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第6章 旅館
第142話 義務教育
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ベルクがそう言い、俺たちは朝ごはんを食べ始めた。
一通り食べ終わったところで、俺はどうしても気になっていたことを、つい口にしてしまった。
「ねぇ、ベルクさんってさ……何のスキルを持ってるんですか?」
言った瞬間、『あっ、不味い……!』と口を閉じたが、もう遅かった。
好奇心が勝ってしまい、自然と聞いてしまったのだ。
「?スキルって?」
「えっ!?スキルのこと知らないの!?」
アクオスが目を丸くして叫ぶ。
ベルクは気まずそうに首を傾げながら言った。
「あ、あぁ……。僕の故郷には、そんなの無かったから……」
あぁ……悪いこと聞いたな。
胸の奥がズキンとする。その空気を読んだのか、アリーが説明を始めた。
「えーとね、スキルっていうのは、その人によって貰う物が違うの。私は算術と鑑定なの」
「俺は……符術なんだ」
俺が続けて言うと、アクオスが勢いよく手を挙げた。
「俺は裁縫と土壌改良で、ティアナが土木術と収納だよ!」
案の定、ティアナが怒鳴った。
「アクオス!なんで勝手にあーしのスキルを言うの!!」
「だって……ティアナ、また言いにくそうな顔してたから……」
アクオスは最後の方、しゅんと肩を落として声が小さくなった。
そんなやり取りを見たベルクは、軽く頷きながら言った。
「なるほど……。でも、ランだけひとつなのは何か意味があるの?」
「いや、別に。普通は1人1つなんだよ。でも、たまに2つ貰う人が出るんだ」
「へぇ……じゃあ、ここにいる人たちはたまたま二つ貰ったってこと?」
「まぁ……そうだね。私たちはみんな初めて会ったしね」
アリーが言うと、ティアナも小さく付け加える。
「あーしとアクオスは孤児だったから一緒に居たけど……」
ベルクは納得したように、
「それじゃあ、みんな初対面だったんだね」
と微笑んだ。
……そして、俺の中にはもうひとつ疑問があった。
ベルクにはスキルがない。
それでも、普通じゃ考えられないほど知識がある。
どうしても、それが気になって……
「ベルクさんはどうして、そんなにいろんな事を知ってるの?」
ベルクは少し遠い目をして答えた。
「あぁ……僕は、というか僕の国では、小さい頃に『義務教育』というものがあって……」
聞き慣れない言葉に、俺は思わず首をかしげた。
「『義務教育』?って何?」
ベルクは静かに、しかしはっきりと言った。
「あぁ……『義務教育』はね。国民はみんな教育を受けなきゃいけないって制度なんだ。
それには、貴族も平民も関係ない」
……その瞬間、俺たちは全員、言葉を失った。
一通り食べ終わったところで、俺はどうしても気になっていたことを、つい口にしてしまった。
「ねぇ、ベルクさんってさ……何のスキルを持ってるんですか?」
言った瞬間、『あっ、不味い……!』と口を閉じたが、もう遅かった。
好奇心が勝ってしまい、自然と聞いてしまったのだ。
「?スキルって?」
「えっ!?スキルのこと知らないの!?」
アクオスが目を丸くして叫ぶ。
ベルクは気まずそうに首を傾げながら言った。
「あ、あぁ……。僕の故郷には、そんなの無かったから……」
あぁ……悪いこと聞いたな。
胸の奥がズキンとする。その空気を読んだのか、アリーが説明を始めた。
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「俺は……符術なんだ」
俺が続けて言うと、アクオスが勢いよく手を挙げた。
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案の定、ティアナが怒鳴った。
「アクオス!なんで勝手にあーしのスキルを言うの!!」
「だって……ティアナ、また言いにくそうな顔してたから……」
アクオスは最後の方、しゅんと肩を落として声が小さくなった。
そんなやり取りを見たベルクは、軽く頷きながら言った。
「なるほど……。でも、ランだけひとつなのは何か意味があるの?」
「いや、別に。普通は1人1つなんだよ。でも、たまに2つ貰う人が出るんだ」
「へぇ……じゃあ、ここにいる人たちはたまたま二つ貰ったってこと?」
「まぁ……そうだね。私たちはみんな初めて会ったしね」
アリーが言うと、ティアナも小さく付け加える。
「あーしとアクオスは孤児だったから一緒に居たけど……」
ベルクは納得したように、
「それじゃあ、みんな初対面だったんだね」
と微笑んだ。
……そして、俺の中にはもうひとつ疑問があった。
ベルクにはスキルがない。
それでも、普通じゃ考えられないほど知識がある。
どうしても、それが気になって……
「ベルクさんはどうして、そんなにいろんな事を知ってるの?」
ベルクは少し遠い目をして答えた。
「あぁ……僕は、というか僕の国では、小さい頃に『義務教育』というものがあって……」
聞き慣れない言葉に、俺は思わず首をかしげた。
「『義務教育』?って何?」
ベルクは静かに、しかしはっきりと言った。
「あぁ……『義務教育』はね。国民はみんな教育を受けなきゃいけないって制度なんだ。
それには、貴族も平民も関係ない」
……その瞬間、俺たちは全員、言葉を失った。
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