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デスマスク(4)
閻魔大王。死んだ人間を裁く地獄の裁判官。日本中の誰もが知っている話だ。もちろん理杏も閻魔大王のことは知っている。なので、スサノオが言っていたのが閻魔大王のことだとすぐに理解できた。
「また怖い顔の人かぁ……」
怖いものや不気味なものは好きではない。早く話を聞いて帰ろう。
理杏はスケッチブックを取り出すと、閻魔大王を適当に描き写した。
「もうちょっとマシに描けんのかバカモンが!!」
描き終わる前に怒鳴られた。やっぱり閻魔様は怖い。
「すみません。早くお話が聞きたかったもので」
「ならもう少し礼節をわきまえろ。畜生道に送り込むぞ?」
「チクショーどー?」
「動物に戻ってやり直せということだ」
「僕は人間になる前は動物だったんですか?」
「そうだ。生き物は死ぬまでの生き方により、次に生まれ変わるものが決まる。その者が如何に生きたか吟味するのが、この閻魔の役割よ」
「死んだら天国か地獄に行くのだと思いました」
「天に行く者もおるが、大抵の者は現世で徳を積むことになるな。お主のように、動物からやり直しになるものもおるなぁ」
ガハハと笑いながら紙の中の閻魔大王は言った。
「次郎は、天国に行くんでしょうか。それとも、また人間になるんでしょうか?」
気を取り直して、理杏は本題を尋ねることにした。
「次郎というのはお主の友人か? 今は閻魔帳が手元にないから詳しくは分からぬが……」
閻魔大王はふぅむと考え込んだ。
「聞かせてくれぬかな、お主の知る次郎という人間のことを。せっかくだから前倒しであの世の行先を決めてやろう」
死後の予定なんて、前倒しで決めてもらっても嬉しくない。だが、
「次郎はいい奴なんだ。病気になっても何も恨むことなく、いつも前向きに生きてる。優しい奴なんだ。僕が泣きそうな時にいつも手を差し伸べてくれる。そばで話を聞いてくれる……」
理杏は必死に次郎よ良いところを閻魔大王に訴えかけた。訴えれば訴えるほど涙が溢れ出てきて止まらない。
理杏の訴えを黙って聞いてきた閻魔大王は、最後まで聴き終わると、しばらく瞑目した後に口を開いた。
「なるほどな。次郎という人間が善良であることは理解した。だが、天に登るにはまだ早いようだな。もう一度、現世でやりなおしだ」
「そんな!」
「悲しむことはない。死しても、形を変えてこの世に蘇る。そうことだ。そなたらは、きっとまた巡り合えるであろう」
それきり、閻魔大王は語らなくなった。話は終わったということなのだろう。
「言いっぱなしなんてズルいじゃないか……」
文句を言いながらも、理杏は描きかけだった閻魔大王の絵を完成させておくことにした。出来上がった閻魔大王の絵は、恐ろしい顔をしていたはずなのに、なぜか優しく微笑んでいるように見えた。
「また怖い顔の人かぁ……」
怖いものや不気味なものは好きではない。早く話を聞いて帰ろう。
理杏はスケッチブックを取り出すと、閻魔大王を適当に描き写した。
「もうちょっとマシに描けんのかバカモンが!!」
描き終わる前に怒鳴られた。やっぱり閻魔様は怖い。
「すみません。早くお話が聞きたかったもので」
「ならもう少し礼節をわきまえろ。畜生道に送り込むぞ?」
「チクショーどー?」
「動物に戻ってやり直せということだ」
「僕は人間になる前は動物だったんですか?」
「そうだ。生き物は死ぬまでの生き方により、次に生まれ変わるものが決まる。その者が如何に生きたか吟味するのが、この閻魔の役割よ」
「死んだら天国か地獄に行くのだと思いました」
「天に行く者もおるが、大抵の者は現世で徳を積むことになるな。お主のように、動物からやり直しになるものもおるなぁ」
ガハハと笑いながら紙の中の閻魔大王は言った。
「次郎は、天国に行くんでしょうか。それとも、また人間になるんでしょうか?」
気を取り直して、理杏は本題を尋ねることにした。
「次郎というのはお主の友人か? 今は閻魔帳が手元にないから詳しくは分からぬが……」
閻魔大王はふぅむと考え込んだ。
「聞かせてくれぬかな、お主の知る次郎という人間のことを。せっかくだから前倒しであの世の行先を決めてやろう」
死後の予定なんて、前倒しで決めてもらっても嬉しくない。だが、
「次郎はいい奴なんだ。病気になっても何も恨むことなく、いつも前向きに生きてる。優しい奴なんだ。僕が泣きそうな時にいつも手を差し伸べてくれる。そばで話を聞いてくれる……」
理杏は必死に次郎よ良いところを閻魔大王に訴えかけた。訴えれば訴えるほど涙が溢れ出てきて止まらない。
理杏の訴えを黙って聞いてきた閻魔大王は、最後まで聴き終わると、しばらく瞑目した後に口を開いた。
「なるほどな。次郎という人間が善良であることは理解した。だが、天に登るにはまだ早いようだな。もう一度、現世でやりなおしだ」
「そんな!」
「悲しむことはない。死しても、形を変えてこの世に蘇る。そうことだ。そなたらは、きっとまた巡り合えるであろう」
それきり、閻魔大王は語らなくなった。話は終わったということなのだろう。
「言いっぱなしなんてズルいじゃないか……」
文句を言いながらも、理杏は描きかけだった閻魔大王の絵を完成させておくことにした。出来上がった閻魔大王の絵は、恐ろしい顔をしていたはずなのに、なぜか優しく微笑んでいるように見えた。
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