【仮題】VRMMOが世界的競技になった世界 -僕のVR競技専門高校生生活-

星井扇子

文字の大きさ
62 / 101
新たな日常

【06-02】ゴブリンリーダー①

しおりを挟む
 
 今日の討伐目標はゴブリンリーダーを含む集団。
 最近はゴブリンとコボルトを交互に討伐している。実はこの二種類のモンスターは両方ともに特徴があって、今後のAWプレイにおいて、いい経験になると掲示板に書いてあった。ただ書いてあるだけでほとんどのプレイヤーは無視して先に進むみたいだ。僕には当てはまらないが、一般的に他のプレイヤーにとってヴィーゼ周辺のモンスターは弱いということになっている。
 僕にとってはちょうどいい相手になるのでレベル上げがてら討伐依頼を繰り返している。今の僕のレベル帯の狩場としては効率が悪いのだが、そうでも効率のいい狩りが出来ないのだから仕方ない。それに、僕は繰り返し作業が苦手ではない。
 
 僕は確認のためステータスを開く。
 
 
 
=======

 名前:tail
 性別:男
 職業:賞金稼ぎ

 レベル:四十八
 STR:十三(上限:十三)
 MAG:五(上限:五)
 VIT:二十二(上限:二十二)
 AGI:九(上限:九)
 DEX:十(上限:十)
 SP:三

 スキル:再生(限定:核がなくなると再生しなくなる。核は一定時間で再生する)
     猛毒(限定:ヒュドラの牙・隠密迷彩蛇の牙)
     隠密(限定:隠密迷彩蛇のみ)
     迷彩(限定:隠密迷彩蛇のみ)

     気配察知
     気配遮断
     忍び足

     解体

=======
 
 
 
 レベルが四十八になっている。効率が悪いとは言っても塵も積もれば山となる。あと少しでレベルが五十を超えることになる。掲示板の適正レベルで言えば王都に行くことを推奨されるレベルだ。
 しかし、僕の今の実力ではまだ王都に行くのは難しい。王都に行くためには討伐経験のない南のウルフを倒した後、冒険者ギルドである依頼を完遂する必要があるらしい。そのための実力が今の僕に備わっているとは思えないのだ。当面の目標は南の草原にいるウルフの討伐としているのだが。今はまだ森でゴブリンとコボルトの討伐をメインにしている。
 掲示板情報では、ウルフはコボルト並みの連携に速度、そして、ゴブリン並みの力があるらしい。東と西の森を攻略できている一般的なプレイヤーであればソロでも対応できると掲示板に書かれていたが、僕は一般的なプレイヤーではない。
 
 僕の所属する『国立VR競技専門高等学校』以外にもVR競技に力を入れている組織はあるものの、そう言った組織では僕のようなキメラ種のような特化型ではなく、種族の本来の特性を利用した特化型が多く、キメラ種や人種の極端な特化型というのはまずいない。そのため、キメラ種や人種の極端な特化型というのは『国立VR競技専門高等学校』に所属する生徒か、卒業生、あとは元々VR競技に興味がなかったプレイヤーぐらいとなっているのだ。一般的なプレイヤーにはキメラ種や人種の極端な特化型がいないと言っても過言ではないかもしれない。
 その結果、掲示板の情報を鵜呑みにすることができない。
 
 一般的なプレイヤーが特に苦労する必要がないところで苦労しているのは特化型のデメリットの一つと言えるだろう。うまく特化した部分が嵌れば楽なんだろうが僕の場合は嵌らなかった。
 別に今の僕でもウルフ討伐はできると思っているし、自信はある。ただ、今駆け足で進んでしまえば後で苦労する羽目になるかもしれない。ならば、今、苦労しておこうということだ。今のレベルが四十八。レベルが五十に達したらウルフ討伐に乗りだすつもりだ。
 
 
 
-------
 
 
 
 ゴブリンを狩るために、僕は今東の森を探索中だ。今日の狙いはゴブリンリーダー。〔気配察知〕で気配が強い者と密集している場所を探していく。
 ゴブリンの集団は比較的簡単に見つかるので少数であれば手早く討伐している。
 
 ゴブリンはコボルトと比べると動きが遅い。しかも、動作自体が大きい。そのため、ゴブリン一体に対して二本の尻尾を使う程度には時間的余裕はがあるのだ。感覚的には、音ゲーで言う『階段』が続いている感覚だ。さらに言えば、インベーダーがプレイヤーが撃っている場所とその横にしか出ないような感じだ。特に難しい動作ではないが一度でもミスれば大きな修正が必要になる作業を続けていけば余裕で勝てる。
 ただ、ゴブリンリーダーのいる集団でも同じように行くかは分からない。そこらへんも今日の狩りで考察していきたい。
 
