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4話 夜の更けた頃の御伽話(3)
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「お、おい、お嬢ちゃん⁉︎ どうしたんだ急に!」
憲兵は焦った。少女を泣かせてしまったという罪悪感が彼らを襲う。
シャーロットの泣き声は次第に大きくなっていった。それはまるで道に迷った幼い子供のような、それはまるで愛しの飼い主に捨てられた子猫のような、そんな風に、彼女は泣いた。
──フェリシアが死んじゃう。そんなの嫌だ。死んで欲しくない。何がなんでも、たとえフェルシアの命と引き換えにこの世界が滅んだとしても、それでも、それでも、それでも......。
そして祈るように、彼女はその清らかな口から魂の声を漏らした。
「お願い......死なないで.....」
そのとき、シャーロットはその小さな、震えの止まらぬ肩に優しく温かい、されど力強い何かを感じた。
「え......?」
肩に、手が乗っている。大きい、手。なんだか凄く、頼もしい手。
見上げると、それはどこかで見た覚えのある眉目秀麗な顔が彼女の泣き顔を覗き込んでいた。
「お嬢ちゃん、心配はご無用ですよ」
その男はそう言い残すと屋敷の中へ堂々と入っていった。
いつからそこにいたのか、その背中を何十という数の憲兵たちが追って、同じように屋敷に入っていった。
「......ふぇ?」
いつの間にか屋敷の外にはシャーロット以外いなくなっていた。
涙を袖の裾で拭き、シャーロットは理解の追いつかないままに屋敷に戻った。
♢
「あ、あなたは......いや、あなた様は......まさか」
この屋敷の主、テヴィンは度重なる来客に困惑した。
その男が憲兵でないことはひと目見て分かった。豪華に光る無数の首飾りに、金と白を中心とした色彩でデザインされたシンプルかつ派手な衣装。それになにより、腕につけられている黄金の勲章──。それら全てが、雄弁にその存在の大きさを語っていた。
「このような夜更けに、失礼いたします。 初めまして、テヴィン=フローレス殿。 私はミサ帝国第二皇子、クラウス=リ=カルナックと申します」
その男はこの国の皇太子を名乗った。
憲兵は焦った。少女を泣かせてしまったという罪悪感が彼らを襲う。
シャーロットの泣き声は次第に大きくなっていった。それはまるで道に迷った幼い子供のような、それはまるで愛しの飼い主に捨てられた子猫のような、そんな風に、彼女は泣いた。
──フェリシアが死んじゃう。そんなの嫌だ。死んで欲しくない。何がなんでも、たとえフェルシアの命と引き換えにこの世界が滅んだとしても、それでも、それでも、それでも......。
そして祈るように、彼女はその清らかな口から魂の声を漏らした。
「お願い......死なないで.....」
そのとき、シャーロットはその小さな、震えの止まらぬ肩に優しく温かい、されど力強い何かを感じた。
「え......?」
肩に、手が乗っている。大きい、手。なんだか凄く、頼もしい手。
見上げると、それはどこかで見た覚えのある眉目秀麗な顔が彼女の泣き顔を覗き込んでいた。
「お嬢ちゃん、心配はご無用ですよ」
その男はそう言い残すと屋敷の中へ堂々と入っていった。
いつからそこにいたのか、その背中を何十という数の憲兵たちが追って、同じように屋敷に入っていった。
「......ふぇ?」
いつの間にか屋敷の外にはシャーロット以外いなくなっていた。
涙を袖の裾で拭き、シャーロットは理解の追いつかないままに屋敷に戻った。
♢
「あ、あなたは......いや、あなた様は......まさか」
この屋敷の主、テヴィンは度重なる来客に困惑した。
その男が憲兵でないことはひと目見て分かった。豪華に光る無数の首飾りに、金と白を中心とした色彩でデザインされたシンプルかつ派手な衣装。それになにより、腕につけられている黄金の勲章──。それら全てが、雄弁にその存在の大きさを語っていた。
「このような夜更けに、失礼いたします。 初めまして、テヴィン=フローレス殿。 私はミサ帝国第二皇子、クラウス=リ=カルナックと申します」
その男はこの国の皇太子を名乗った。
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