【完結】幼なじみが気になって仕方がないけど、この想いは墓まで持っていきます。

大竹あやめ

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博美の家に帰った二人は、まだ日も高いというのに二人でお風呂に入った。

本当は一人で入りたかった博美だが、なんだかんだと押し切られて、準備も幸太の手で施され、そのまま達してしまったところで我に返り、幸太の肩を叩く。

「もうっ、だから、嫌だって言ったのに……っ」

大体、博美の体は幸太に触れられることに、とことん弱い。そして、こうやって強引に押し切られるのも、本気で嫌がっていないことも、幸太にはばれているのだろう。それが悔しい。

息を切らす博美の額に、幸太は軽くキスをすると、意地悪な笑顔を向ける。

「何が嫌なんだ? いっちゃったから?」

「……っ、ん!」

狭い浴槽の中で、博美の体が震えた。まだ博美の中にあった幸太の指が、敏感な内部を緩やかに刺激する。

「ちょ、ちょっと……っ」

「何?」

博美は指の動きを止めてもらおうと肩を叩くが、絶えずくる快感の波に襲われ、跨いで座っている幸太の太ももを締め付けるだけだ。

「あ、あっ……あっ」

「……博美さん、可愛い」

頭上で幸太の嬉しそうな声が聞こえて、それだけで腰が砕けるかと思った。達したばかりだというのに再び熱くなった中心が、刺激を受けるたびひくひくと震える。

「……こんなもんかな」

「え? あ、んんっ!」

一人納得したような声がしたかと思うと、後ろの指がいきなり抜かれた。

思わず声を上げると、目を細めた幸太が軽くキスをする。続きを上がってしよう、と離れる間際に言われ、いつまでも余裕の幸太に、自分が恥ずかしくなった。

浴室から出て寝室に入ると、エアコンによってちょうどいい室温になっていた。

先にベッドに入っていた幸太が、ベッドヘッドに凭れて座っている。その彼が、下半身は隠しているけれど、真っ裸なことにドギマギした。

「おいで」

いつもの心地いい声で呼ばれ、ふらふらと近寄ると、先ほどと同じように足の上に座らされる。どうやら、幸太はこの体勢が好きらしい。

「何、服着ちゃったの?」

両頬を包んで顔を近づけてくる幸太に、大人しく口付けを受け入れると、彼の体から先ほど使ったボディーソープの香りがする。

(ああ、幸太のにおいだ……)

その香りの中に、幸太の体臭の存在を見つけると、博美はとても安心するのだ。この人は全部信じて良い、任せて良い、と。

「……ん」

深く浅く口付けを交わしているうちに、治まりかけていた熱が再び起き上る。

ふわふわと脳がとろけ、余計な力が抜けて行った。夢中でそれを繰り返していると、苦笑したような声がする。

「博美さん、先進まなくていいの?」

「ん……?」

顔を離され、幸太と目が合う。眼鏡をしていないせいか、少し潤んだ彼の瞳は、博美の顔を捉えると少し細められ、頬から首筋を優しく撫でた。

「そんなに俺のキス、好き?」

「うん……」

とろりとした意識でそう答えると、気を良くしたのか、さらに笑みを深くした。

「じゃ、これは?」

「……っ、ん……」

ゆっくりと焦れるほど指先が体を這い、ゾクゾクする感覚に身を震わせる。

特に首筋と脇腹、腿の内側は博美が感じやすいところであり、幸太は確実に博美を煽っていく。

「や、やだ、幸太……」

「嫌じゃないでしょ? ここも尖ってきた」

幸太が指すのは博美の薄い胸板にある乳首のことだ。そこは特に敏感な場所であり、早く触って欲しいとさえ思ってしまう。

「博美さんのここ、可愛いね。俺が触ったり舐めたりしたらどうなっちゃうかな?」

「ば……っ」

バカ、となじろうとして、博美は息を詰めた。幸太が胸の突起に吸い付いているのを見て、慌てて視界を遮断し、声を抑えるために指を噛む。

ビクビクと勝手に体が震え、それに合わせて後ろもひくついたのが、恥ずかしくて堪らない。

「こら、声抑えちゃったら俺の楽しみがないだろ? せっかく綺麗な指してんのに、噛まないの」

なだめるようにポンポンと背中を叩かれ、博美は詰めていた息をそろそろと吐き出した。

こういう時の幸太は、信じられないくらいいやらしい苛め方をするから困る。嫌だ、とかバカ、とか責めても、全く応えた様子はなく、むしろ嬉しそうにしてさらにちょっかいをかけてくるから厄介だ。

