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変わり始めた日常
【05-03】説明
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教員塔を出た僕は校舎に向かう。VRデバイスで時間を確認するとすでに一限目が始まる時間を過ぎていた。先生に呼ばれていたという理由があるだけに急ぐ必要はないが、心情的には急がないといけないと思ってしまう。その結果、僕は速足で校舎を目指す。
授業中に一人廊下を歩いているというのは罪悪感と同時に少しのスリルがあって楽しい気持ちになる。僕はなるべく音を出さないように廊下を歩き教室の前のドアの前まで来た。僕はドアを開けようと手を伸ばして僕は朝の事を思い出す。空けるのを一瞬ためらってから前のドアではなく後ろのドアからこっそり入ろうと考えた。僕はいつの間にか身に着いたAWでの〔忍び足〕の歩き方で教室の後ろのドアの前まで行く。
僕は教室のドアをゆっくりと音を立てないように開いた。授業はすでに始まっていて先生の声だけが聞こえてくる。一限目の授業は数学だ。僕が抜き足差し足していると先生が教室前のディスプレイから教室の方に目を向けた先生が僕に気づく。
「おお。戻ってきたか。角田先生からは効いているから気にするな」
そう言って先生は再び授業に戻っていった。だが、生徒は違う。先生の言葉で僕の方に向いた視線の大半はディスプレイの方に戻るが、いくつかの視線は僕を向いたままだ。僕はなるべく気にしないように歩き自分の席に座った。
僕が席に着くと前に座っている拓郎が後ろを向いてえ僕に言ってきた。
「大丈夫か?」
いつもと変わらない様子の拓郎の声と表情に僕は安心した。強化選手のことで友達でいられなくなttらと本気で心配していた僕がばかだったみたいだ。僕は安心したからか息を長く吐いた。
席に座った僕は中から教科書を机の上に出す。今は数学Aの時間だ。先生はディスプレイをうまく使って確立についての説明をしていく。僕がこの学校の教室で黒板ではなくディスプレイが使われていて本当によかったと思う。ディスプレイを使っているため数学の計算式なんかも先生は省略せずに書いてくれるからだ。もちろん授業中に直接ディスプレイに書いていく先生もいるが、今数学Aを言教えてくれている先生はあらかじめ数式は表は画像として用意してくれているのでとても分かりやすい。今も、一度解説が行われた問題をより具体的な表にして説明してくれている。些細なことだが生徒の側からすればとてもありがたいのだ。
僕は教科書を見ながら先生の話を聞く。ノートは書かない派だ。生徒の大半が僕と同じ授業中にはノートを書かない派。この学校では、あとからVRデバイスでいくらでも板書を見ることができる。予習や復習にはノートを使うが、授業中にノートを書く必要はないだろう。僕は授業に集中していった。
-------
数学Aの時間が終わり休み時間に入ると、いつものように前に座る拓郎と話した。その後の休み時間でも拓郎や智也と勇人とも話したが、だれも強化選手の事には触れてこなかった。僕に遠慮したのだろうか。それとも教室の雰囲気を考えてだろうか。僕は休み時間の旅に身構え、そして、安心していた。もし聞かれたらなんて言えばいいのだろう。僕はただ選ばれただけなのに。でも、選手を目指している拓郎たちに簡単なことは言いたくない。
結局、拓郎から強化選手のことを聞かれたのは四度目の休み時間である昼休みの時であった。
空腹の生徒が多く歩く廊下を拓郎と智也と勇人の四人で歩いて食堂に向かい、VRデバイスから注文した昼食を受け取った僕らは二階で食べることにした。提案したのは智也。本当に助かる。やはりというか、僕に対する負の感情の籠った視線は相変わらず無遠慮に僕を突き刺している。それを察したからの提案だろう。僕たちは四人で二階に上がった。
いつもは坪田君を合わせた五人で食べることが多いのだが、坪田君は今回は別の人と食べるといって一緒に来なかった。坪田君は僕とは違い、クラスメイトの全員と話している気がする。僕は話し相手は目下のところ五人だけ。栗栖さんや竹澤さんとも話すことは話すのだが、まあ、勘定に入れるほどではない。
二階は初めて食堂に来た時見たように一回を見渡すことの出来る位置には一人掛けのソファーと小さな丸テーブルが置かれていて。見えないような壁際には三、四人が座れるようなソファーと大きなテーブルや、高そうな六人掛けのダイニングテーブルもあった。僕たちは四人用のダイニングテーブルに陣取った。
二階を使っている人は僕の予想よりも多く、女子生徒が多かった。
僕たちが陣取ったダイニングテーブルは、重厚な木の造りに椅子の背もたれやテーブルの柱に丁寧な彫刻がされていてアンティークのような印象を持たせながらも清潔感を持たせるという学校の食堂にはふさわしくないものだった。
