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一員として
【08-09】リンカー起動
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「ブ、ブレイクスルー!!」
ブレイクスルーってことは何か革新的な考え方や開発が行われたってことだけど。これまでそれらしい話は噂としても聞いたことない。僕だけなら知らなくてもおかしくないけど周りの様子を伺う限り僕だけが驚いているわけではない。菊池さんも仁科さんも驚いているし、村山さんも大きく目を開けて驚いている。仁科さんは声が少し大きいよ。
「詳しくは知らされていないのですけどね。そういうことです」
詳しく説明されても理解できないだろうから別にいいのだけど。そうか。これからはVRだけでなくARも普及するってことなのか。それの第一歩がリンカー。
「ARの話をしているからARに関する技術だけだと思ってるかもしれないけど、これがまたすごいことになってるみたいだね。リンカーも新しい技術がふんだんに使われているから」
矢澤コーチはあらかじめ知っていたみたいだ。
んんっ?? ARに関する技術じゃないってこと? じゃあ、なんの技術だろう。リンカーもそうってことはCPUとかかな。
タブレット型PCで経過を見ていた本庄さんがリンカーと僕のデバイスを差し込んだ箱の前まで歩き、そこから二つを取り出した。そして、リンカーの方を僕に差し出す。
「これがあなたの新しいデバイス、リンカーです。大切に扱ってください」
「リンカーは現段階だと支給されたもの以外にないから壊さないでね」
なんかこれを受け取るのが嫌になるな。
「そんなこと言って脅さないでください。大丈夫だから。すでにリンカーを作る許可や仕組みは各国に公表されているから。今後日本でも開発が進むはずだよ。まあ、このリンカーはオリジナルとして高性能なワンオフであることは間違いないけど」
僕が少し戸惑ったのが分かったのか本庄さんが矢澤コーチをたしなめてくれる。
ずっと受け取らないってこともできないか。僕は観念してリンカーを受け取った。
リンカーに触った感触はアクリル板より少しだけやわらかい感触だけど重さは今まで使ってデバイスと同じくらいか少し重いぐらい。軽く曲げようとしてみるがびくともしない。側面を囲っている黒い金属はつや消しがされていて深い黒色になっている。
「今まで使っていたバトラーはこちらで回収になるから。データもリンカーに移した後に初期化したから安心して」
「バトラー?」
「このVRデバイスのことだけど。名前聞いてなかったの?」
本庄さんが僕が使っていたVRデバイスを持ちながら聞いてきた。
「教えたはずだよ。菊池さんが説明していたのを私も聞いてる」
僕が忘れていただけか。僕はずっとデバイスって言ってたからなぁ。
データはもう初期化されちゃってるのか。なんともいえない気持ちです。
「一通り触ってみたところで起動してみようか」
本庄さんにそう言われて、起動ボタンを探すが見当たらない。どこだどこだとリンカーを縦横に二回転ほどさせるが見当たらない。
「ふふっ。リンカーの初期起動は音声で行うんだよ。私の後に続けて言ってね。『Start Linker.』」
笑うぐらいなら初めから教えてほしいな。
「スタートリンカー」
僕がそう言うとリンカーが一度震えて画面が黒く塗られて色々と表示される。英語やら数字が流れていくと合成音声が流れた。
『Linker Started up.Welcome Linlker』
「これってずっと英語なんですか?」
「そんなことはないはずだよ」
英語で返答が来るもんだからついそう聞いてしまった。
『リンカー起動者による日本語を確認しました。以後、日本語を主言語としますか?』
おお。僕が日本語を話したからか日本語に変わった。
「おねがい」
『……承諾を確認しました。主言語を日本語にします』
すごいな。
「すげーな」
「すごいですね」
「ほんとにね」
今のやり取りを聞いてリンカーを知らなかった三人が驚きの声を漏らしている。仁科さんなんて素が出てるよ。
あれ。普通にやり取りしているけど黒川じゃないのか。黒川大丈夫かな。
『リンカー、無事起動完了しました』
リンカーからその声が聞こえると画面が変わる。今までのデバイスと同じようにインストールされているソフトが並んでいる。右にスライドするとページが切り替わり下から上にスライドすると音量や画面高度、通信手段や着信通知の方法など簡単な設定画面が出てくる。操作感は今までと同じだ。だからこそ違和感もあるけど。
「無事起動できたみたいだね」
「はい」
「じゃあ、最初の画面を左にスライドしてみてくれるかな」
僕は言われた通り簡易設定の画面を下に収納して左にワイプする。左に画面が移るとそこには僕のAWでの『tail』のアバターの情報が映っていた。ゲーム上のステータスや所属が書かれている。僕はどこにも所属していないから『所属:なし』になってるけど。おかしいな。ステータスの数値はが総数しか書いてない。こういう仕様なのかな。
「これって」
「君のアバター情報が出たかな。そこではAWとSWのアバターを設定できる。アバターを横にスライドしてみて」
「俺たちにも見せてくれ」
仁科さんがそう言うのでテーブルの上に置いて操作をすることにした。僕がテーブルにリンカーを置くとリンカーの画面が見えるように仁科さんが近寄ってきて菊池さんと村山さんも覗いてくる。あれ、矢澤コーチも覗いてきた。あなたしってるんじゃないの?
