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間章
第82話 洞窟2
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アリーの言葉が、俺に『警戒すること』の大切さを思い出させてくれた。
だから、木々が近くに生い茂るあたりからは、音を立てないように、そろりそろりと歩き出した。
「ラン……そんなにゆっくり歩いてたら、夕方までに町に戻れなくなるよ。少しペース上げるね」
「わ、わかった。できるだけ……アリーに着いてくよ」
足はガクガク震えていたけど、それを悟られないように……必死で平静を装いながら歩き続けた。
足元の枝や小石に注意しながら、ふと疑問が浮かぶ。
「アリー……洞窟までは、まだ結構あるの?」
「うーん、あと15分くらいかな」
その答えに、思わず絶句してしまう。
(ま、まだ15分も……!?)
内心では悲鳴を上げそうになったけど、すぐに気持ちを切り替えて、魔物が出ないよう祈るようにしながら……警戒を解かず、ただひたすら前を見て歩き続けた。
「……あっ、もう少しだよ。見て、洞窟が見えてきた」
アリーがそう言って指差す先には、木々の向こうにぽっかりと空いた黒い穴。
それが目的地の洞窟だった。
洞窟の中に入り……『シャリ……シャリ……』と、落ち葉を踏む微かな音が耳に残って、怖さがどんどん募っていった。
(何か出てきたら、どうしよう……)
我慢していたはずの恐怖が、胸の中でふくらんでいく。
ついに限界を迎えた俺は、思わずアリーの肩を軽く叩いていた。
アリーが振り返り、俺の顔を見た瞬間……目を見開いて、そっと声を落とす。
「……どうしたの?」
その声も優しくて、余計に胸が苦しくなった。
そして彼女は、俺の顔色を見てすぐに察したようだった。
「……あぁ、ごめん。ラン、初めてだったもんね。こんなに奥まで来る必要、なかったよね。うん……ここ、今のところ魔物の気配もないし……戻って、もっと安全なところで練習しよう?」
そう言って、アリーはすっと進行方向を変え、来た道へ戻るように歩き出した。
俺はその背中を見て、思わず声を震わせながら言った。
「……ありがとう。迷惑、かけてごめん……」
「迷惑なんかじゃないよ。最初はみんな怖いんだよ。私だって、そうだったもん」
その言葉に、胸の奥が少しだけ温かくなった。
そして……木々の隙間から差し込む夕陽の光とともに、洞窟の出入口が見えてきた。
その瞬間、俺はようやく肩の力が抜けて、胸をなでおろした。
だから、木々が近くに生い茂るあたりからは、音を立てないように、そろりそろりと歩き出した。
「ラン……そんなにゆっくり歩いてたら、夕方までに町に戻れなくなるよ。少しペース上げるね」
「わ、わかった。できるだけ……アリーに着いてくよ」
足はガクガク震えていたけど、それを悟られないように……必死で平静を装いながら歩き続けた。
足元の枝や小石に注意しながら、ふと疑問が浮かぶ。
「アリー……洞窟までは、まだ結構あるの?」
「うーん、あと15分くらいかな」
その答えに、思わず絶句してしまう。
(ま、まだ15分も……!?)
内心では悲鳴を上げそうになったけど、すぐに気持ちを切り替えて、魔物が出ないよう祈るようにしながら……警戒を解かず、ただひたすら前を見て歩き続けた。
「……あっ、もう少しだよ。見て、洞窟が見えてきた」
アリーがそう言って指差す先には、木々の向こうにぽっかりと空いた黒い穴。
それが目的地の洞窟だった。
洞窟の中に入り……『シャリ……シャリ……』と、落ち葉を踏む微かな音が耳に残って、怖さがどんどん募っていった。
(何か出てきたら、どうしよう……)
我慢していたはずの恐怖が、胸の中でふくらんでいく。
ついに限界を迎えた俺は、思わずアリーの肩を軽く叩いていた。
アリーが振り返り、俺の顔を見た瞬間……目を見開いて、そっと声を落とす。
「……どうしたの?」
その声も優しくて、余計に胸が苦しくなった。
そして彼女は、俺の顔色を見てすぐに察したようだった。
「……あぁ、ごめん。ラン、初めてだったもんね。こんなに奥まで来る必要、なかったよね。うん……ここ、今のところ魔物の気配もないし……戻って、もっと安全なところで練習しよう?」
そう言って、アリーはすっと進行方向を変え、来た道へ戻るように歩き出した。
俺はその背中を見て、思わず声を震わせながら言った。
「……ありがとう。迷惑、かけてごめん……」
「迷惑なんかじゃないよ。最初はみんな怖いんだよ。私だって、そうだったもん」
その言葉に、胸の奥が少しだけ温かくなった。
そして……木々の隙間から差し込む夕陽の光とともに、洞窟の出入口が見えてきた。
その瞬間、俺はようやく肩の力が抜けて、胸をなでおろした。
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