勘当された少年と不思議な少女

レイシール

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 第5章 孤児

第94話 孤児の過去

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アクオスたちは、どこかつらそうな表情を浮かべながら話し始めた。
「俺たちも、あんまり覚えてないんだ。神父さんやシスターからも、大まかな事情しか聞かされなかったからな」
「シスターがあーしに、これが置いてあったって見せてくれて……それで名前だけは分かったんだ」

 そう言ってティアナが取り出したのは、3枚の布だった。小さめの布が2枚と、大きな布が1枚。
「これは……おくるみと、ハンカチ……?」

 アリーがぽつりとつぶやいた瞬間、アクオスが目を見開いて声を荒げた。
「なんだよ!そんなのがあったんなら、最初から俺にも見せてくれりゃいいじゃないか!」

 その時、馬車引きが
「うるせー、馬が暴れんから静かにしろ!!」
 と、怒鳴られた。
「う、ごめんなさい。気を付けます」
 ティアナが、馬車引きに謝った。

 怒鳴られたアクオスは、気まずそうに目を伏せ、悲しげな表情で言葉を受け止めていた。
「……ごめんなさい。シスターに言われてたの。『スキルをもらうまでは……アクオスに見せたら、すぐなくすから。だから見せないで』って」

「……なんだよそれ。じゃあ、仕方ないか」
 アクオスは不満そうに唇を尖らせたが、しぶしぶ納得したように肩を落とした。

 その様子を見て、俺は思わず問いかける。
「シスターや神父さんの言うことって、アクオスたちの中では絶対なのか?」

「いや、そういうわけじゃないんだ。ただ……何て言うか……」
 言葉に詰まるアクオスを見かねて、ティアナが代わりに口を開いた。

「あーしに布を見せてくれた時、シスターがすごく言いにくそうにしてたんだよね。何か事情があるんだろうなって。それに……あの頃のアクオスは、人の話をあまり聞かなくて、よく物を壊したり、なくしたりしてたから」

「……それ、何歳くらいの時の話だ?」
「確か、5つか6つの頃だったかな」
「ああ……そういうことか」

 俺たちの視線に気づいたのか、アクオスは慌てて手を振った。
「いや、ごめんごめん。その頃の俺、本当に何でも壊すし、すぐなくすしで……」

「だからティアナに預けたんだね。アクオスが壊さないように」
 アリーが納得したようにうなずいた。

 けれど、俺の頭に引っかかる疑問がひとつ。
「……ティアナ。その布って、ずっとどこに隠してたんだ?」

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