アバターの上を軽く指で横に撫でるとAWのアバターからSWのアバターに変わった。SWのアバターは現実の容姿がダイレクトに反映される。SW内で設定やアイテムを使って容姿を替えることはできるけど、登録されている容姿は現実世界の物になる。だからこそ、SW内で犯罪を犯そうものなら現実の容姿で指名手配されるというわけだ。
「堤君だね」
「これはSWのアバターかしら」
「SWのアバターが出たらそれをタッチしてくれ」
僕は言われた通りの操作を続ける。アバターをタッチすると小さく映っていたアバターが画面大に拡大されて下にARアバターに設定しますか? はい。いいえ。という選択肢が出ている。
「ARアバター設定ではいを選択して。それで一応のAR設定が終わるから」
本庄さんは言い終わるとリンカーが入っていた箱に近寄ってガサゴソと何かを取り出している。
僕はリンカーに目を向け、はいを選択する。『選択を完了しました』と出て、元のアバターの画面に戻った。これで完了かな。この設定って後でも替えられるのかな。僕は気になってSWのアバターを横にワイプしてAWのアバター『tail』を出してアバターをタッチする。画面が切り替わり大きくなったアバターの下にARアバター設定の項目があるのを確認して僕はいいえを押した。
「設定が終わったらこれをかけてくれるかな。これは人数分あるから」
本庄さんからスポーツグラスのようなシャープな形状の眼鏡を手渡される。僕はメガネだけだけど他の人はメガネと一緒にライターぐらいの大きさの四角い金属も受け取っていた。
メガネとしてはレンズの部分が大きめになっている気がする。メガネなんてしたことないからわからないけど。
「まだスイッチは入れないでください」
スイッチってグラス自体にあるのかな。くるりとまわしながら見てみるが見つからない。僕が渡されなかったあのライターみたいな機械にスイッチがあるのか。
僕たちが受けとっている間に矢澤コーチはすでにメガネを掛けていた。形状が鋭利なデザインでどうもスーツとはミスマッチに感じなくはない。スポーツ選手とかがスーツ着たときに一緒にサングラスをしてます、みたいな印象を覚える。
もらったグラスを掛けてみる。特にこれといったことはない。度も入ってないようだ。僕以外もグラスを掛けてはいる。
「グラスを掛けたらスイッチをいれてください。堤君は少し待ってて」
僕以外がスイッチを入れる。
「おお。すげー」
「へー。おもしろいわね」
それぞれが宙を不規則に見つめてから僕を見る。僕を見る視線は一定ではなく、僕の上半身と下半身、手と足と部分部分を見ている感じだ。
「堤君はリンカーで簡易設定を出してそこから詳細設定に移ってくれるかな。簡易設定の画面に歯車のマークがあるはず。それを押せば詳細設定に移るよ」
「はい」
アバターが出ている画面で下から上にスワイプして簡易設定を出すと右下に歯車のマークが見つかった。僕がそれを押すと設定画面へと画面が替わった。
「その中にAR設定という欄があるはずだからそこからそれをタップして」
言われた通りAR設定というのがVR設定と並んで表示されている。しかし、僕の目線は他にも捉えていた。
「パーソナルAIってのはなんですか?」
「ん? 堤君が今まで使っていたVRデバイスにもあったはずだけど。使ってなかったのかな」
「いえ。使っていました。これって前のデバイスで使っていたAIが使えるんですか?」
「そのはずだよ。気になるなら今やってみるといい。時間はいっぱいあるからね。いいですよね? 矢澤さん」
「もちろん。リンカーのことは全く知らないから是非やってみてくれ」
僕はAR設定ではなくパーソナルAIの欄をタップする。そこにはオンオフのスイッチがあってその下にいくつかの選択肢が付いていた。僕はそれをオフからオンに替えた。
ブレイクスルーってことは何か革新的な考え方や開発が行われたってことだけど。これまでそれらしい話は噂としても聞いたことない。僕だけなら知らなくてもおかしくないけど周りの様子を伺う限り僕だけが驚いているわけではない。菊池さんも仁科さんも驚いているし、村山さんも大きく目を開けて驚いている。仁科さんは声が少し大きいよ。
「詳しくは知らされていないのですけどね。そういうことです」
詳しく説明されても理解できないだろうから別にいいのだけど。そうか。これからはVRだけでなくARも普及するってことなのか。それの第一歩がリンカー。
「ARの話をしているからARに関する技術だけだと思ってるかもしれないけど、これがまたすごいことになってるみたいだね。リンカーも新しい技術がふんだんに使われているから」
