51 / 58
第51話 リーダーの死 【追放Side】
しおりを挟む
手足こそ失ったが、生きていれば充分だ。
もう、冒険者はできないが、俺は頭もいいから、今度は商人でもやるか。
次の目標に心が踊る。
俺が欲しいのは金と女。
手っ取り早く、手に入るのが【選抜騎士】だったから、目指しただけ。それが無理なら次の方法を探すまでだ。
普通の人間はこうは考えられないだろうな。
いつまでも、失ったモノをグジグジと考えてるんだ。
「へっ。やっぱり、人生はこうでないとな!」
「何言ってるのよ、一先ず、アジトに着いたわよ」
プリスが連れてきたのは、【二頭鯨《にとうげい》】と呼ばれる場所だった。ここには槌臼《つちうす》と呼ばれる防御力と攻撃力が高い魔物の縄張りだ。
中途半端な冒険者じゃ乗り越えることが出来ないと言われている。俺達も港町に用がある場合は、極力迂回し、近付かないようにしていたんだが……。
「アジト……?」
「そう。取り敢えず私たちは国からはお尋ねモノでしょ? だから、ほとぼりが冷めるまで、ここで隠れてようかなって」
「そ、それは確かに……」
プリスの奴、ちゃんと考えてるんだな。
色恋にしか目がないのかと思っていたよ。
「でも、ここなら人が来ないわよ?」
パサリ。
脱いでいた服を落とした。
「ここでするのか?」
「ええ。それともしたくない?」
「まさか!」
やりてぇに決まってんだろ!!
プリスは、とんと俺の身体を地面に置いた。
あー、もう、なんでもいいや。我慢できねぇ。早く、その綺麗な指で俺に触れてくれ。舌を出して快楽を待つ俺に、
「何度見ても、だらしない顔ですねぇ」
顔を抑えて笑う男が現れた。
紳士然とした言葉遣い。俺はこの声を忘れたことは一度もない。
「オストラ……! なんで、てめぇがここに居るんだ!」
オストラへの問いに答えたのは、プリスだった。
一糸まとわぬ姿で、オストラの細い体に抱き着く。
「まだ分からないの? 最初から、私はあなたを助けに行ったわけじゃないの。オストラに、ここに連れてくるように頼まれたのよ」
「まあ、そういうことです。しかし、本当に上手く行くとは思いませんでした」
良く出来ましたと、ふわふわのプリスの髪を撫でる。
「ねえ、ご褒美はぁ~」
プリスは子犬が飼い主に甘えるように、ケツを降る。
「仕方がありませんねぇ」
細い指がプリスの下腹部をまさぐる。この光景で、プリスがオストラを裏切ったわけじゃないことが、はっきり分かった。
「あ、うん!? 凄い、上手……。指だけでこんなに気持ちいのは、オストラだけよ!」
トロンと瞳が解けている。
余程、気持ちがいいのか、呂律すら怪しくなっていた。
ビクン。
プリスの身体が跳ねる。
全身の力が抜けたのか、ヘナヘナと倒れ込んだ。
くそ!
俺だって手があれば、それくらい出来るんだぞ!!
倒れたプリスの頭を撫で、オストラが言う。
「さて、それじゃあ、仕上げとしましょうか。プリス。彼の隣に立ってください」
「へ? な、なにするの~? もう、あんな気持ち悪い奴の近く行きたくないよ! オストラから離れたくない!!」
「嬉しいことを言ってくれますね。しかし、私がお願いしているんです。将来の夫の頼みを妻は聞けないんですか?」
「ううん。そんなことないじゃない」
こいつら――将来を約束してるのか。
ふざけんなよ。
俺をこんな目に合わせた癖に、自分達だけ幸せになろうだなんて、絶対に許せない!!
プリスが俺の横に立つ。
こうなったら、足でも食い千切ってやろうか。
牙を剥いてプリスの足に齧り付こうとした瞬間――。
ザン。
風の刃がプリスを引き裂いた。
「どう……して?」
ドスン。
プリスの上半身が近くに落ちた。
な、何が起きたんだ?
「さてと。これで邪魔な女も殺せました。後はしぶとい馬鹿だけですね」
「お前……何してるんだ!? プリスを嫁にするんじゃなかったのかよ!」
「あなたねぇ。こんな尻軽で頭の悪い女を嫁にするわけないでしょう? 遊んだら殺すつもりだったんです」
「お前……」
「どうせ殺すなら、あなたを攫って貰おうと利用したんですよ。本当に頭が良いとはこういうことを言うんですよ?」
オストラは、俺の頭を片足で踏みつけ、「ふふふ」と、紳士ぶって笑う。首を振って足を払おうとするが、オストラの力は強く首だけの力だけでは、どかすことができなかった。
つまり、それは逃げられないということだ。
こ、殺される……。
死体になったプリスを見る。オストラは人を殺すことに躊躇いなんて持ってない。
「た、助けてくれ……! 何でも言うこと聞くから!!」
「なにを言ってるんですか。あなたみたいな馬鹿は、どうやっても使い物にはなりませんよ」
ザン。
プリスを殺した時と同じく、俺を魔法で切り裂いた。
「が、っがああ!」
身体が引き裂かれ熱い。
た、助けてくれぇ! ママぁ~。
俺が一体、何したって言うんだよ。
グス、グスン。
痛みに啜り抜く俺に、オストラは笑う。
「バニスさん。死ぬ前に良い事を教えてあげましょうか? 能力がない人間ほど、人を見下すんですよ。生まれ変わったら、自分の立場を理解できる賢さがあるといいですね」
オストラが俺の顔を突き刺した。
もう、冒険者はできないが、俺は頭もいいから、今度は商人でもやるか。
次の目標に心が踊る。
俺が欲しいのは金と女。
手っ取り早く、手に入るのが【選抜騎士】だったから、目指しただけ。それが無理なら次の方法を探すまでだ。
普通の人間はこうは考えられないだろうな。
いつまでも、失ったモノをグジグジと考えてるんだ。
「へっ。やっぱり、人生はこうでないとな!」
「何言ってるのよ、一先ず、アジトに着いたわよ」
プリスが連れてきたのは、【二頭鯨《にとうげい》】と呼ばれる場所だった。ここには槌臼《つちうす》と呼ばれる防御力と攻撃力が高い魔物の縄張りだ。
中途半端な冒険者じゃ乗り越えることが出来ないと言われている。俺達も港町に用がある場合は、極力迂回し、近付かないようにしていたんだが……。
「アジト……?」
「そう。取り敢えず私たちは国からはお尋ねモノでしょ? だから、ほとぼりが冷めるまで、ここで隠れてようかなって」
「そ、それは確かに……」
プリスの奴、ちゃんと考えてるんだな。
色恋にしか目がないのかと思っていたよ。
「でも、ここなら人が来ないわよ?」
パサリ。
脱いでいた服を落とした。
「ここでするのか?」
「ええ。それともしたくない?」
「まさか!」
やりてぇに決まってんだろ!!
