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北欧の章
北欧の章-9…オワリノヨゲン
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「待っていましたわオーディン…さぁ、貴方の知っていることを全て話して下さいませ。」
荘厳な宮殿の中でも、結構暗めの部屋に彼を呼びだした張本人が堂々と座っていた。わりかし暗いせいでその全部を見ることは出来ないが、その中でも彼女以上に、彼女の武器である巨大な槌は目を惹いた。そして、蝋燭の灯りは彼女の頭の2本の角を黙々と、儚く照らしている。
「そうだな、それでは儂の知っている……いや、『視ている』情報を教えようか…我が愛しきヨルズよ。」
失礼するぞ、と言いながら、オーディンは机を挟むような形でヨルズの対極側へと腰掛ける。そして、自らの指と指を組んで彼は話し始めた。
「さて、まずは予言のことは知っているな。」
「えぇ、3年続いた冬の後に世界が終焉を迎える…貴方は、そう言っていましたわ。」
「あぁそうだ、それでいい…そして、一昨年と去年と、とても肌寒い夏だった…そう、まるで冬のような気温がずっと続いていた…。」
そこまで言うと、彼は重いため息をついた。次の一言を口から出すのを躊躇っているような彼を見かねて、ヨルズは自分が代わりに言ってしまうことにした。
「つまり、この状況こそが予言の3年続いた冬だ…とお考えで?」
「……」
何も喋らずにオーディンは頷く。彼は戦慄しているのだ、全能と唄われる彼らでさえ避けることの出来ない運命が迫り来ること自体に…
「…生き延びましょう、予言を乗り越えて……」
生きる希望を失いそうになっているオーディンをどうにか励まそうとしたが、ヨルズにはその一言だけで精一杯だった。
------------------
「よぉ、やっと追い詰めたぜ…」
積もりゆく雪の色とミッドガルの暗い色の屋根や壁の建物のモノトーンコントラストな風景を背にしてトールは息を切らしている。そして彼の目の前には、ずっと追いかけていたと思しき人影が一つある…路地裏の奥の方の突き当たりまで追い込んだせいで姿は暗い影の中に呑まれているが、それでもトールを見下すような緑色の瞳は闇の中に映えていた。
「まさか、こんなに追いかけ回されるとは思ってもいなかったや…」
突然に彼は話しだす。やれやれ…とため息を挟みながら話は続く。
「ここまでしつこいとなると、やっぱり義兄さんの命令になるよね…」
「俺もよく知らないが、お前は野放しにしてはおけない…との事だ。大人しく捕まれ。」
ジリジリと影の中にいる追跡対象へと歩を進めるトール、そして無用心に彼は影の中へと足を踏み入れると…
「…っ?!なんだ、足が埋まって……!」
「この辺りには、雪を捨てるために巨大な穴を掘ってあるところがいくつかあるんだ、もちろん迷惑にならないように、あまり誰かの来ないような場所に作るものだけど…」
そう言いながら、もがいているトールの横を悠々と影の中にいた彼は通り抜けていく。あと一歩のところで逃してしまうことが悔しくて彼は自分の情けなさに歯噛みする。
「…つまり、俺は誘導されて……!」
ちくしょう、ちくしょう…!、という声がトール一人になった路地裏をこだましている…。
荘厳な宮殿の中でも、結構暗めの部屋に彼を呼びだした張本人が堂々と座っていた。わりかし暗いせいでその全部を見ることは出来ないが、その中でも彼女以上に、彼女の武器である巨大な槌は目を惹いた。そして、蝋燭の灯りは彼女の頭の2本の角を黙々と、儚く照らしている。
「そうだな、それでは儂の知っている……いや、『視ている』情報を教えようか…我が愛しきヨルズよ。」
失礼するぞ、と言いながら、オーディンは机を挟むような形でヨルズの対極側へと腰掛ける。そして、自らの指と指を組んで彼は話し始めた。
「さて、まずは予言のことは知っているな。」
「えぇ、3年続いた冬の後に世界が終焉を迎える…貴方は、そう言っていましたわ。」
「あぁそうだ、それでいい…そして、一昨年と去年と、とても肌寒い夏だった…そう、まるで冬のような気温がずっと続いていた…。」
そこまで言うと、彼は重いため息をついた。次の一言を口から出すのを躊躇っているような彼を見かねて、ヨルズは自分が代わりに言ってしまうことにした。
「つまり、この状況こそが予言の3年続いた冬だ…とお考えで?」
「……」
何も喋らずにオーディンは頷く。彼は戦慄しているのだ、全能と唄われる彼らでさえ避けることの出来ない運命が迫り来ること自体に…
「…生き延びましょう、予言を乗り越えて……」
生きる希望を失いそうになっているオーディンをどうにか励まそうとしたが、ヨルズにはその一言だけで精一杯だった。
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「よぉ、やっと追い詰めたぜ…」
積もりゆく雪の色とミッドガルの暗い色の屋根や壁の建物のモノトーンコントラストな風景を背にしてトールは息を切らしている。そして彼の目の前には、ずっと追いかけていたと思しき人影が一つある…路地裏の奥の方の突き当たりまで追い込んだせいで姿は暗い影の中に呑まれているが、それでもトールを見下すような緑色の瞳は闇の中に映えていた。
「まさか、こんなに追いかけ回されるとは思ってもいなかったや…」
突然に彼は話しだす。やれやれ…とため息を挟みながら話は続く。
「ここまでしつこいとなると、やっぱり義兄さんの命令になるよね…」
「俺もよく知らないが、お前は野放しにしてはおけない…との事だ。大人しく捕まれ。」
ジリジリと影の中にいる追跡対象へと歩を進めるトール、そして無用心に彼は影の中へと足を踏み入れると…
「…っ?!なんだ、足が埋まって……!」
「この辺りには、雪を捨てるために巨大な穴を掘ってあるところがいくつかあるんだ、もちろん迷惑にならないように、あまり誰かの来ないような場所に作るものだけど…」
そう言いながら、もがいているトールの横を悠々と影の中にいた彼は通り抜けていく。あと一歩のところで逃してしまうことが悔しくて彼は自分の情けなさに歯噛みする。
「…つまり、俺は誘導されて……!」
ちくしょう、ちくしょう…!、という声がトール一人になった路地裏をこだましている…。
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