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2.墓守りのアトネ
④
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「約束は果たされなかったんですか」
「いや、そこまでは描かれていない。現地に行けばまた続きがあるのかもしれないが、私たちに語り継がれているのはそこまでだな」
「……なんだか、腑に落ちない話ですね」
「そうか? 私はとても美しい話に思うが」
サルモネは難しい顔をして首を捻った。
月姫が次に蛇丸に会いに来た時に悲しい思いをするだけではないか、と唸って見せるとアトネは笑った。
「おとぎ話だ。そんな顔をせずとも良い。
まぁ、一説によると死んだ蛇丸の魂が月に行ったとも言われているんだ」
「へぇ」
「月下物語の舞台は摩訶不思議な国でな。いつか行ってみるといい」
文化が全く違う国だ。身なりも、魔法使いの身分も。
「魔法の文化はあるんですか? 」
「あぁ、あそこはなぁ……ちょっと変わっていて王家に仕える魔法士の一族があってな、神の使いと崇められているんだが……いや、やめておこう。君が自分で知るべきことだ」
アトネは言うと、サルモネの肩を叩いた。理解が乏しく頷くしか出来ないサルモネはアトネに連れられてマーリンの記念碑の前にやってきた。
「こちらはまだだったろう。オズたちが戻ってくる前に目を通しておくといい」
「ありがとうございます」
マーリンの功績がこれでもかと綴られている。ムブカードもその一つだ。
「……ムブカード、魔法舟、魔力式飛行船、魔力式機関車……」
魔力式機関車をはじめ、魔力式四駆車などはサムズウェアにもあったためサルモネは感心してしまった。
読み込んでいくうちに石碑の下の方にガタガタと拙い文字が彫られていたのを見つけた。
「カミュ……? 」
カミュと彫られた隣には削られて見えなくなった何かしらの文字があった。
明らかに記念碑に何者かが付け足したような文字だ。
「あの、アトネさん」
「どうした? 」
「ここに、文字が」
文章の羅列からはみ出した文字にアトネは顔を顰めた。
「観光に来た客がたまにやるんだ。大馬鹿者がここに名前を書くと大魔法士になれるやら、迷信を信じ込んで、ほらこっちに来てみろ」
アトネに手招きされ、記念碑の後ろに回るとびっしりと名前が彫られていた。
「わッ……」
「な? 墓はバチあたりだからこっちに書くんだ。こんなことをしても意味が無いのにな。まぁ、ロマンはあるがなぁ」
笑うアトネは空を見上げた。木々の隙間から昼間の月がぽっかりと浮かんで見える。
「ここはよく月が見える」
「……ほんとだ」
「マーリンは月が好きだったんだ」
見上げると月は高く、白く光っていた。
「お、いい時にオズたちが戻ってきた」
オズとドッグドッグがマーリンの墓の入口に現れたところだった。
「アトネ、今日は人がいないね」
「あぁ、墓荒らしが出てから人が寄り付かなくなった。どうだ、何か見つかったか」
「いや、これと言って……だけど、地面に妙な爪痕だけ見つけた。君がやられたのはおそらく爪痕の持ち主だろうね」
おそらく魔獣の仕業だろうとオズは付け加えた。
「だけど、魔獣は知力がないから墓を荒らすだけでは済まないはずだ。誰かが一枚噛んでいると思う」
「僕らも今日は一晩見張ります。サルモネさんは……」
「サルモネは僕と一緒に。ドッグドッグとアトネで二手に別れよう」
「俺、足でまといじゃ……」
魔法も使えなければ大して力もない、とサルモネは焦ったがオズは軽く「大丈夫大丈夫」と言うだけだ。
「軽く魔法でも教えてあげる」
「……え?! 今ですか?! 」
「いや、そこまでは描かれていない。現地に行けばまた続きがあるのかもしれないが、私たちに語り継がれているのはそこまでだな」
「……なんだか、腑に落ちない話ですね」
「そうか? 私はとても美しい話に思うが」
サルモネは難しい顔をして首を捻った。
月姫が次に蛇丸に会いに来た時に悲しい思いをするだけではないか、と唸って見せるとアトネは笑った。
「おとぎ話だ。そんな顔をせずとも良い。
まぁ、一説によると死んだ蛇丸の魂が月に行ったとも言われているんだ」
「へぇ」
「月下物語の舞台は摩訶不思議な国でな。いつか行ってみるといい」
文化が全く違う国だ。身なりも、魔法使いの身分も。
「魔法の文化はあるんですか? 」
「あぁ、あそこはなぁ……ちょっと変わっていて王家に仕える魔法士の一族があってな、神の使いと崇められているんだが……いや、やめておこう。君が自分で知るべきことだ」
アトネは言うと、サルモネの肩を叩いた。理解が乏しく頷くしか出来ないサルモネはアトネに連れられてマーリンの記念碑の前にやってきた。
「こちらはまだだったろう。オズたちが戻ってくる前に目を通しておくといい」
「ありがとうございます」
マーリンの功績がこれでもかと綴られている。ムブカードもその一つだ。
「……ムブカード、魔法舟、魔力式飛行船、魔力式機関車……」
魔力式機関車をはじめ、魔力式四駆車などはサムズウェアにもあったためサルモネは感心してしまった。
読み込んでいくうちに石碑の下の方にガタガタと拙い文字が彫られていたのを見つけた。
「カミュ……? 」
カミュと彫られた隣には削られて見えなくなった何かしらの文字があった。
明らかに記念碑に何者かが付け足したような文字だ。
「あの、アトネさん」
「どうした? 」
「ここに、文字が」
文章の羅列からはみ出した文字にアトネは顔を顰めた。
「観光に来た客がたまにやるんだ。大馬鹿者がここに名前を書くと大魔法士になれるやら、迷信を信じ込んで、ほらこっちに来てみろ」
アトネに手招きされ、記念碑の後ろに回るとびっしりと名前が彫られていた。
「わッ……」
「な? 墓はバチあたりだからこっちに書くんだ。こんなことをしても意味が無いのにな。まぁ、ロマンはあるがなぁ」
笑うアトネは空を見上げた。木々の隙間から昼間の月がぽっかりと浮かんで見える。
「ここはよく月が見える」
「……ほんとだ」
「マーリンは月が好きだったんだ」
見上げると月は高く、白く光っていた。
「お、いい時にオズたちが戻ってきた」
オズとドッグドッグがマーリンの墓の入口に現れたところだった。
「アトネ、今日は人がいないね」
「あぁ、墓荒らしが出てから人が寄り付かなくなった。どうだ、何か見つかったか」
「いや、これと言って……だけど、地面に妙な爪痕だけ見つけた。君がやられたのはおそらく爪痕の持ち主だろうね」
おそらく魔獣の仕業だろうとオズは付け加えた。
「だけど、魔獣は知力がないから墓を荒らすだけでは済まないはずだ。誰かが一枚噛んでいると思う」
「僕らも今日は一晩見張ります。サルモネさんは……」
「サルモネは僕と一緒に。ドッグドッグとアトネで二手に別れよう」
「俺、足でまといじゃ……」
魔法も使えなければ大して力もない、とサルモネは焦ったがオズは軽く「大丈夫大丈夫」と言うだけだ。
「軽く魔法でも教えてあげる」
「……え?! 今ですか?! 」
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