ドラゴンスレイヤーだがメス限定

RYOMA

文字の大きさ
5 / 6

ビジネスパートナーはレア職

しおりを挟む
「道具士!? なんだそれ?」
「通称、アイテムマスターと呼ばれているレアジョブです」

朝食を取りながら、シズナの話を聞いていたのだけど、彼女はレンジャーでもシーフでもなかった。道具士というあまり聞いたことないジョブで、能力の詳細は秘密と教えてくれなかった。まあ、特に興味がなかったので、それ以上は詮索せず彼女の奢りである朝食に集中する。

朝食は魚の干物を焼いたものに、ご飯、豆スープ、緑野菜のお浸しと、バランスの取れた献立だ。全体的に美味しいのだが、その中でも魚の干物はヤバイくらいに美味い。凝縮された魚の旨味にほどよい塩加減、完璧な味のバランスに感動すら覚える。

「ふごぅ~ふぅめえなぁ、ごぉれ、ごふっ」
「食べながら喋るのは行儀が悪いですよ」
「らってよ、かんどぉうてきにうめえぇよ」

食べながら喋ったことで飛んだ食べカスがシズナの顔にかかった。彼女は表情一つ変えないでハンカチでそれをぬぐい、一呼吸置いて激高する。

「食べながら喋るなって言ってるでしょうが!!」
「わりいわりい……」
あまりの怒りように素直に謝った。


朝食が食べ終わり、食後の炭豆茶を堪能しながら、さらに彼女の話を聞く。

「炎天のヴァーミリオンは親の仇なんです。奴の卑劣な罠で私の父は殺されました。しかし、炎天は八天獄の一人、この国で一、二を争う犯罪ギルドの幹部になるほどの実力者で、私一人ではまともに戦っては勝ち目はありません、かと言っても最悪の組織を相手に一緒に戦ってくれるものなど見つからず、困っていた時に貴方が恐れることなく炎天の情報を聞き込みする姿を見かけまして……」

「なるほどな、ていうか聞き込み時には八天獄がそんな大きな組織だって知らなかっただけなんだけどな」
「そうなんですか!? 実は無茶苦茶な実力者で、一人で八天獄をぶっ潰すつもりだという話では……」
「いや、そもそも俺は奴らの下っ端が奪ったドラゴンの牙を取り返したいだけだから」
「そうですか……」
シズナはあからさまに残念がっている。そりゃそうだ。強力な助っ人だという認識だっただけに落胆は相当なものだろう。

「まあ、そんなに落ち込むな、場合によってはその炎天のなんたらってのを倒すのも手伝ってやるから」
「場合ってどういう時ですか!」
「たとえばドラゴンの牙をその炎天なんたらが返さないって言った時とかかな」
「えっ、それじゃ、手伝ってくれるんですね!」
「どういう意味だよ、俺は場合によってはって言ってるだろ」
「そんなの絶対に返さないって言うに決まってるじゃないですか」
「そうなのか?」
「ドラゴンの牙は強力なドラゴンの上位種のレアドロップ素材ですよ! そんな貴重な品をそう簡単に返してくれるわけないじゃないですか、間違いなくこじれるはずです!」
「こじれることをそんな嬉しそうに言われてもな……まあ、そん時はそん時だな、しかし、手伝ったとしても戦力になるかはわからんぞ」
「大丈夫です、多少の気をそらす時間だけ作ってもらえれば後は私がなんとか倒します」

まともには勝てないと言っても、不意を突けば勝てる手は持っているようだ。はっきり言って、俺は自分がどれほどの強さなのか知らない。相手は炎天だとか偉そうな呼び名があるくらいだから相当な強さだろう、そうなると俺抜きでも勝てる算段ができているのは朗報ではあった。

ちなみ独立できた現状でも師匠には手も足もでないくらいの力の差はある。もし、その炎天が師匠クラスの相手であれば、俺はまったく戦力にはならないだろう。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...