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悟の世界
学校。Ⅱ
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「皆さんこんにちは~。今日も元気ですか~?」
先生は独特の動きと声でそう言った。
そして授業が始まった。
ナオミや他の子供達もいる。
ナオミと同じ年代の子供も居れば児童と呼べるくらい小さな子供もいた。
ナオミよりも年上そうに見える子も居た。
ミノルはあの細々とした先生から発せられた優しい言葉に安心した。
そして授業が始まった。
授業の内容は今回は読み書きのようだった。
「さぁ今日は読み書きのお勉強ですよ~。もう読み書きができる子はできない子に教えてあげてくださいね~。分からないところがあれば先生も教えますよ~。」
やはり独特の声と特徴のある動きで先生は言った。
ミノルはこの授業に驚いた。
教室も無く広場で座って行われる授業。
しかも教えるのは先生だけでなく、読み書きのできる子ができない子に教えるという変わった授業形態。
ミノルが元の世界で受けてきたどの授業よりも変わっていた。
そしてミノルはあることに気がついた。
目が見えない子供と耳の聞こえない子供が居る。
そして、それが自然だというように授業に溶け込んでいた。
少し目をやるとナオミも目の見えない子供に手を取って文字の書き方を教えていた。
なんて寛容な学校だろう!
教室もない、教科書も無い、先生も精神疾患を患っている。
しかしこの風景には暖かさがあった。
サトルが口を開く。
「僕達がいた世界にこんな寛容さはあったかな?学校で、いわゆる障がい者がみんなと一緒に勉強する。授業内容は必ず生きていくために必要なことをする。テストでいい点数を取るための授業なんてここでは無意味なんだ。僕はとても好きだよ。この自由と寛容の精神に満ちた教室がね。」
サトルは真剣な眼差しで子供と先生を見ながら言った。しかし、ミノルは元居た世界の授業と比べてみる。するともっと勉強したい子供はどうなるのだろう?
自由と寛容はあるかもしれないけれどそれは今よりもっと勉強したい子供の意欲を削いでいるんじゃないか?
そう言った考えがよぎった。
この疑問は、この自由な教室の雰囲気から出た言葉かもしれなかった
「サトル、確かにこの授業は自由だし、障がい者にも寛容だ。でももっと勉強したい子供はどうなる?それにこの水準の勉強じゃあ、あるか知らないが大学に入ったりしてエリート層になったりはできないんじゃないのか?逆にチャンスを潰しているんじゃないのか?」
彼は正直に思ったことを言った。
この問に対してサトルは微笑んだ。
「そうだね。確かにこの授業は生きていくための最低基準の勉強しか教えない。でも、この自由な教室で学んだ子供達は読み書きもできるから、自分達で本を読んだりして勝手に育っていくんだよ。今はまだ居ないけれど、高等教育を受けられるようなって、エリート層に入る子供たちも現れるんじゃないかな?」
改めて自分が受けてきた授業を振り返る。
自分が受けてきた授業とは何だったのだろう?良い高校、良い大学に入るための授業だったのかもしれない。そして優良企業に入社して、良い家庭を作る。そして幸せになる。
果たしてそれが本当の幸せだったのだろうか。
ミノルはまたも幸せについて自分で考えなければならなかった。
自分で幸せについて考える。
こんなことを今までした事があっただろうか。
自分はレールに乗せられていただけだったのではないか?
そんな考えがミノルに浮かんだ。
「今、自分で考えているだろう?君も僕も一緒に授業に参加しよう。自由に一緒に考えようじゃないか」
サトルはミノルを見てまたも諭すような笑みを見せた。
先生は独特の動きと声でそう言った。
そして授業が始まった。
ナオミや他の子供達もいる。
ナオミと同じ年代の子供も居れば児童と呼べるくらい小さな子供もいた。
ナオミよりも年上そうに見える子も居た。
ミノルはあの細々とした先生から発せられた優しい言葉に安心した。
そして授業が始まった。
授業の内容は今回は読み書きのようだった。
「さぁ今日は読み書きのお勉強ですよ~。もう読み書きができる子はできない子に教えてあげてくださいね~。分からないところがあれば先生も教えますよ~。」
やはり独特の声と特徴のある動きで先生は言った。
ミノルはこの授業に驚いた。
教室も無く広場で座って行われる授業。
しかも教えるのは先生だけでなく、読み書きのできる子ができない子に教えるという変わった授業形態。
ミノルが元の世界で受けてきたどの授業よりも変わっていた。
そしてミノルはあることに気がついた。
目が見えない子供と耳の聞こえない子供が居る。
そして、それが自然だというように授業に溶け込んでいた。
少し目をやるとナオミも目の見えない子供に手を取って文字の書き方を教えていた。
なんて寛容な学校だろう!
教室もない、教科書も無い、先生も精神疾患を患っている。
しかしこの風景には暖かさがあった。
サトルが口を開く。
「僕達がいた世界にこんな寛容さはあったかな?学校で、いわゆる障がい者がみんなと一緒に勉強する。授業内容は必ず生きていくために必要なことをする。テストでいい点数を取るための授業なんてここでは無意味なんだ。僕はとても好きだよ。この自由と寛容の精神に満ちた教室がね。」
サトルは真剣な眼差しで子供と先生を見ながら言った。しかし、ミノルは元居た世界の授業と比べてみる。するともっと勉強したい子供はどうなるのだろう?
自由と寛容はあるかもしれないけれどそれは今よりもっと勉強したい子供の意欲を削いでいるんじゃないか?
そう言った考えがよぎった。
この疑問は、この自由な教室の雰囲気から出た言葉かもしれなかった
「サトル、確かにこの授業は自由だし、障がい者にも寛容だ。でももっと勉強したい子供はどうなる?それにこの水準の勉強じゃあ、あるか知らないが大学に入ったりしてエリート層になったりはできないんじゃないのか?逆にチャンスを潰しているんじゃないのか?」
彼は正直に思ったことを言った。
この問に対してサトルは微笑んだ。
「そうだね。確かにこの授業は生きていくための最低基準の勉強しか教えない。でも、この自由な教室で学んだ子供達は読み書きもできるから、自分達で本を読んだりして勝手に育っていくんだよ。今はまだ居ないけれど、高等教育を受けられるようなって、エリート層に入る子供たちも現れるんじゃないかな?」
改めて自分が受けてきた授業を振り返る。
自分が受けてきた授業とは何だったのだろう?良い高校、良い大学に入るための授業だったのかもしれない。そして優良企業に入社して、良い家庭を作る。そして幸せになる。
果たしてそれが本当の幸せだったのだろうか。
ミノルはまたも幸せについて自分で考えなければならなかった。
自分で幸せについて考える。
こんなことを今までした事があっただろうか。
自分はレールに乗せられていただけだったのではないか?
そんな考えがミノルに浮かんだ。
「今、自分で考えているだろう?君も僕も一緒に授業に参加しよう。自由に一緒に考えようじゃないか」
サトルはミノルを見てまたも諭すような笑みを見せた。
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