「こ、幸太、お願いだから……」

博美の今までの経験からして、前儀に時間をかけてセックスをするというのはなかった。

だからこちらが感じすぎて疲れてしまうのも、翻弄されているようで悔しいのだ。このままではホントに生殺しで死んでしまう。

「お願い? 言ってごらん」

しかし幸太はそう言いながらも、博美の口をふさいでくる。喋れない、と逃げても、いじわるなことに彼は博美の欲しいところに触れてくるので、期待にまた体を震わせた。

「あっ、幸太、幸太……っ」

「なぁに、博美さん?」

自分ではどうしようもなくなって、悶えて幸太の名前を呼ぶと、余裕のない博美の姿を見て悦んだのか、少し上ずった幸太の声が聞こえる。

(ダメ、いっちゃう、いっちゃうっ)

ふるふると首を横に振ると、幸太は一度愛撫の手を止めた。

「博美さん、ちゃんと自分の欲しいもの言って。何でもしてあげるから、我慢しないで」

そう言った幸太の額に少し汗がにじんでいるのに気付き、博美は「ああ、そうか」と納得する。幸太も博美が望んでいるものを与えたくて我慢しているのだ。

セクシャルマイノリティで悩んだ自分は、望み通りに生きることを諦めていた。

初めて欲しいと思った理想の彼氏も、幸太が察して飛び込んできてくれた。

それは臆病で甘え方を知らない博美のために、幸太が扉を開けてくれたのだ。

(もう十分傷ついてきたんだから、そろそろ思い通りに生きても良いんじゃないか)

あの言葉は、こういうことから始まるのだ、と博美は気付く。

こういう場面で、幸太が必要以上に博美を苛めるのは、ずっと博美の要求を待っていたからなのかもしれない。

(なのに俺は嫌、ダメしか言えなくて……)

どうしてこの彼氏はここまで先回りして、至れり尽くせりなんだろう、と思ったら、嬉しくて目頭が熱くなった。

「あーあ、泣かせちゃったな」

鼻をすすった博美に気付いて、幸太は大きな手のひらで涙をぐいぐい拭ってくれる。

「ごめん、やりすぎたか?」

「ち、ちがうっ、……うーっ」

しかし一度決壊した涙腺はなかなか落ち着いてはくれず、ぼろぼろと泣く博美に、幸太は軽く優しい口づけを何度か顔に落とす。

「頼むから泣き止んでよ、ね?」

困ったような幸太の声がして、しまいには子供の様に頭を撫でられ、恥ずかしくなった。

散々人のことを苛めておいて、泣かれることには弱いらしい。

「幸太……」

「なに?」

涙が溜まった瞳で見つめると、幸太も優しい瞳で返してくる。出会った頃は苦手だと思っていた視線も、今は独占できることが嬉しい。

「好き……」

博美は自ら幸太の唇にキスをすると、珍しく彼は息を詰めた。

彼らしくない慌てた様子に、自らの中心を掴んだ幸太を見ると、やはり珍しく耳を赤く染めた幸太が悶えている。

「……幸太?」

「……やっぱ泣かせてやる」

「え? ちょ、や……っ、あああっ!」

低く呻いたかと思ったら、幸太は博美の薄い尻を持ち上げ、自らの楔を押し込んだ。

あまりの圧迫感に博美は叫び、視界が一瞬白くなる。クラクラする頭で結合部を覗くと、しっかりと幸太のものが埋め込まれていて、その景色の卑猥さにゾクゾクした。

「あっ、あっ、いきなり……傷ついたらどうすんのっ」

「風呂で十分ほぐしてやっただろ? 今のは博美さんが悪い」

「な、何で……っ?」

幸太の態度の変化が自分のせいだと言われ、何の事だか分からないうちにむさぼるようなキスをされた。同時に胸の突起も摘ままれ、捏ねられ、押しつぶされると、幸太を食んだ場所が複雑に動く。