矢澤コーチはあらかじめ知っていたみたいだ。
んんっ?? ARに関する技術じゃないってこと? じゃあ、なんの技術だろう。リンカーもそうってことはCPUとかかな。
タブレット型PCで経過を見ていた本庄さんがリンカーと僕のデバイスを差し込んだ箱の前まで歩き、そこから二つを取り出した。そして、リンカーの方を僕に差し出す。
「これがあなたの新しいデバイス、リンカーです。大切に扱ってください」
「リンカーは現段階だと支給されたもの以外にないから壊さないでね」
なんかこれを受け取るのが嫌になるな。
「そんなこと言って脅さないでください。大丈夫だから。すでにリンカーを作る許可や仕組みは各国に公表されているから。今後日本でも開発が進むはずだよ。まあ、このリンカーはオリジナルとして高性能なワンオフであることは間違いないけど」
僕が少し戸惑ったのが分かったのか本庄さんが矢澤コーチをたしなめてくれる。
ずっと受け取らないってこともできないか。僕は観念してリンカーを受け取った。
リンカーに触った感触はアクリル板より少しだけやわらかい感触だけど重さは今まで使ってデバイスと同じくらいか少し重いぐらい。軽く曲げようとしてみるがびくともしない。側面を囲っている黒い金属はつや消しがされていて深い黒色になっている。
「今まで使っていたバトラーはこちらで回収になるから。データもリンカーに移した後に初期化したから安心して」
「バトラー?」
「このVRデバイスのことだけど。名前聞いてなかったの?」
本庄さんが僕が使っていたVRデバイスを持ちながら聞いてきた。
「教えたはずだよ。菊池さんが説明していたのを私も聞いてる」
僕が忘れていただけか。僕はずっとデバイスって言ってたからなぁ。
データはもう初期化されちゃってるのか。なんともいえない気持ちです。
「一通り触ってみたところで起動してみようか」
本庄さんにそう言われて、起動ボタンを探すが見当たらない。どこだどこだとリンカーを縦横に二回転ほどさせるが見当たらない。
「ふふっ。リンカーの初期起動は音声で行うんだよ。私の後に続けて言ってね。『Start Linker.』」
笑うぐらいなら初めから教えてほしいな。
「スタートリンカー」
僕がそう言うとリンカーが一度震えて画面が黒く塗られて色々と表示される。英語やら数字が流れていくと合成音声が流れた。
『Linker Started up.Welcome Linlker』
「これってずっと英語なんですか?」
「そんなことはないはずだよ」
英語で返答が来るもんだからついそう聞いてしまった。
『リンカー起動者による日本語を確認しました。以後、日本語を主言語としますか?』
おお。僕が日本語を話したからか日本語に変わった。
「おねがい」
『……承諾を確認しました。主言語を日本語にします』
すごいな。
「すげーな」
「すごいですね」
「ほんとにね」
今のやり取りを聞いてリンカーを知らなかった三人が驚きの声を漏らしている。仁科さんなんて素が出てるよ。
あれ。普通にやり取りしているけど黒川じゃないのか。黒川大丈夫かな。
『リンカー、無事起動完了しました』
リンカーからその声が聞こえると画面が変わる。今までのデバイスと同じようにインストールされているソフトが並んでいる。右にスライドするとページが切り替わり下から上にスライドすると音量や画面高度、通信手段や着信通知の方法など簡単な設定画面が出てくる。操作感は今までと同じだ。だからこそ違和感もあるけど。
「無事起動できたみたいだね」
「はい」
「じゃあ、最初の画面を左にスライドしてみてくれるかな」
僕は言われた通り簡易設定の画面を下に収納して左にワイプする。左に画面が移るとそこには僕のAWでの『tail』のアバターの情報が映っていた。ゲーム上のステータスや所属が書かれている。僕はどこにも所属していないから『所属:なし』になってるけど。おかしいな。ステータスの数値はが総数しか書いてない。こういう仕様なのかな。
「これって」
「君のアバター情報が出たかな。そこではAWとSWのアバターを設定できる。アバターを横にスライドしてみて」
「俺たちにも見せてくれ」
仁科さんがそう言うのでテーブルの上に置いて操作をすることにした。僕がテーブルにリンカーを置くとリンカーの画面が見えるように仁科さんが近寄ってきて菊池さんと村山さんも覗いてくる。あれ、矢澤コーチも覗いてきた。あなたしってるんじゃないの?
