26 / 37
悟の世界
学校。Ⅰ
しおりを挟む
「さぁ もう行こう。」
二人は会計とお礼の挨拶を済ませて店を出た。
スッキリとした朝食を終え、今日はどんな面白い事が待ち構えているのかミノルは興味津々だった。
サトルは振り返って微笑みながら口を開いた。
「今日は、僕らの居た世界で言うところの学校に連れて行くよ。そこに、僕が変わったきっかけもあるんだよ。」
ミノルは驚いた。
ついにあの厭世家で世の中を儚んで自殺したサトルがこの世界でも行き続けている理由が分かる。
そう思うとこれからいく学校にはどんなことが待ち構えているのかドキドキし緊張し始めた。
青空のもと、二人はまた歩いていく。
少しして、町の中央へ着いた。誰もいなかった。
しかし、サトルはそこで歩みを止めた。
そして言う。
「ここだよ。ここが、僕を変えてくれたんだ。少しずつ紹介することになると思うから楽しみにしていてよ。」
ミノルの期待は否が応にも膨らんだ。
サトルの死の理由やこの世界では生きていくという選択をした彼の事が遂に分かる。
そう思った。
しかし、この何も無い広場で何が起きるのだろう。
それともここ自体が何か彼にとって特別な場所なのだろうか。そう考えていた。
すると徐々に子供達がぞろぞろと集まってきた。その中にナオミも居た。
「あっ!二人とも!さては昨日、飲みに行ったわね?ちょっとお酒臭いわよ?」
ナオミはからかい半分で二人に言った。彼女の推測は正しかった。これには二人もたじろぐしかなかった。
「まぁまぁ 大人の楽しみってやつだよ。ナオミちゃん。 それよりも先生は?」
サトルは誤魔化すように言った。
そして、ミノルには先生という言葉が気になった。
確かこの世界には学校は無かった。
しかしナオミはみんなで集まって勉強する場所はあるといっていた。
それがこの場所かもしれない。ミノルはそう推測した。
「もう!誤魔化して!それに先生はもう来ていますよ!ほら、あそこに。」
彼女は昨日のように愛嬌を感じさせる言い方で言った。
サトルはそれを軽くあしらい先生と呼ばれた人が居る方へ視線を向けた。
そして、ミノルにアイコンタクトを取って一緒に彼の方に歩み寄る。
「先生、今日の調子はどうですか?」
先生と呼ばれた男は顔色が蒼白でヒョロヒョロとして背が高く長細い男であった。
そしてその先生が答える。
「あぁサトル君。ありがとう。調子はいいですよ。」
先生と呼ばれた男は、か細い声でこう言った。
サトルと先生は仲がよさそうだった。
ミノルは彼がサトルの死後の人生を変えた人物なのだろうか?と思いつつ死後の人生というのも不思議な話だとも思っていた。
そんなことを考えているとサトルは何か白い粉を先生に渡した。
ミノルは元の世界の職業上の癖でつい口を挟んでしまった。
「おい? それ変な薬じゃないだろうな?」
言った後に自分が親友を疑ってしまったことを悔いた。
しかし、白い粉を渡したことも事実であったため彼は聞かずにいられなかった。
「ふふ。そう思う?これはただの精神安定剤だよ。僕が友達から貰ってきたものを先生に渡しただけさ。」
サトルはまた微笑みながら言った。そして先生も口を開く。
「そう。精神安定剤です。私は心が弱いのです。すみません。」
細々とした声で先生はそう言った。
「いつものことですが、謝ることはありませんよ先生。さぁ生徒達がまっています。本日もよろしくお願いします。」
サトルは優しく微笑んでそう言った。ミノルはやはり自分の発言を恥じた。失敗だと思った。
「謝るのは俺です。申し訳ありませんでした。」
彼は素直に謝った。そして触れてはいけないデリケートなことについて突っ込んでしまったと思った。
「いいのですよ。それより、あなたは?サトル君のお友達ですか?」
先生に尋ねられたミノルは少したじろぎながら答えた。
「はい。彼の友達です。それに、どうも彼と同じく降って来た男のようです。」
ミノルがそう言うと、先生は少し驚いた様子を見せた。そして続けて言う。
「そうですか。そうですか。先ほどのことはなんとも思っていませんからサトル君と一緒に見学でもしていってください。私は生徒達と一緒に勉強しに行かないとですから、失礼します。すみません。」
そういうと先生はそそくさと子供達の方へ向かって歩いていった。
そして、サトルが先生について説明を始めてくれた。
「彼はあそこに居るいろんな子供達を教えているんだよ。そして、元の世界で言うところのうつ病患者だね。かなり神経質なところがある。でもそれは逆に子供達のことを良く見れるって事なんだ。だから僕が彼と子供達を繋げて勉強を教えてあげてるんだよ。それに僕がさっきみたいに薬を渡しているからそれなりに安心かな。調子については良く聞くようにしているけれどね。」
ミノルは精神疾患を持った人が教師をしていることに驚いた。
元の世界でもうつ病患者は多かった。
しかし、わざわざうつ病患者を教師に抜擢するとは聞いたことが無かった。
サトルは逆に生徒を良く見れると言っていたがどういうことなのだろう。
是非、この不思議な学校を見てみたいと思った。
二人は会計とお礼の挨拶を済ませて店を出た。