 ゴブリンを数体倒した僕は、森を歩く。
 既に長い付き合いになるスキルたちに関しては、最近では意識しなくても発動しっぱなしになっていることが多い。ヴィーゼの町を歩いていてる時、肩をぶつけられて相手が驚くなんてことが何回も起きてからは、逆に気配を消し過ぎないように調整し始めたぐらいだ。
 この影響は現実《リアル》でも現れていて、普段の歩き方も〔忍び足〕の歩き方に近くなってきている。まあ、これに関しては僕だけではない。このことに気づいてから先輩方の体の動きを観察してみると〔忍び足〕のような歩き方をしているように見える先輩もいるにはいるのだ。ただ、僕ほど顕著に出ていないので僕だけがおかしいのかもしれないという疑問が頭の片隅に存在しているが、無視している。考えたところで意味がない。今度、時間がある時に矢澤コーチに聞けばいい話だ。それに足音が消えて困ることもない。ましてや、歩き方に釣られて体幹が鍛えられて姿勢が良くなった、気がしている。いいことづくめである。
 
 僕が思考遊びで暇を持て余しながら森を探索していると、〔気配察知〕がゴブリンリーダーらしき少し大きな気配を捉えた。
 僕は気持ちを切り替えて探索行を再開した。
 
 
 
-------
 
 
 僕が見つけた集団はゴブリンリーダーにゴブリンが六体の集団だ。計七体だ。ゴブリンリーダーは剣と鎧のような装備している。他のゴブリンも県のようなものを持っている。
 僕は最初の奇襲でゴブリンリーダーを仕留める作戦で行くことに決めている。もし、最初の奇襲で仕留められれば、後はゴブリンだけの集団と同じだ。今まで通り対処すればいい。
 問題は仕留められなかった時。その時は、ゴブリンリーダーを最優先に倒してから、他のゴブリンを仕留めていく方針だ。ゴブリンリーダーがいる限り、集団としての戦闘能力が高くなる。ソロで挑むのであればゴブリンリーダー自体の存在が大きなカギを握るはずなのだ。
 
 僕は作戦をもう一度作戦を頭の中で確認した後、奇襲に適した位置取りをする。
 ゴブリンはコボルトと違って鼻が利くわけではない。だから、後ろに回り込む際に匂いで気づかれる可能性は低くなる。僕は音を出さないように慎重に回り込みゴブリンリーダーの近くに移動した。
 
 準備はできた。僕は大きく息を吐き、置きく息を吸う。
 息を整えたと同時に飛び出す。飛び出した際に音がなるが気にしない。自身の最高の速度で移動する。
 尻尾の間合いにゴブリンリーダーが入る寸前であることを認識した瞬間、僕は尻尾を操作して攻撃を仕掛ける。キーとルーとドーとラーの四匹による攻撃だ。
 
 ヒューはいつも通り待機させる。僕の体に軽く巻き付いて防御を固めると同時に自身の無事を最優先にする。〔再生〕の要である部位なのでこれでいいと思っている。いざというときの防御にも使えるちうのもいい。
 オンは〔隠密〕スキルと〔迷彩〕スキルを発動して僕の横で体を震わせている。オンは元々身体能力が高い種族ではない。攻撃の切り札的な意味を込めての配置だ。
 
 前方の四方向から蛇が迫ってくる状況にゴブリンリーダーは自身の持っていた剣を片手でがむしゃらに振った。追い払おうとしているようだ。普通の蛇であれば逃げるかもしれないが僕の尻尾たちは別だ。
 
 振るわれる剣の隙を見てキーがゴブリンリーダーの剣を支える手首に噛みつきルーが追撃する。二匹の噛みつき攻撃を受けてゴブリンリーダーは剣を落としてしまう。
 チャンスだ。僕はドーとラーで一気に首を狙おうとする。しかし、僕の視界に剣を振り上げて僕を間合いに射れようとしているゴブリンが近づいているのが入ってきた。それも三体だ。
 僕は追撃を諦め、後ろに下がる。ゴブリンリーダーの手首を放すことになってしまったが、無視をするよりはいい。僕は空いた四本の尻尾で迫ってくる三体のゴブリンの対処をする。
 視界の端で、ゴブリンリーダーが落とした剣を無事な方の手で拾い上げているのが見えた。僕はもう一歩後ろに下がり体制を整え、三体のゴブリンに備えた。
 
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します

miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。 そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。 軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。 誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。 毎日22時投稿します。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

処理中です...