それに触発されたのか、幸太は一定のリズムで腰を小刻みに動かし、博美の中の敏感な個所を擦った。

「ひぁ……っ、あっ、んん……っ」

脳天まで突き抜けるような刺激が走り、キスどころじゃなく天井を仰ぐと、満足そうな声がする。

「博美さんの中、すっごい動いてるよ? もしかして、いっちゃってるの?」

博美はまともに声が出せないまま、首を横に振る。幸太と付き合うようになってから、射精を伴わないドライオーガズムを得られるようになったのは、つい最近のことだ。

「博美さん、嘘はダメ。俺のこと、こんなにきつく締め付けてるのに」

幸太の意地悪なセリフは、甘く博美の体に響いて、それだけで悶えさせる。

だんだん早くなるストロークに、博美はただただ夢中になって快感をむさぼるだけだ。

しかし、今日は何かが違った。博美の下半身に、いつもは見られない兆候があったのだ。

「あ……っ、幸太っ、嫌だ、何か変……っ!」

最初は博美も射精の前兆かと思っていた。しかし、それには至らずに震えていた博美の中心は、先端から体液を溢れさせている。

博美はそれを止めようと力を込めたが、逆に幸太を締め付ける結果に終わり、その上体液の出る勢いは増すばかりだ。

「幸太、嫌だ、止めてよ……っ!」

博美の変化に気付いた幸太が、それを眺めてニヤニヤする。

「ホントにいっちゃってんだ……ああ、博美さん、漏らしてるみたいでいやらしいな」

「……っ!!」

「ついでに言うと、こういうこと言われるの、嫌じゃないでしょ?」

幸太は博美の腰を持ち上げると、下から思い切り突き上げてきた。

「あああっ!!」

あまりの衝撃に目がチカチカして、幸太の肩に凭れる。しかし、幸太も限界が近いらしく、容赦なく肉がぶつかる音を響かせた。

「……っ」 

ほんの少し、意識を失っていたのかもしれない。気付いたら、幸太も達して息を乱しつつ、博美の背中をゆっくりと撫でていた。

凭れていた体を起こすと、申し訳なさそうな幸太の顔とぶつかる。

「……やりすぎた?」

「当たり前だよっ!」

博美は彼の肩を叩くと、ごめんごめん、と頭を撫でてきた。

「あはは、そんなの、可愛い博美さんが悪い」

「かわ……」

恥ずかしいセリフを言われ、固まった博美の鼻に、幸太は噛みついた。

目の前の賢い瞳は、愛情に溢れていて、自分はどうしてこの瞳を遠ざけようと思ったのか、反省した。

二人はしばらく軽く触れ合い、キスをし、繋がった体を解く。

体が離れるのは少し寂しいと思っていたら、我ながら女々しいな、と苦笑した。

その後、博美は案の定動けなくなり、幸太が甲斐甲斐しく、というか嬉しそうに後始末をしてくれて、夕飯の時間になるまで二人でベッドの上で過ごした。

「あのさ……」

博美の指に触れて遊んでいた幸太が、珍しく緊張したように呟く。

「今度、俺の家に来て。紹介すっから」

「……いいの?」

「いいのって、博美さんこそ大丈夫か? あ、いや、これは言い訳にしかならんか……」

やはり少し緊張しているらしい。博美の指をピースの形に折ると、手首を持ち上げ、意味もなく左右に振る。

「なに?」

「俺もな、それなりに独占欲があるわけだ。で、うちの家族は美人に弱い。下手したら親は博美さんを息子にしよう、なんて言い出すかもしれない。家族に憧れてるなら、親は欲しいと思うだろ? だから……」

本当に珍しく、幸太が要領を得ない話をするのは初めてだ。

「俺とパートナーになるなら、博美さんが俺の親父ってことになる。この間は勢いでプロポーズしたけど、博美さん的に……」

「らしくないよ? 幸太」

博美は手首を握っている幸太の手に、反対の手を重ねた。動きを止めた幸太は、次に長々と息を吐く。彼が何を気にしているのか、全く見当がつかないが、なかなか口にしないところを見ると、幸太自身のことだろう。

「……ホントは家になんか連れて行きたくないんだよ」

だけど両親があまりにもしつこくて、と根負けしてしまったらしい。いつ来るのかと毎日のように聞かれて、博美の家族へ挨拶に行ったら、と約束してしまったそうだ。

「このまましらばっくれるのも手だろうけど、そうしたら、この家まで乗り込んで来そうだからな」

落ち着いた幸太からは想像もできない家族だ。博美は軽く同情すると、もしかして、出会った時に中途半端な期間塾にいたのは、それのせいなのかも、と思う。そしてそれは、多分外れてはいないだろう。そして本音は、さらっと言った独占欲云々のようだ。

「うん、俺、どこまでも付いて行くよ」

時々分かりにくく照れる幸太に博美も嬉しくなってそう言うと、幸太は小さな声で「サンキュ」と応えた。
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