僕は始めて見るような高そうなテーブルに少し遠慮しつつも椅子を引いて座り、トレーをテーブルに置いた。四人が座ったのを確認してからそれぞれが挨拶をして食べ始めた。
今日の僕の昼食は蕎麦。暖かい蕎麦に天ぷらが乗っている。エビ天とかき揚げだ。付け合わせにはいつも頼んでいるサラダだけ。僕はいつものようにサラダを食べてからレンゲで蕎麦の汁を飲む。東京風の蕎麦になっていてかつお出汁が使われているような味がした。僕はかき揚げを食べようとしたときつい柳家喬太郎の時そばのマクラで聞いたコロッケそばの話を思い出してにやけてしまった。そこで、僕は自身が緊張していたことに気づいた。休み時間の度に緊張していたが今も緊張しているみたいだ。
数秒、無言で食事を続けた後、拓郎が僕の方を向いた。
「瑠太。本当に強化選手になったのか? ていうか、強化選手って何なんだ? 言葉からなんとなく意味は分かるんだが」
拓郎の言葉を僕は落ち着いて理解する。強化選手については拓郎もしたなかったみたいだ。僕もコーチに聞くまで知らなかったが、僕だけではなかったようだ。
「強化選手の話は本当だよ。正式には特殊指定強化選手だね」
「特殊指定という部分が肝なんだろうな」
智也が自身の考えを言う。
「そうだね。聞いたところによると、僕たちみたいな特殊なビルドの選手を集めるための制度らしいよ」
「おれたちってことはキメラ種ってことかな」
「極端な特化型も入るんじゃないか?」
僕の説明に勇人が自身の結論を言って、それを智也が訂正した。
「なるほどな。で、瑠太はそれに選ばれたということだな」
「うん」
拓郎が僕に落ち着いて言った。
「でも、なんで俺たちに言うってくれなかったんだ? 俺なんか同室だぞ?」
拓郎が論点を変えてきた。僕は少し沈黙した後、正直に話すことにした。
「どうやって話そうか考えてたんだよ」
「でも、だいぶ前から決まっていたんじゃないのか?」
智也が少し驚いた顔で言ってきた。まるで自身の知る事実と相違があったかのような顔だ。
「そんなことないんだけどな。話自体は二週間前に聞かされてたけど、正式に決定したのは昨日だよ?」
僕が言うと、智也は顎に手を当て考え込む。その横で勇人が言った。
「おれが今朝聞いた話だとだいぶ前から決まっていたってことだったけど」
「ああ、私もそう聞いていた。違ったということか……?」
智也は勇人の言葉に同意するように呟いた後、さらに考え込んでしまった。二人の様子を見ながら拓郎がまとめに入った。
「結局、瑠太が選手として一歩リードしたってことだな」
僕は拓郎の目を見る。僕の見る限りでは、拓郎の目には嫉妬や怒りの色が見えない。
「そう言うことになるね」
僕がそう言って、この話題は一旦終了することになった。対眠づよくみんなの食事が終わったのだ。僕たちはトレーを片し、教室に戻ることにした。
授業中に一人廊下を歩いているというのは罪悪感と同時に少しのスリルがあって楽しい気持ちになる。僕はなるべく音を出さないように廊下を歩き教室の前のドアの前まで来た。僕はドアを開けようと手を伸ばして僕は朝の事を思い出す。空けるのを一瞬ためらってから前のドアではなく後ろのドアからこっそり入ろうと考えた。僕はいつの間にか身に着いたAWでの〔忍び足〕の歩き方で教室の後ろのドアの前まで行く。
僕は教室のドアをゆっくりと音を立てないように開いた。授業はすでに始まっていて先生の声だけが聞こえてくる。一限目の授業は数学だ。僕が抜き足差し足していると先生が教室前のディスプレイから教室の方に目を向けた先生が僕に気づく。
「おお。戻ってきたか。角田先生からは効いているから気にするな」
そう言って先生は再び授業に戻っていった。だが、生徒は違う。先生の言葉で僕の方に向いた視線の大半はディスプレイの方に戻るが、いくつかの視線は僕を向いたままだ。僕はなるべく気にしないように歩き自分の席に座った。
僕が席に着くと前に座っている拓郎が後ろを向いてえ僕に言ってきた。
「大丈夫か?」
いつもと変わらない様子の拓郎の声と表情に僕は安心した。強化選手のことで友達でいられなくなttらと本気で心配していた僕がばかだったみたいだ。僕は安心したからか息を長く吐いた。
席に座った僕は中から教科書を机の上に出す。今は数学Aの時間だ。先生はディスプレイをうまく使って確立についての説明をしていく。僕がこの学校の教室で黒板ではなくディスプレイが使われていて本当によかったと思う。ディスプレイを使っているため数学の計算式なんかも先生は省略せずに書いてくれるからだ。もちろん授業中に直接ディスプレイに書いていく先生もいるが、今数学Aを言教えてくれている先生はあらかじめ数式は表は画像として用意してくれているのでとても分かりやすい。今も、一度解説が行われた問題をより具体的な表にして説明してくれている。些細なことだが生徒の側からすればとてもありがたいのだ。
僕は教科書を見ながら先生の話を聞く。ノートは書かない派だ。生徒の大半が僕と同じ授業中にはノートを書かない派。この学校では、あとからVRデバイスでいくらでも板書を見ることができる。予習や復習にはノートを使うが、授業中にノートを書く必要はないだろう。僕は授業に集中していった。
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数学Aの時間が終わり休み時間に入ると、いつものように前に座る拓郎と話した。その後の休み時間でも拓郎や智也と勇人とも話したが、だれも強化選手の事には触れてこなかった。僕に遠慮したのだろうか。それとも教室の雰囲気を考えてだろうか。僕は休み時間の旅に身構え、そして、安心していた。もし聞かれたらなんて言えばいいのだろう。僕はただ選ばれただけなのに。でも、選手を目指している拓郎たちに簡単なことは言いたくない。
結局、拓郎から強化選手のことを聞かれたのは四度目の休み時間である昼休みの時であった。
空腹の生徒が多く歩く廊下を拓郎と智也と勇人の四人で歩いて食堂に向かい、VRデバイスから注文した昼食を受け取った僕らは二階で食べることにした。提案したのは智也。本当に助かる。やはりというか、僕に対する負の感情の籠った視線は相変わらず無遠慮に僕を突き刺している。それを察したからの提案だろう。僕たちは四人で二階に上がった。
いつもは坪田君を合わせた五人で食べることが多いのだが、坪田君は今回は別の人と食べるといって一緒に来なかった。坪田君は僕とは違い、クラスメイトの全員と話している気がする。僕は話し相手は目下のところ五人だけ。栗栖さんや竹澤さんとも話すことは話すのだが、まあ、勘定に入れるほどではない。
二階は初めて食堂に来た時見たように一回を見渡すことの出来る位置には一人掛けのソファーと小さな丸テーブルが置かれていて。見えないような壁際には三、四人が座れるようなソファーと大きなテーブルや、高そうな六人掛けのダイニングテーブルもあった。僕たちは四人用のダイニングテーブルに陣取った。
二階を使っている人は僕の予想よりも多く、女子生徒が多かった。
僕たちが陣取ったダイニングテーブルは、重厚な木の造りに椅子の背もたれやテーブルの柱に丁寧な彫刻がされていてアンティークのような印象を持たせながらも清潔感を持たせるという学校の食堂にはふさわしくないものだった。
僕は始めて見るような高そうなテーブルに少し遠慮しつつも椅子を引いて座り、トレーをテーブルに置いた。四人が座ったのを確認してからそれぞれが挨拶をして食べ始めた。
今日の僕の昼食は蕎麦。暖かい蕎麦に天ぷらが乗っている。エビ天とかき揚げだ。付け合わせにはいつも頼んでいるサラダだけ。僕はいつものようにサラダを食べてからレンゲで蕎麦の汁を飲む。東京風の蕎麦になっていてかつお出汁が使われているような味がした。僕はかき揚げを食べようとしたときつい柳家喬太郎の時そばのマクラで聞いたコロッケそばの話を思い出してにやけてしまった。そこで、僕は自身が緊張していたことに気づいた。休み時間の度に緊張していたが今も緊張しているみたいだ。
数秒、無言で食事を続けた後、拓郎が僕の方を向いた。
「瑠太。本当に強化選手になったのか? ていうか、強化選手って何なんだ? 言葉からなんとなく意味は分かるんだが」
拓郎の言葉を僕は落ち着いて理解する。強化選手については拓郎もしたなかったみたいだ。僕もコーチに聞くまで知らなかったが、僕だけではなかったようだ。
「強化選手の話は本当だよ。正式には特殊指定強化選手だね」
「特殊指定という部分が肝なんだろうな」
智也が自身の考えを言う。
「そうだね。聞いたところによると、僕たちみたいな特殊なビルドの選手を集めるための制度らしいよ」
「おれたちってことはキメラ種ってことかな」
「極端な特化型も入るんじゃないか?」
僕の説明に勇人が自身の結論を言って、それを智也が訂正した。
「なるほどな。で、瑠太はそれに選ばれたということだな」
「うん」
拓郎が僕に落ち着いて言った。
「でも、なんで俺たちに言うってくれなかったんだ? 俺なんか同室だぞ?」
拓郎が論点を変えてきた。僕は少し沈黙した後、正直に話すことにした。
「どうやって話そうか考えてたんだよ」
「でも、だいぶ前から決まっていたんじゃないのか?」
智也が少し驚いた顔で言ってきた。まるで自身の知る事実と相違があったかのような顔だ。
「そんなことないんだけどな。話自体は二週間前に聞かされてたけど、正式に決定したのは昨日だよ?」
僕が言うと、智也は顎に手を当て考え込む。その横で勇人が言った。
「おれが今朝聞いた話だとだいぶ前から決まっていたってことだったけど」
「ああ、私もそう聞いていた。違ったということか……?」
智也は勇人の言葉に同意するように呟いた後、さらに考え込んでしまった。二人の様子を見ながら拓郎がまとめに入った。
「結局、瑠太が選手として一歩リードしたってことだな」
僕は拓郎の目を見る。僕の見る限りでは、拓郎の目には嫉妬や怒りの色が見えない。
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