死後の世界も生きづらい?

蓮見 七月

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実の世界

現実。Ⅱ

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「状況は?」


ミノルは誰とも無く尋ねた。

しかし、今度は元居た世界の様に業務上の必要に迫られたわけではない。

自分が生きるため。皆を生かすために尋ねていた。

ケンが野次馬達から素早く情報収集して報告した。

「ヤツの名前はさっき言ったとおりフミヤ!ナオミさんの家に立てこもってナオミさんを無理やり掴んでます!」

これに対してサトルがさらに聞いた。

「ピストルはどうなの?」

ケンがまた答えた。

「どうも2発撃っているみたいです!」

ミノルは驚かなかった。

あの時と、現実と、完璧に同じ状況だった。

「分かった。フミヤの要求は?」

ミノルは答えを知っていた。フミヤに要求は無い。

ナオミさんの事を一方的に好きになって暴走しただけだ。

「どうも要求らしいものはしていないそうです!」

またしてもケンが簡潔に答えてくれた。

「ありがとう」

ミノルも簡潔に応答する。

ケンにはそれが意外だった。

ミノルがこの事件についてあたかも知っているような声色で言ったからだった。

「要求が無いなら俺が交渉を持ちかける」

ミノルの言葉に一同が驚いた。

しかし、ミノルの発した声は、前回のように”死”についてとらわれている者のそれではなかった。

ユタカが大きく手を振ってミノルの注意を引いた。

彼女の手に持っている紙には

「自警団の応援が来るのを待った方がいいのでは?」

と書いてあった。

ミノルは緊急事態にも関わらず、周りを見てユタカが考えてくれたのだと思った。

それを見て嬉しく思った。彼女もまた元居た世界の青森 豊アオモリ ユタカを思い出させた。


「フミヤは2発も発砲し興奮している。それに人質がいるにもかかわらず俺達が何もしないのであれば、フミヤはさらに調子付き何をするか分からない。ここはナオミさんのためにも俺が交渉を持ちかける。皆は何かあったときのために準備していてくれ サトル今のを通訳してやってくれ。」

サトルは素早く手話を使って通訳した。

ミノルは誰にも死んでほしくなかった。

今回は自分も含めたすべての人に死んでほしくなかった。

この世界で皆と一緒に生きて行きたい。

幸せを自分の力で掴み取りたい。そんな心境であった。

その場に居た一同はミノルの覚悟を感じ取った。

誰もが、ミノルの指揮に従おうと覚悟を決めた。

ケンは、何かあった時、フミヤを拘束できるように準備した。

サトルとユタカはいつでもナオミを助けに行けるように準備した。

一同は交渉に向かうミノルの後姿を見送った。
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