【完結】幼なじみが気になって仕方がないけど、この想いは墓まで持っていきます。

大竹あやめ

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あれから一週間、結局悠は家で悶々と過ごしていて、何もできなかった。

清盛の母から何度かご飯の支度を頼まれていたが、行く気になれず、出来あいのものを玄関に置いていくだけだ。

当然宿題も手につかず、提出ギリギリまで放っておいたのだが、それもそろそろできなくなってきた。

なので、いつもより早く学校に登校し、溜めた宿題をやろうと決めた。

朝の教室は落ち着くし、最近は避けていて見ていないが、清盛とまりんが仲良く登校する姿を、見なくて済むと思ったからだ。

少しずつ日の出が遅くなっていくこの時期は、空気も澄んでいてついつい外を眺めてしまう。

緑は黄色や赤に変わり、早いものは落ち葉となって土へ還る。

悠はこの季節が一番好きだった。

しばらく外を眺めて落ち着いてから、自分の席に着く。

宿題と言っても新しく習うことは少なく、大学入試問題の応用を、こなしていくだけだ。

もともと成績が良い悠は、すぐに宿題を終えてしまう。

時計を見ると、清盛と藤本がいつも登校してくる時間だった。集中していたせいで、随分クラスメイトが来ていたのも、今になって気付く。

この一週間、意識的に避けたこともあったが、気分的に穏やかでいられるのは、まりんを見かけることが、少なくなったからだろうか。

(そういえば……)

まりんがここのところ、清盛に纏わり付いてないことに気付く。

登校したときだって、前は教室まで付いてきていたのに、それもない。

「よ、春名」

「おはよ、藤本」

藤本は何か知っているのだろうか、清盛ならいつもは何かあったら言ってくるし、それが喧嘩したという程度でも、同じだ。

「なぁ、ちょっと聞いて良いか?」

珍しい悠からの質問に、藤本は面白そうに首をかしげた。

からかいモードのそれに、一瞬聞く人を間違えたかな、と思う。

「井上さん、最近来ないね」

「えっ? あ、あぁ……」

意外な質問だったのか、藤本は戸惑ったようだ。

しかしすぐに納得したのか、またからかいモードに戻る。

やはり何か知っているようだ。悠は話せ、と目で脅すと、降参したように肩をすくめた。

「別れた。二、三日前」

「おっす、悠に幸太っ」

詳しく聞こうと思ったのに、タイミング悪く当の本人が来てしまった。

今の会話を聞かれていないかヒヤッとしたが、大丈夫のようだ。

そして悠の顔を見るなり、拗ねたような顔をする。

「悠、お前最近登校時間早すぎ。あんな時間じゃ、俺合わせられないだろ?」

「別に一緒に登校するって決めてないじゃないか。それに、宿題溜めてたんだよ」

「……幸太~、悠が冷たい」

「はいはい」

子供のように騒ぐ清盛は、やっぱりいつもと変わらない。

とても失恋したとは思えない元気さだ。

「とにかく、もう遠慮しなくていいからさ、登下校、一緒にするよな?」

清盛としても、一応避けられていた自覚はあったようだ。言外に別れたと言っている。

彼女がいなくなったとたんにこの態度で、思うところがないわけではないが、全開の笑顔で見つめられて、顔が熱くなる。

「ついでに、また家に来てメシ作ってくれよ。やっぱ一人で食うのは寂しいしさぁ」

殊更明るく言う清盛に、少しだけ悠は違和感を抱く。

やはり、別れたことは多少なりともダメージを負っているのだろうか。

ついさっきはいつもと変わらないと感じたはずなのに、どことなく不安定さを感じて、不安になる。

「確かに、春名の作るオムライスは、お世辞無しに美味かった」

「だろ? あー、俺、今日オムライス食べたいなぁ」

「今日は絵美さん帰ってくる日だろ」

「あれ? 俺のところには悠に頼んだってメールがきたぞ?」

証拠だ、と言わんばかりに、自分の携帯電話を悠に見せてくる。

確かに、晩御飯は悠ちゃんに頼みました、と書いてあった。

多少の時間差がるのかもしれないし、手違いでもあったのだろうか、あまり気にしないことにする。

「じゃ、今夜はオムライスな」

うきうきと自分の席に着く清盛に、ニヤニヤと笑いを止めない藤本。

やっぱり清盛にはいつも押し切られてばかりだ、とため息をついた。
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