アバターの上を軽く指で横に撫でるとAWのアバターからSWのアバターに変わった。SWのアバターは現実の容姿がダイレクトに反映される。SW内で設定やアイテムを使って容姿を替えることはできるけど、登録されている容姿は現実世界の物になる。だからこそ、SW内で犯罪を犯そうものなら現実の容姿で指名手配されるというわけだ。
「堤君だね」
「これはSWのアバターかしら」
「SWのアバターが出たらそれをタッチしてくれ」
僕は言われた通りの操作を続ける。アバターをタッチすると小さく映っていたアバターが画面大に拡大されて下にARアバターに設定しますか? はい。いいえ。という選択肢が出ている。
「ARアバター設定ではいを選択して。それで一応のAR設定が終わるから」
本庄さんは言い終わるとリンカーが入っていた箱に近寄ってガサゴソと何かを取り出している。
僕はリンカーに目を向け、はいを選択する。『選択を完了しました』と出て、元のアバターの画面に戻った。これで完了かな。この設定って後でも替えられるのかな。僕は気になってSWのアバターを横にワイプしてAWのアバター『tail』を出してアバターをタッチする。画面が切り替わり大きくなったアバターの下にARアバター設定の項目があるのを確認して僕はいいえを押した。
「設定が終わったらこれをかけてくれるかな。これは人数分あるから」
本庄さんからスポーツグラスのようなシャープな形状の眼鏡を手渡される。僕はメガネだけだけど他の人はメガネと一緒にライターぐらいの大きさの四角い金属も受け取っていた。
メガネとしてはレンズの部分が大きめになっている気がする。メガネなんてしたことないからわからないけど。
「まだスイッチは入れないでください」
スイッチってグラス自体にあるのかな。くるりとまわしながら見てみるが見つからない。僕が渡されなかったあのライターみたいな機械にスイッチがあるのか。
僕たちが受けとっている間に矢澤コーチはすでにメガネを掛けていた。形状が鋭利なデザインでどうもスーツとはミスマッチに感じなくはない。スポーツ選手とかがスーツ着たときに一緒にサングラスをしてます、みたいな印象を覚える。
もらったグラスを掛けてみる。特にこれといったことはない。度も入ってないようだ。僕以外もグラスを掛けてはいる。
「グラスを掛けたらスイッチをいれてください。堤君は少し待ってて」
僕以外がスイッチを入れる。
「おお。すげー」
「へー。おもしろいわね」
それぞれが宙を不規則に見つめてから僕を見る。僕を見る視線は一定ではなく、僕の上半身と下半身、手と足と部分部分を見ている感じだ。
「堤君はリンカーで簡易設定を出してそこから詳細設定に移ってくれるかな。簡易設定の画面に歯車のマークがあるはず。それを押せば詳細設定に移るよ」
「はい」
アバターが出ている画面で下から上にスワイプして簡易設定を出すと右下に歯車のマークが見つかった。僕がそれを押すと設定画面へと画面が替わった。
「その中にAR設定という欄があるはずだからそこからそれをタップして」
言われた通りAR設定というのがVR設定と並んで表示されている。しかし、僕の目線は他にも捉えていた。
「パーソナルAIってのはなんですか?」
「ん? 堤君が今まで使っていたVRデバイスにもあったはずだけど。使ってなかったのかな」
「いえ。使っていました。これって前のデバイスで使っていたAIが使えるんですか?」
「そのはずだよ。気になるなら今やってみるといい。時間はいっぱいあるからね。いいですよね? 矢澤さん」
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