死後の世界も生きづらい?

蓮見 七月

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悟の世界

睡眠。Ⅱ

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この世界に来てからいろんなことがあったな。

ミノルは眠りにつきながら考えた。

福島奈緒美フクシマ ナオミそっくりの少女に会うし、その母親は娼婦だった。

さらに驚いたのがその娼婦は自分の職業に自信と誇りとを持ち合わせていた。

きっと今頃あの妖艶な姿で男性達を翻弄しているのかもしれないと思った。あるいは、女性を相手にしていても不思議ではないなとも思った。

そしてあのホームレス集団だ。

やり方次第、工夫次第で人は良い方向に向かうことができると知った。

そして酒場ではあの秋田 剣アキタ ツルギに会った。

彼や彼の仲間達は遠くの富豪のところへ出向いて団結して信頼を勝ち取り建築業を任されるようになったと言っていた。

それ以前はただの無法者。町の厄介者だったらしい。

団結の力の大きさを思い知った。

ただ彼の名前はケンだった。しかしその名前は前に居た世界での彼のあだ名、秋田犬のケンだった。ナオミさんと共に謎は尽きないが、ともかく二人はこの世界に別の人格として存在していた。

その不思議もさることながら、ミノルはこの町の社会風土と価値観に圧倒された。

かえって自分はどうだろう。

元居た世界の自分と言えばファンタジーライトノベルとアニメソングに耽溺し現実から逃れるのみであった。

もちろんミノルはその責任はサトルにもあると言うことを忘れてはいない。

しかし、自分が現実逃避を行い続け、自分の力で価値観を変えたり幸せを自分の力でつかもうとしたことがあるだろうか。

無かった。

自分はただレールの上に沿って生きていただけだった。

親の言うがまま普通の学校へ行き大学へ行き、普通に卒業してそのまま成り行きで警察官になった。

この人生に自分の価値観や自分で幸せをつかみとろうという気概はあっただろうか。

無かった。

この点においてミノルはこの町にかなわないと思った。

そして同時にうらやましくなった。

ミノルは自分も彼らと共に、幸せを作り出したいと思った。

信念を持って行動したいと思った。そして自分もこの世界で幸せをつかみ取り幸せな生活を送りたい。しんからそう思っていた。
 
それにしてもサトルはどうやってこの価値観や社会風土を作り上げたのだろう?

ナオミの母の話によるとサトルが来てからこの社会風土と価値観は育まれていったらしい。

彼が死んでから2年。

2年の内でどうやってそんなことができたのだろう。

それ以上に疑問なのはやはり、サトルがそんな大それた事を成し遂げたと言うことだ。

彼は、”僕達が”といっていたから仲間と一緒に作り上げたのだろうと推測できる。

しかしそれにしても随分なことをしたものだと思った。

サトルが仲間と共に始めたきっかけを知らなければならないと思った。

あの厭世家が何故こんな事をしたのだろうか。

そう考えているうちに眠気に限界が来た。
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