プリスは、とんと俺の身体を地面に置いた。
あー、もう、なんでもいいや。我慢できねぇ。早く、その綺麗な指で俺に触れてくれ。舌を出して快楽を待つ俺に、
「何度見ても、だらしない顔ですねぇ」
顔を抑えて笑う男が現れた。
紳士然とした言葉遣い。俺はこの声を忘れたことは一度もない。
「オストラ……! なんで、てめぇがここに居るんだ!」
オストラへの問いに答えたのは、プリスだった。
一糸まとわぬ姿で、オストラの細い体に抱き着く。
「まだ分からないの? 最初から、私はあなたを助けに行ったわけじゃないの。オストラに、ここに連れてくるように頼まれたのよ」
「まあ、そういうことです。しかし、本当に上手く行くとは思いませんでした」
良く出来ましたと、ふわふわのプリスの髪を撫でる。
「ねえ、ご褒美はぁ~」
プリスは子犬が飼い主に甘えるように、ケツを降る。
「仕方がありませんねぇ」
細い指がプリスの下腹部をまさぐる。この光景で、プリスがオストラを裏切ったわけじゃないことが、はっきり分かった。
「あ、うん!? 凄い、上手……。指だけでこんなに気持ちいのは、オストラだけよ!」
トロンと瞳が解けている。
余程、気持ちがいいのか、呂律すら怪しくなっていた。
ビクン。
プリスの身体が跳ねる。
全身の力が抜けたのか、ヘナヘナと倒れ込んだ。
くそ!
俺だって手があれば、それくらい出来るんだぞ!!
倒れたプリスの頭を撫で、オストラが言う。
「さて、それじゃあ、仕上げとしましょうか。プリス。彼の隣に立ってください」
「へ? な、なにするの~? もう、あんな気持ち悪い奴の近く行きたくないよ! オストラから離れたくない!!」
「嬉しいことを言ってくれますね。しかし、私がお願いしているんです。将来の夫の頼みを妻は聞けないんですか?」
「ううん。そんなことないじゃない」
こいつら――将来を約束してるのか。
ふざけんなよ。
俺をこんな目に合わせた癖に、自分達だけ幸せになろうだなんて、絶対に許せない!!
プリスが俺の横に立つ。
こうなったら、足でも食い千切ってやろうか。
牙を剥いてプリスの足に齧り付こうとした瞬間――。
ザン。
風の刃がプリスを引き裂いた。
「どう……して?」
ドスン。
プリスの上半身が近くに落ちた。
な、何が起きたんだ?
「さてと。これで邪魔な女も殺せました。後はしぶとい馬鹿だけですね」
「お前……何してるんだ!? プリスを嫁にするんじゃなかったのかよ!」
「あなたねぇ。こんな尻軽で頭の悪い女を嫁にするわけないでしょう? 遊んだら殺すつもりだったんです」
「お前……」
「どうせ殺すなら、あなたを攫って貰おうと利用したんですよ。本当に頭が良いとはこういうことを言うんですよ?」
オストラは、俺の頭を片足で踏みつけ、「ふふふ」と、紳士ぶって笑う。首を振って足を払おうとするが、オストラの力は強く首だけの力だけでは、どかすことができなかった。
つまり、それは逃げられないということだ。
こ、殺される……。
死体になったプリスを見る。オストラは人を殺すことに躊躇いなんて持ってない。
「た、助けてくれ……! 何でも言うこと聞くから!!」
「なにを言ってるんですか。あなたみたいな馬鹿は、どうやっても使い物にはなりませんよ」
ザン。
プリスを殺した時と同じく、俺を魔法で切り裂いた。
「が、っがああ!」
身体が引き裂かれ熱い。
た、助けてくれぇ! ママぁ~。
俺が一体、何したって言うんだよ。
グス、グスン。
痛みに啜り抜く俺に、オストラは笑う。
「バニスさん。死ぬ前に良い事を教えてあげましょうか? 能力がない人間ほど、人を見下すんですよ。生まれ変わったら、自分の立場を理解できる賢さがあるといいですね」
オストラが俺の顔を突き刺した。
0
あなたにおすすめの小説
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる