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デスマスク(3)
六峰山の六峰堂に行ってみよう。そう思ったものの、理杏は六峰堂への行き方が分からなかった。道路地図を見ても六峰堂なんて載っていない。だいたい六峰山自体が歩いて行くには遠過ぎる。理杏は車もバイクも持っていない。免許すら持っていないのだ。
仕方ないので、家に帰って親に聞いてみた。母は、
「六峰堂なんてあったかしら?」
という反応だったが、父は
「駅前のAバス停から37番バスに乗って、六峰山入り口で降りろ。そこから登山道入口があるからまっすく歩いて行けばいい」
と、すらすら答えてくれた。
普段あまり会話をしない父親だが、こういうときは彼の謎知識がありがたい。
父の助言にしたがって37番バスで六峰山に向かう。バスの中から見える空は、雲一つない青空で、山登りするにはちょっと暑そうだった。
小一時間ほどバスにゆられていると車内アナウンスが六峰山入り口についたことを伝えた。
後払いで料金410円払うと、理杏は六峰山登山道の入り口に降り立った。
風が涼しく気持ちいい。生茂る木々の葉は影を作ってくれて、直射日光が当たらない。暑いと思われた気候は思いのほか穏やかだった。
自然を楽しみながら登山道を歩いていくが、そんな余裕があったのも最初だけのこと。20分ほど歩いたところで疲れが押し寄せてきた。
「やっぱり帰ろうかな」
そう呟いたときに、山道の両脇に何か立ち並んでいるのが見えた。
大量の落ち葉に埋もれるように立っていたのは、お地蔵さんの大群のだった。どれも年季が入ったものらしく、あちこちがかけており、表情もよくわからない。
不気味な雰囲気もするものの、山道を取り囲むように石像が立ち並ぶ様子は壮観でもあった。
理杏はその様子をスケッチブックに描き写す。
「ようこそ」
「ようこそ」
「ようこそ」
「ようこそ」
描いた地蔵たちが、口々に喋り出す。
「迷える者よ、六峰山の黄泉路へようこそ」
「ここが地獄の入り口だ」
「行く先のわからぬ魂に開かれし、裁判所への下り坂」
「さあ降りるがいい。あのおかたがお待ちである」
口々に、先を進むように促してくる。地蔵たちが言うように、ここからは下り坂になっており、降りた先に小さな祠が建っているのが見えた。あれが六峰堂だろう。
「なんか不気味だなぁ」
地蔵たちの声を聴きながら、木立に日光が遮られた薄暗い下り坂を、理杏は進む。
「本当に、地獄に降りているみたいだ」
理杏は思った。
そして、祠にたどり着く。一畳程度の小さな祠。今にも朽ち果てそうな木造の扉。
壊れやしないかと恐る恐る扉を開けた理杏の目に飛び込んできたのは、鬼のような形相。独特の冠と格式ばった衣装をつけた閻魔大王の姿だった。
仕方ないので、家に帰って親に聞いてみた。母は、
「六峰堂なんてあったかしら?」
という反応だったが、父は
「駅前のAバス停から37番バスに乗って、六峰山入り口で降りろ。そこから登山道入口があるからまっすく歩いて行けばいい」
と、すらすら答えてくれた。
普段あまり会話をしない父親だが、こういうときは彼の謎知識がありがたい。
父の助言にしたがって37番バスで六峰山に向かう。バスの中から見える空は、雲一つない青空で、山登りするにはちょっと暑そうだった。
小一時間ほどバスにゆられていると車内アナウンスが六峰山入り口についたことを伝えた。
後払いで料金410円払うと、理杏は六峰山登山道の入り口に降り立った。
風が涼しく気持ちいい。生茂る木々の葉は影を作ってくれて、直射日光が当たらない。暑いと思われた気候は思いのほか穏やかだった。
自然を楽しみながら登山道を歩いていくが、そんな余裕があったのも最初だけのこと。20分ほど歩いたところで疲れが押し寄せてきた。
「やっぱり帰ろうかな」
そう呟いたときに、山道の両脇に何か立ち並んでいるのが見えた。
大量の落ち葉に埋もれるように立っていたのは、お地蔵さんの大群のだった。どれも年季が入ったものらしく、あちこちがかけており、表情もよくわからない。
不気味な雰囲気もするものの、山道を取り囲むように石像が立ち並ぶ様子は壮観でもあった。
理杏はその様子をスケッチブックに描き写す。
「ようこそ」
「ようこそ」
「ようこそ」
「ようこそ」
描いた地蔵たちが、口々に喋り出す。
「迷える者よ、六峰山の黄泉路へようこそ」
「ここが地獄の入り口だ」
「行く先のわからぬ魂に開かれし、裁判所への下り坂」
「さあ降りるがいい。あのおかたがお待ちである」
口々に、先を進むように促してくる。地蔵たちが言うように、ここからは下り坂になっており、降りた先に小さな祠が建っているのが見えた。あれが六峰堂だろう。
「なんか不気味だなぁ」
地蔵たちの声を聴きながら、木立に日光が遮られた薄暗い下り坂を、理杏は進む。
「本当に、地獄に降りているみたいだ」
理杏は思った。
そして、祠にたどり着く。一畳程度の小さな祠。今にも朽ち果てそうな木造の扉。
壊れやしないかと恐る恐る扉を開けた理杏の目に飛び込んできたのは、鬼のような形相。独特の冠と格式ばった衣装をつけた閻魔大王の姿だった。
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