あなたの運命の番になれますか?

あんにん

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1章

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  「予約してあるから。」そう言われて連れてこられたのは高そうな料亭
  お店の外観に圧倒されていれば、既に中に入っていたかずさんに呼ばれ慌てて俺も中に入る

  個室に案内されしばらく待てば出てくる料理に目を輝かせる。
  そんな俺を見てかずさんが笑顔で「食べようか。」そう言い手をあわせる
  それに続いて俺も手をあわせてから口に運べば思わず口が綻ぶ

  そんな俺を手を止めながら見るかずさんに「食べないんですか?」そう聞けば「いつも美味しそうに食べてくれるから、その姿が見たくて誘ってるから僕の事は気にしなくていいよ。」そう言いながらニコニコで俺を見るから「そうなんですね、、、」とちょっと照れてしまう。それを隠すように目の前の料理を口に運べばむせてしまった。

  そんな俺の姿にかずさんは慌てて「あぁ、ごめんね。俺が変なこと言っちゃったから。」そう謝りながら水を渡してくれる

  「大丈夫です。」そう言い何とか落ち着いた後にお互い目が合えば思わず吹き出す
  「食べよっか。」そんなかずさんに「かずさんもちゃんと食べてくださいね?」そう言えば「分かりました。」と素直に応じる姿にまた笑みが零れた

  食べ終えお店を出て駅へ向かう
  かずさんと過ごす時間は楽しくて落ち着く
  かずさんとは、電車で痴漢にあっていた俺を助けてくれた事がきっかけで知り合った
  俺の8つ上のお医者さんでベータだ
  聞いた時に「凄いね。」と言えば「研修医だからまだまだだけどね。でも嬉しい、ありがとね。」そう言っていた
  
  かずさんには親が働くのが難しくて学校に行かずにバイトをして過ごしてると説明していた。だからそんな俺を心配して、たまにこうしてご飯だったり買い物に誘ってくれる優しい人だ。
  かずさんに嘘をついているのは苦しいけど自分の体を売っているなんて知られたくなかった
  俺が唯一、信頼出来て頼りになるお兄ちゃん的な存在のかずさんに嫌われたくなかった

  「明日もバイト?」
  「うん、、、」
  「そっか、、無理はしないでね。」
  「ありがとう」
  「また連絡する。」

  少し寂しそうになる俺の頭を撫でながらそう言った

  かずさんも忙しい中こうやって俺の為に時間を作ってくれてるんだから頑張らないとな、、
  そう思って笑顔で「またね。」と呟いた


  どんなに嫌でも朝はくる
  今日もいつも通り待ち合わせて肌を重ねる
  待ち合わせまでの時間つぶしの為にあの公園に行きベンチに腰掛ける


  "今日は天気がいいな" なんてぼんやり思っていれば足元に何かを感じる、、、
  ふと見れば犬が1匹
  辺りを見渡してみるが飼い主らしき人が見当たらない
  どこからか逃げ出してきたのか、、、

「お前どうしたんだ?」

  思わずそう声をかけた、、、
  "何してんだ犬相手に..." 自分の行動に思わず笑う

「 1人寂しくないか?、、、よく見たら首輪してんな、、まだ時間あるし一緒に探してやるよお前の飼い主。」

  そう言って抱き上げれば足を怪我していた

  "マジか、、、近くに動物病院なんてあったか、、、?"

  そう思っていたら近くにおにいさんの姿を見つけた

「あっ、おにーさん!こいつケガしてるから病院連れていきたいけど場所知らねーし調べようにもこいつだっこして手ふさがってるからさ、代わりに探してくれない?」

  おにいさんの元に行きそう言う。
  嫌がられると思っていたが俺の腕の中にいる犬を心配したのかすぐに調べて案内してくれた。
  すぐに診てもらえた上に、首輪には飼い主の名前と連絡先があり、先生が知っていると言うのでそのまま任せる事になった。

「よかったなお前。」

  そう言って犬の頭を撫でてから病院を出た。

「おにーさんもありがと!助かった。」

  横にいるおにいさんにお礼を言えば時間を知らせるアラーム音が鳴り響く。

  "あー。せっかく会えたのに行かなきゃいけないのか、、、"
  
「じゃぁ俺行かないと、、、」

  そう言って待ち合わせ場所へ向かおうとした時

「あのさ、、、」

  おにいさんが何かを言いかけた、、、
  不思議に思い顔を向けるが黙ったままだ

「いや、何でもない。」

  そう言うと行ってしまった。
  気になったが次の待ち合わせ相手はこの前遅れたことでうるさく言われた人だ.......仕方なくおにいさんに背を向けて歩き出した

  翌日。いつものようにベンチに座っていれば声をかけられる。

「 となり.......いい..? 」
  
  見上げればおにいさんが立っていた
  初めて声をかけられた驚きで反応が遅れる

「 無理なら.....別にいい.....。」
  
  そう言って去ろうとするおにいさんの腕を咄嗟に掴み

「別に平気。無理じゃない。」
 
  そう言って引き止めた。
  急な事でいつもと違う話し方になってる事に気付き

「おにーさんから声掛けてくれるなんてどーしたの?もしかして、、、ついに??」

  なんて軽く言う

「それは絶対ねぇ。ただ、、、」

  そう言うと黙ってしまう
  "ただ、、何だろ?"
  そう思いながら俺も黙って続きを待つ

「、、、これ、、やるよ。」

  先を言うのはやめたのか、そう言って手に持っていた袋を渡す
  受け取り中を見るとおにぎりや飲み物などが入っていた
  不思議に思いおにいさんの顔を見れば

「お前....昨日病院での待ち時間中......お腹空いたって呟きながらお腹なってた.....から....」

  少し気まづそうに下を向きながらそう言う

「あっ、、ありがとう、、、」

  驚きながらもお礼を伝えると

「、、んっ、、、」

  それだけがかえってきた。

「じゃぁもう行くわ。」

  勢いよく立ち上がったかと思えばそう言って歩いて行ってしまった。
  突然の出来事に俺はその後ろ姿を見送る事しか出来なかった。
  
  おにいさんの姿が見えなくなった後に不思議に思いながらも貰ったおにぎりを口にした
  そのおにぎりは何度か食べたコンビニのおにぎりのはずなのにいつもより美味しく感じた
  
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