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第1章

224、カース、大物を釣る

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早速釣りに挑戦してみる。

餌にはさっき獲ってもらったウンタンを利用する。前回食べた時に不味かったからな。
しかし魔物からすればいい匂いかも知れない。

釣り糸を鉄スノボに括り付け海面から一メイル付近に浮かべる。
ここは沖合二百メイルぐらいだろうか。
私は銀ボードに乗って海面から十メートル付近に待機している。水中からいきなり襲われたら怖いからだ。そして上から鉄スノボを観察しつつ待つ。

ただ待つのも退屈なので上から氷霰こおりあられをざあざあ落とす。見た目は海面に雨が降っているようだが、実際は細かい氷の粒が降っている。小魚の群れだと思ってくれるだろうか。

むっ、反応あり!
鉄スノボをゆっくりと回転させて糸を巻き取りながら上昇させる。

魚だ!
これはマグロか?
しかし困った。
重さは百キロムはありそうなマグロを持ち上げることはできるがこのままでは収納できない。
〆る必要がある、どうしよう。
仕方ない、引き返して助けを求めよう。
ツウォーさーん!



ツウォーさんはすぐに〆てくれた。そればかりか解体までしてくれた。だからお礼にカブトと身の一割を渡しておいた。
なお名前はツナマグロと言うらしい。

気をとりなおして二回戦。
今度は魔力を大量に込めた水球をいくつも落とす。さらなる大物狙いだ。

待つこと二十分。
いきなり鉄スノボが海に沈んだ!
私の浮身を上回る力で引くとは。
慌てて金操で鉄スノボを海上に引き揚げる。
海中だと浮身が効かないからだ。
後はじっくり浮身で上げればいいだろう。

海面近くまで寄ってきた獲物を見てびっくりだ。かなり大きい。全長二十メイルはありそうだ。こんなの引き揚げられるはずがない。

ならば『落雷』

少しぐらい身が焼けても構うことはない。

死んだのか気絶しているのか分からないが、このまま波打ち際まで引っ張る。収納はそれからだ。
全体が見えてきた。これはイルカなのか? しかし顔はオークだ。人面魚、いや豚面魚か。
これがシーオーク?

生死の判定をするため尻尾付近にサッと近付いてサッと収納を試みる。収納できた!
加減が分からなかったので強めの落雷にして正解だったらしい。
ツナマグロもこうすればよかった。

では村長に見てもらおう。





「こいつは驚いたわい。シーオークか。それも大きい。よく引き揚げられたもんじゃの。」

「身を二割差し上げますので解体をお願いできますか?」

「いいじゃろう。喜んでやるとも。待っておれ。」

こうして待つこと三十分足らず。
見事にバラされたシーオークが並ぶ。約束通り二割を残して収納する。魔物だけに魔石もあった。これはギルドで売ろう。

「他に魚をお持ちでしたら買いたいのですが。」

「おお、持って行け。この一箱で銀貨一枚でいいぞ。」

前回より少ない気がするがまあいいだろう。
ありがたく頂いていく。

「今回はありがとうございました。またお願いしますね。」

「おお、また来てくれいの。」

いい収穫だった。
キアラもきっと喜んでくれるに違いない。
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