新世界が聞こえる

はら田

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4.ホーク

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「しかし、いつ来てもここは気持ち悪い所だな」

 街ゆく人々ですら品定めする視線。鎖で繋がれた人間が立ち並び、虚ろな瞳と時たま目が合う。それが堪らなく嫌だ。

「静かに。余計なことは言わないで下さい」

 まるで普通かのように人間が売買されていく。ドッグドッグも嫌な顔を隠しきれていない、自分の首に巻き付く首輪が苦しくなったのかグッと引っ張った。

「……僕も、あまりいい気分ではないですね」

 救えるものなら救ってやりたい。ドッグドッグは商品として並ぶ人間たちと目が合わせられなかった。
一人救ってやったところで、全ては救えない。中途半端な行動はなんの救いにもならないことは知っていた。
神の使いと崇められた神獣も見るも無残に肉塊になっていた。神も仏もあったものじゃない。
 
「罰当たりな」
「彼らにとって、神は自分自身。当たる罰なんて無いさ」

相変わらず腐った空気で充満している。
怠惰の上に立った権力こそ、この世で一番憎い。

出来上がった物のあぐらをかいただけのお前たちがどれだけ偉い?

「ドッグドッグ」

 オズに視界を塞がれたドッグドッグは犬歯を剥き出しにして小さく唸り声を上げていた。
冷静になると身体の中から焦りが溢れ出て、脂汗が全身に滲んだ。

「奴らが見てる」
「……」

 ドクンと心臓が大袈裟に跳ねた。化け物を見るような見下すような、怖がるような視線が際限なく注がれていく。

「く、クラウンに連絡します。とりあえず、カンパニーの場所は報告されているのでコンタクトを取って合流しましょう」

 小型無線で潜入中のクラウンに繋いだ。
しかし、どれだけ待っても無線に応答する声は表れない。ザーザーと浅いノイズが流れるだけの無線機を止める。
ノイズ音は無線機が応答不可能である、応答機能の故障を意味する。

「繋がりません」
「クラウンだろ。まさか、しくじったわけじゃあるまいし」
「……無線機が応答不能状態のノイズが、流れてます」
「じゃあ、サルモネはどうなるの? 」
「なんとかしないと。クラウンの組織脱出も失敗は出来ないですし……」

 オズは妙に焦るドッグドッグの首根っこを掴んだ。

「ねぇ、なにを慌ててるの。僕もそりゃ焦ってるけど、君ずっとおかしいよ」
「黒豹が一区に出たんです。もし、こんな所で何かあったらタダじゃすみません。貴方も、僕も。もちろんサルモネくんも」

 世界中から貴族や権力者たちが集まるこの区域で問題を起こせば、マーケット管轄のアリスフォードの国王も粛清を受けることになる。世界を巻き込む戦争になりかねない。
その混乱に乗じてオズの首を狙う化け物級の魔法使いたちもこぞって集まってくるだろう。

「それだけは絶対に避けないと」

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