スッキリとした朝食を終え、今日はどんな面白い事が待ち構えているのかミノルは興味津々だった。
サトルは振り返って微笑みながら口を開いた。
「今日は、僕らの居た世界で言うところの学校に連れて行くよ。そこに、僕が変わったきっかけもあるんだよ。」
ミノルは驚いた。
ついにあの厭世家で世の中を儚んで自殺したサトルがこの世界でも行き続けている理由が分かる。
そう思うとこれからいく学校にはどんなことが待ち構えているのかドキドキし緊張し始めた。
青空のもと、二人はまた歩いていく。
少しして、町の中央へ着いた。誰もいなかった。
しかし、サトルはそこで歩みを止めた。
そして言う。
「ここだよ。ここが、僕を変えてくれたんだ。少しずつ紹介することになると思うから楽しみにしていてよ。」
ミノルの期待は否が応にも膨らんだ。
サトルの死の理由やこの世界では生きていくという選択をした彼の事が遂に分かる。
そう思った。
しかし、この何も無い広場で何が起きるのだろう。
それともここ自体が何か彼にとって特別な場所なのだろうか。そう考えていた。
すると徐々に子供達がぞろぞろと集まってきた。その中にナオミも居た。
「あっ!二人とも!さては昨日、飲みに行ったわね?ちょっとお酒臭いわよ?」
ナオミはからかい半分で二人に言った。彼女の推測は正しかった。これには二人もたじろぐしかなかった。
「まぁまぁ 大人の楽しみってやつだよ。ナオミちゃん。 それよりも先生は?」
サトルは誤魔化すように言った。
そして、ミノルには先生という言葉が気になった。
確かこの世界には学校は無かった。
しかしナオミはみんなで集まって勉強する場所はあるといっていた。
それがこの場所かもしれない。ミノルはそう推測した。
「もう!誤魔化して!それに先生はもう来ていますよ!ほら、あそこに。」
彼女は昨日のように愛嬌を感じさせる言い方で言った。
サトルはそれを軽くあしらい先生と呼ばれた人が居る方へ視線を向けた。
そして、ミノルにアイコンタクトを取って一緒に彼の方に歩み寄る。
「先生、今日の調子はどうですか?」
先生と呼ばれた男は顔色が蒼白でヒョロヒョロとして背が高く長細い男であった。
そしてその先生が答える。
「あぁサトル君。ありがとう。調子はいいですよ。」
先生と呼ばれた男は、か細い声でこう言った。
サトルと先生は仲がよさそうだった。
ミノルは彼がサトルの死後の人生を変えた人物なのだろうか?と思いつつ死後の人生というのも不思議な話だとも思っていた。
そんなことを考えているとサトルは何か白い粉を先生に渡した。
ミノルは元の世界の職業上の癖でつい口を挟んでしまった。
「おい? それ変な薬じゃないだろうな?」
言った後に自分が親友を疑ってしまったことを悔いた。
しかし、白い粉を渡したことも事実であったため彼は聞かずにいられなかった。
「ふふ。そう思う?これはただの精神安定剤だよ。僕が友達から貰ってきたものを先生に渡しただけさ。」
サトルはまた微笑みながら言った。そして先生も口を開く。
「そう。精神安定剤です。私は心が弱いのです。すみません。」
細々とした声で先生はそう言った。
「いつものことですが、謝ることはありませんよ先生。さぁ生徒達がまっています。本日もよろしくお願いします。」
サトルは優しく微笑んでそう言った。ミノルはやはり自分の発言を恥じた。失敗だと思った。
「謝るのは俺です。申し訳ありませんでした。」
彼は素直に謝った。そして触れてはいけないデリケートなことについて突っ込んでしまったと思った。
「いいのですよ。それより、あなたは?サトル君のお友達ですか?」
先生に尋ねられたミノルは少したじろぎながら答えた。
「はい。彼の友達です。それに、どうも彼と同じく降って来た男のようです。」
ミノルがそう言うと、先生は少し驚いた様子を見せた。そして続けて言う。
「そうですか。そうですか。先ほどのことはなんとも思っていませんからサトル君と一緒に見学でもしていってください。私は生徒達と一緒に勉強しに行かないとですから、失礼します。すみません。」
そういうと先生はそそくさと子供達の方へ向かって歩いていった。
そして、サトルが先生について説明を始めてくれた。
「彼はあそこに居るいろんな子供達を教えているんだよ。そして、元の世界で言うところのうつ病患者だね。かなり神経質なところがある。でもそれは逆に子供達のことを良く見れるって事なんだ。だから僕が彼と子供達を繋げて勉強を教えてあげてるんだよ。それに僕がさっきみたいに薬を渡しているからそれなりに安心かな。調子については良く聞くようにしているけれどね。」
ミノルは精神疾患を持った人が教師をしていることに驚いた。
元の世界でもうつ病患者は多かった。
しかし、わざわざうつ病患者を教師に抜擢するとは聞いたことが無かった。
サトルは逆に生徒を良く見れると言っていたがどういうことなのだろう。
是非、この不思議な学校を見てみたいと思った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
19
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる