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Episode〈3〉蜜月 ⑷
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「……あえ、なくなっちゃった」
3本目のとっくりからぽたり、と雫だけが落ちる。
「それじゃ、そろそろ風呂にでも入ろうか」
机ごしに、向かい合って座っていたカタナが腰を上げた。机の上の食器は二人とも、すっかり空になっていた。
カタナは備え付けの電話で下膳を頼むと、そのまま私の腰を抱いて立ち上がらせた。カタナの赴くまま、覚束ない足取りでそれに続く。
───「この旅館はね、他人に見られてはいけない人たちが泊まるんだ」
どうしてだと思う?というカタナの問いかけに、酔ってぼんやりとした頭で返事を模索してはみれど、一向に考えがまとまらない。
部屋の入り口近くに取り付けられていた扉を開きながら、カタナは自ら答えを口にした。
「客と客が鉢合わせないように、あらゆる気を利かせてくれるから、だよ」
扉の先では、小さな内湯からたっぷりとした湯気が立ち上っていた。
「はい、ばんざーい」
カタナに言われるがまま、腕を頭の上へと上げる。するとすっぽり、トップスが脱がされた。ブラを、スカートを、ストッキングを、ショーツを次々と剥がして私を丸裸にしてから、カタナは手早く自身の服を脱いだ。
引き締まったカタナの身体にぼんやり見とれていると、腰を抱かれて浴室へと促された。
「目、つむっててね」
耳に入った言葉通り、目をつむった私の髪に人の指が通る感覚があった。頭皮を優しくマッサージするように洗髪されて、ふわふわとした眠気に意識が飲み込まれてゆく。
「かゆいところはないですか~」
「はひ」
からかうようなカタナの問いに舌足らずな返事をすると、頭が温かな熱に包まれた。
泡を流す湯の心地良い温度とまぶたの下の暗闇に、意識まで流されそうになった───その時だった。
「───っ」
つつ、と胸の下を這う感覚に身体が跳ねる。
「こら、暴れちゃだめだよ」
先ほどまで二つとも、頭の上にあったはずの腕がいつの間にか私の身体に絡みついている。左腕は腰に、泡をまとった右腕は胸下から脇へ、背中へ、ゆっくりと滑ってゆく。
「かゆいところはないですか?」
愉しそうな吐息に鼓膜をくすぐられて、思わず首をそらした。
彼の右手は上半身をくまなく這って、最後に乳房の先へと添えられた。乳輪をねっとりとなぞられて、腰に自然と力がこもる。
「っんあ……」
ぴん、と頂きを指ではじかれて腰が小さく跳ねた。
「あれ、前より感じやすくなってない?」
いつの間にか下半身をまさぐっていたカタナの左手が、私の目の前に上げられた。その指には、粘度のある透明な液体がたっぷりとまとわりついている。
「もしかして……オレのいない間、ヒトリアソビ、してた?」
私の秘部を左手で弄びながら、カタナの右手が脚を這う。尻から脚へ、足先へ。濡れそぼったナカを優しく刺激されながら下半身をぬるぬると撫ぜられて、快楽の波がとまらない。
カタナは大きな身体でいともたやすく私を押さえ込みながら、ふふ、と私の耳元に小さな笑い声をこぼした。
「今日、なんか可愛いなあって思ったんだよね。パズルに夢中になってるあんたを見てさ」
ナカを滑る指が、つぷ、と抜ける音がした。泡が流されて、身体がふわりと軽くなる。
「オレが後ろで見てたことにも気づかないぐらい集中してさ。最後の問題なんて、30分以上考えこんじゃって」
抱き上げられた身体が、肩まで湯船につけられた。カタナは脚を支えていた左腕をほどいて、後ろから私を抱きしめた。
「なぁんか、妙に抱きしめたくなっちゃったんだよね」
首だけ、カタナの方へ振り返る。カタナも後ろから、振り返った私の顔をのぞき込む。
自然に、唇は重なった。
3本目のとっくりからぽたり、と雫だけが落ちる。
「それじゃ、そろそろ風呂にでも入ろうか」
机ごしに、向かい合って座っていたカタナが腰を上げた。机の上の食器は二人とも、すっかり空になっていた。
カタナは備え付けの電話で下膳を頼むと、そのまま私の腰を抱いて立ち上がらせた。カタナの赴くまま、覚束ない足取りでそれに続く。
───「この旅館はね、他人に見られてはいけない人たちが泊まるんだ」
どうしてだと思う?というカタナの問いかけに、酔ってぼんやりとした頭で返事を模索してはみれど、一向に考えがまとまらない。
部屋の入り口近くに取り付けられていた扉を開きながら、カタナは自ら答えを口にした。
「客と客が鉢合わせないように、あらゆる気を利かせてくれるから、だよ」
扉の先では、小さな内湯からたっぷりとした湯気が立ち上っていた。
「はい、ばんざーい」
カタナに言われるがまま、腕を頭の上へと上げる。するとすっぽり、トップスが脱がされた。ブラを、スカートを、ストッキングを、ショーツを次々と剥がして私を丸裸にしてから、カタナは手早く自身の服を脱いだ。
引き締まったカタナの身体にぼんやり見とれていると、腰を抱かれて浴室へと促された。
「目、つむっててね」
耳に入った言葉通り、目をつむった私の髪に人の指が通る感覚があった。頭皮を優しくマッサージするように洗髪されて、ふわふわとした眠気に意識が飲み込まれてゆく。
「かゆいところはないですか~」
「はひ」
からかうようなカタナの問いに舌足らずな返事をすると、頭が温かな熱に包まれた。
泡を流す湯の心地良い温度とまぶたの下の暗闇に、意識まで流されそうになった───その時だった。
「───っ」
つつ、と胸の下を這う感覚に身体が跳ねる。
「こら、暴れちゃだめだよ」
先ほどまで二つとも、頭の上にあったはずの腕がいつの間にか私の身体に絡みついている。左腕は腰に、泡をまとった右腕は胸下から脇へ、背中へ、ゆっくりと滑ってゆく。
「かゆいところはないですか?」
愉しそうな吐息に鼓膜をくすぐられて、思わず首をそらした。
彼の右手は上半身をくまなく這って、最後に乳房の先へと添えられた。乳輪をねっとりとなぞられて、腰に自然と力がこもる。
「っんあ……」
ぴん、と頂きを指ではじかれて腰が小さく跳ねた。
「あれ、前より感じやすくなってない?」
いつの間にか下半身をまさぐっていたカタナの左手が、私の目の前に上げられた。その指には、粘度のある透明な液体がたっぷりとまとわりついている。
「もしかして……オレのいない間、ヒトリアソビ、してた?」
私の秘部を左手で弄びながら、カタナの右手が脚を這う。尻から脚へ、足先へ。濡れそぼったナカを優しく刺激されながら下半身をぬるぬると撫ぜられて、快楽の波がとまらない。
カタナは大きな身体でいともたやすく私を押さえ込みながら、ふふ、と私の耳元に小さな笑い声をこぼした。
「今日、なんか可愛いなあって思ったんだよね。パズルに夢中になってるあんたを見てさ」
ナカを滑る指が、つぷ、と抜ける音がした。泡が流されて、身体がふわりと軽くなる。
「オレが後ろで見てたことにも気づかないぐらい集中してさ。最後の問題なんて、30分以上考えこんじゃって」
抱き上げられた身体が、肩まで湯船につけられた。カタナは脚を支えていた左腕をほどいて、後ろから私を抱きしめた。
「なぁんか、妙に抱きしめたくなっちゃったんだよね」
首だけ、カタナの方へ振り返る。カタナも後ろから、振り返った私の顔をのぞき込む。
自然に、唇は重なった。
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