現代にダンジョンが出来たけど思ったより馴染んでいるようです

二兎凛

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第一章「チュートリアルダンジョン」

第六話「転職はまだ遠い」

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転職、と言われて思いつくのは神殿や転職アイテムだろうか。

でもここは現実、転職するための神殿なんて物は存在しない

そうするとあり得るのは転職アイテムだろうか?

モンスターを倒した時のレアドロップで出現するのはゲームではよくある事だ。

転職したい、と心の中で念じてみても出来る様子は無いので何か方法があるはずだ。

今は出来ないという事だけは分かったので良しとしよう。

明日学校へ行けば休みなので土日に一気にダンジョン探索をしていこう、運がよければ転職アイテムなんかも手に入るかもしれないし。

その後お風呂に入り部屋へと戻り、僕はそのまま泥のように眠りについた。

朝になりいつも通り学校へと行き、代わり映えのしない授業を受ける。
だけど僕は今年大学生になるための勉強もしなければいけない。
ダンジョンはほどほどにしないとな。

授業を終え家へと帰り、課題や軽く復習をする。
勉学を怠ってはいけないのだ。
課題が思ったよりも多いので、今日はダンジョンへ入らずに昨日乱獲した魔石で色々試してみようと思う。
息抜きも大事だよね、と自分を納得させる。

魔石はすりこぎでも砕ける程度の硬さだったのですりこぎを使って魔石を砕いて粉にする。
それを試験管の中にほんの少し入れてそれに水を入れてみる。

水を入れて軽く混ぜてみたら一瞬で粉が溶けて無くなった。
色が薄い青色になったのでその水を鑑定してみる。
鑑定、と言おうとする前に鑑定の結果が頭に流れ込んできた。
念じるだけでも使えるようだ。
口に出すのは少し恥ずかしいので素直に嬉しい。
-------鑑定結果-------
魔水
魔石を砕いたものを水に溶かしたもの。
魔力を豊富に含んでおり、様々な薬などの原料となる。
-------鑑定終了-------

薬の原料という事は、ポーションだろうか?
ダンジョンの中で薬草などが出る可能性も出てきたから次は深く潜るのもいいかもしれない。

でも今の問題は分離材で、これは下手をすると世界を変えるかもしれない。

一般人の僕だって分かるくらいには純度100%の金属を作るのは難しいのは知っている。
今の僕には手に余るものだから一旦置いておこう。

次は粉に油を溶かしてみる。
それ以前に溶けるのかすら不安になるけれど水にでもあれだけ一瞬で溶けたから色々なものに溶けてもおかしくないはず。

さっきと同じように少しの粉に油を入れて混ぜる。
今度は薄紫色に変わり、明らかに別物が出来たのが分かる。
それをまた鑑定してみる。
-------鑑定結果-------
魔油
魔石を砕いたものを油に溶かしたもの。
魔力を豊富に含んでおり、様々な薬の原料となる。
-------鑑定終了-------
基本的には魔水と変わらないらしい。
あとは素材が増えないとどうしようも無さそうだ。

課題はまだ残っているので今日のうちに終わらせてしまおう。

----------------
ここは内閣府にある会議室そこで3人の男たちが話し合いをしていた。
「それで、噂のダンジョンについてだが、何か報告はありますか。」
彼の名前は阿部晋次、今の日本の総理大臣である。
「はい総理、こちらの資料をご覧ください。」
防衛大臣である岩野大臣が総理に資料を渡す。
「JP-002通称タワーダンジョンにて自衛隊員1名が重症か、よくこれだけの損失で済みましたね。」
「えぇ、おそらくですが一桁代のダンジョンは高難易度のダンジョンと思われますね。最初に入った作業員の男性が鑑定というスキルと呼ばれるものを手に入れていたそうで、そんな彼に同行を依頼したのが救いだったようです。」
「なるほど、でしたら初級ダンジョンと呼ばれるダンジョンも存在しそうですね、そちらの方の確認は?」
「現在東京では確認されていませんが、岐阜県の各務ヶ原の自衛隊基地の付近にあるお店にて小規模のダンジョンらしき空間を確認したとの事です。他にも数カ所似たような場所が報告されています。」
「なるほど、私が許可を出しますので、危険だとは思いますが調査をよろしくお願いします。」
「了解しました。」
「防衛大臣、俺からもいいか?」
副総理である麻井副総理が副総理に声をかける。
「副総理、何でしょうか?」
「俺はよく小説とかを読むんだが、こういったダンジョンをテーマにしたものはダンジョンを放置すると中にいるモンスターが溢れ出すというのが定石だ、出来る限りダンジョンの把握に努めてくれ。」
「は、はぁ。」
「(俺の予想があっていればダンジョンを作り出した存在は日本やアメリカの作品を参考にしている節がある。下手をすれば民家にある可能性もあり得るからな。)」
「ダンジョン対策本部に電話が来る場合基本的に全ての情報を報告するように伝えてくれ、たとえそれが嘘にしか思えなくてもな、頼んだぞ。」
「かしこまりました。」
「それでは私はこれで。」
防衛大臣が会議室から退出した。

「なぁ総理、これからどうなると思う?」
「ダンジョンの中にあるもの次第でしょうかね?」
「だよなぁ、ダンジョンを探索したがる一般市民が増えるだろうな、対策も考えておくが、初級ダンジョンが確認されたら解放も検討したほうがいいな。」
「でしょうね、あとは調査結果を待ちましょう。」
「そうだな。」

そして2人も会議室を出て行った。
ここから日本は、いや世界は大きな変化を迎える事になっていくのだがこの時はまだそこまで頭が回っていなかった。
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