校にアジャーニ君と護衛君達の姿が見えない。イボンヌちゃんとバルテレモンちゃんは来ている。
まさかもう足がついたのか? いくら何でも早過ぎる気がする。いや、クタナツ騎士団の優秀さなら当然なのか?

「おはよう。すごいことになったようね。」

「おはよ。アレクはもう全部知ってる? 僕はよく分かってないんだよね。」

「長くなるから昼休みに少し、放課後にじっくり話してあげるわ。」



そして昼休み。

「アジャーニ君は自滅したらしいの。わざわざ代官府に行って自分が怪しいと思われる行動をしたらしいわ。」

「あらら、効果覿面だったのね。そんなに効くとは思わなかったよ。」

「カースの仕業? 一体どんな手を使ったのよ。」

「大したことじゃないよ。アジャーニ邸に行って殺し屋が捕まったことを伝えただけ。そしたら証人を消したり新しい殺し屋の手配に慌てて動くんじゃないかと思ってね。」

「あきれた。のこのこ出向くカースもだけど、それで焦って自滅って。」

「いや、カース君はすごいよ。自分に殺し屋を向けた相手の家に行くなんて。僕には怖くてできないよ。」

スティード君はこんな時いつも褒めてくれるんだよな。もちろん怖かったから自動防御をガチガチに張ってたけど。

ちなみにセルジュ君は……

「ラブレターで誘き寄せて殺そうとするなんて意外と斬新かもね。僕なら死んでたかも。」

「いやーどうだろう? 殺し屋のくせに長々と喋ってばかりなんだよ。何か続きがあったのかも知れないけど。変な殺し屋だよね。」

「で、アレックスちゃん。どうやってアジャーニ君まで辿り着いたのかしら? あのクラスの貴族を捕らえるなんて半端な証拠じゃ無理でしょう?」

さすがサンドラちゃん、鋭い。

「それは放課後ね。時間が足りないわ。お昼寝もできなかったし。」

一体どんな筋書きなんだ。
今日も放課後が待ち遠しいぜ。




そして放課後。

「そもそもアジャーニ君の家はお代官のアジャーニ本家筋とは仲が良くないの。この冬に一家でクタナツに来たのは揉め事を起こすためらしいわ。もしかしたらあのグリーディアントの事件にも関わってるかも知れないわね。
で、代官としては証拠なんか後回しで構わないから潰してしまいたかったようなのよ。その結果が昨夜。一家丸ごと捕まったらしいわ。名目上は貴族に対する殺人。家族はアジャーニ君の連座ね。」

「なるほどね。始めからそうなる予定でもあったのね。アジャーニ君が問題を起こさなかったとしても早いか遅いかの違いしかなかったのかも知れないわ。そう考えると彼も可哀想なものね。」

サンドラちゃんは意外と優しいんだな。
それにしてもアレクでも仲介役がクタナツ外の納屋で何をしたかまでは聞いてないだろう。父上には伝えてあるが、その後が気になるんだよな。

さて、バルテレモンちゃんとイボンヌちゃんはどうするのかな?
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