死後の世界も生きづらい?

蓮見 七月

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死後の世界

母子。Ⅰ

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「あなたのひどい身なりを見たらお母さんも悲しくなっちゃうわ」

ナオミはそういった。ミノルはそれを聞いてなんとなく安心した。彼女にも両親があり家庭がある。彼女の言葉からそう感じさせた。優しさについて十分な教育を施された子なのだと思ったし、幸せな生活を送っているように思えた。

ふとミノルは気がついた。言語が通用している。それもファンタジーライトノベルではよくある話であった。しかし実際に体験してみると奇妙でもあった。町並みは中世ヨーロッパ風の建造物でしっかりと家々が区切られたように作られて元の世界とはまるで違う。それにもかかわらず言語は今までどおりには通じた。

「言語が通じる感じの世界観なのか」

ミノルは思わず口に出した。彼の読むファンタジーライトノベルではよくい世界へ転生するも言語がなぜか不思議にも通じるというものが多かった。これについてファンの間でもたびたび言及されることの多いのがファンタジーと言うジャンルでもあった。しかし彼は、ファンタジーなのだから不自然なことが起きるのはかまわない、それどころか不自然なことがおきなければファンタジーとはいえないではないかとさえ思っていた。

 彼の発した言葉は、ナオミにはまるで不可解で何を言っているのかまるで通じなかった。音として何を言っているかは分かったが、彼が何を言わんとしているのかが彼女には到底理解できなかった。

彼女はミノルという男はもしかしたら言葉が不自由なのかもしれないと思った。できるだけ簡単な言葉を使おうかとも思った。

しかし、身なりもひどくだらしないこの男を自分の家に連れ帰ろうとしたのには理由があった。彼女は以前にも降って来た人を連れ帰った経験があった。

その男は今や皆に頼られる相談役として私達のコミュニティに溶け込んでいる。だから、このひどい身なりをした男も何かみんなのために役に立ってくれる天からの贈り物がまた来たのではないかと思った。しかしそれはただの勘違いで空から人が降ってくるのはただ雨が降るのと同じように定期的に起きる偶然の出来事なのかとも思った。

「さぁ着いたわ。”ついた”って意味は分かるかしら?」

彼女の発言は当然、彼を傷つけることとなった。彼は自分が言葉の不自由な身の上であると思われていたことに悲しくなった。さらにこの女子高生程度の年代の女性に気を使われる自分を情けなくも思った。彼は彼女の思い込みを払拭したかった。

「気を使わなくても大丈夫。俺は特に言葉に不自由しているとかではないんだ。大丈夫だよ。それに俺は君よりも年
上だ。しっかりしていると思うよ」

できるだけ流暢に話した。そうすることで自分が言葉に不自由している身の上ではないと言う証明をしたかったのである。

「そうかしら?まぁそのくらい言えるなら大丈夫でしょうね。さぁ着いたわよ。」

 ミノルは何とか彼女から言語に不自由の無い身であるという信頼を勝ち得たように思った。情けない男というイメージを少しは払拭できたと思った。次は身なりを整えれば俺が信頼の置ける年上の男であるとナオミに思い知らせることができるだろうと思っていた。
 
二人は質素なある種、中世ファンタジーでは一般的に多く見られるような家にたどり着いた。




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