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3話 夜の更けた頃の御伽話(2)
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テヴィンは刹那自分の目を疑った。その瞳に飛び込んできた光景は紛れもない事実であるはずだったが、それはあまりにも信じがたく、彼の理解の範疇を大きく超越するものだった。
「い、いったいどうしたんだフェリシア‼︎ なにがあったんだ⁉︎ 王都の生活はどうした⁉︎ というか、全身血塗れじゃないか‼︎」
テヴィンは幾多もの傷を負ったフェリシアを抱き起こし、この不可思議な状況をなんとか理解しようと彼女を質問責めにする。
しかしそんな言葉の雨にフェリシアが応答できる筈もなく。その双眸を固く鎖し、白い頬を苦悶に歪めるフェリシアを見て、テヴィンは問いより娘を労ってやることが先だったと、一瞬己の過ちを悔いた。
その時、二階からフローレス家のメイド──シャルロット=ディ=ウォードが、デヴィンの大声を聞いて慌ただしく階段を降りてきた。
彼女は少女のような小柄の体の持ち主であり、その顔立ちはまるで人形のように美しく整っている。また彼女の黄金色の髪は腰の下あたりまで伸びていて、その風貌は辺境に追いやられた貴族のメイドというよりは、御伽話に登場する囚われのお姫様のようである。
「何事ですか旦那様──え、そ、それは⁉︎」
シャルロットはテヴィンに抱えられているフェリシアを見た。
「いや、私も状況を把握しかねている。 まさかフェリシアが帰ってくるだなんて……。 あ、この子が、私の娘、フェリシアであることは間違いない。 私が保証する」
「……わかりました。取り敢えずフェリシア様を中にいれましょう。 って、もの凄く血が出ているではありませんか‼︎」
シャーロットは直感的に感じ取った。この出血量は尋常な量じゃない。フェリシアの命の危険まであると。
「私はフェリシア様をどこか寝かせられる場所──あのソファーのところまで運びます。 旦那様は地下の倉庫から新しい布を、たくさん持ってきてください!古典的な方法ではありますが、応急的な処置を施します!」
「わかった、シャルロット」
シャルロットは力強くフェリシアを背負い、居間のソファーまで運んで、そこに彼女を寝かせた。純白の布で覆われた、眩しささえ感じられる贅沢な白ソファーだったが、それは彼女の体から溢れ出る血液によってみるみる紅色に染め上げられていった。
彼女はテヴィンの持ってきた大量のタオルを使って、知り得る医療の知識を惜しみなく捻り出し、止血を試みた。しかし大きく開いた傷口からの流血は止まる気配を見せず、居間の底面は紅の海と化していた。
「フェリシア、あぁ、フェリシア!」
テヴィンは叫ぶことしかできなかった。
はじめはフェリシアの意識を保たせるためか、力のこもった声色でその名を呼んでいたが、しばらくの時が経って彼女の顔が青ざめ始めたときには、ただただフェリシアという5文字の単語を延々とリピートし続ける、壊れたからくり人形のようになっていた。
メイドは焦った。
あと数分、出血が止まらなければもうフェリシアの命はない。
もしこの場に治癒魔法の使える者がいれば……と考えを巡らせるが、この屋敷にはこの場にいる三人と、あとは何も知らずに寝室でぐっすりと寝ている、フェリシアの弟のセノしかいない。
回復魔法を扱える者などいなかった。
ということは──。
シャルロットは一つの、耐え難い、考えたくもない結論に辿り着こうとしていた。しかし、そんな酷な結論は彼女自身の心の奥底にある何かが受け付けなかった。ただ、それを否定する材料や状況はどこにもない──。
じゃあ、じゃあもうフェリシアは最期かもしれないの──。
シャルロットの瞳に光り輝く涙の粒がほんのりと浮かんだ。
こんな。こんな最期になるなんて。
フェリシアの死──そんな、真正面から受け入れることなど到底できない、冷酷な事実へと強引に引っ張られていったそのとき──。
シャルロットは窓の外から微かに漏れ出る、人の話し声のようなものを聞いた。低く鈍い、男性のような声。彼女にはその声が大変心地良いものに感じられた。そう錯覚するほどに、他人が近くにいるという事実は重要であり、残された、たった一つの希望だった。
だ、誰かが、いる。
もし、奇跡的にその人が治癒魔法の使い手であったなら。
フェリシアが助かる──そんな未来がまだ残されている──。
そんな考えが頭をちらりとよぎったことに気づいたときには、身体は既に反射的に玄関を飛び出し、その声の聞こえる方向へと走り出していた。
お願いですから、奇跡よ、起きてください!
シャルロットは走りながら叫んだ。
「そこに! そこに誰かいるのですか⁉︎ いたら返事をいただきたく存じます‼︎ 今怪我人がこの屋敷の中で倒れているんです‼︎ どうかあなたのお力を貸していただけないでしょうか!!!」
これが文字通り最後の希望だった。
奇跡でも起きなければ、フェリシアは死ぬ。どんなときでも優しく接してくれた、あの、あの、フェリシアが死ぬ。
藁にもすがる思いとは、こういうことなのか。
その話し声はシャルロットの叫びに応じるようにしてパタリと止み、代わりに二つの人影が木々の間から姿を現した。
人影が近づくにつれ、シャルロットはその人たちの風貌を、より鮮明に確認することができた。
二人の男。どちらも彼女の二倍くらいの身長がある。揃って皺一つない茶色の軍服を見に纏い、その右胸には、月の明かりを鮮やかに反射して輝く勲章をぶら下げている。
「──憲兵、さま?」
シャルロットは一瞬思考が絡まって停止した。その軍服は王都周辺の警備を主な任務とする皇帝直属の組織、憲兵専用のものだったからだ。フローレス家の領地は王都から何千里も遠く離れた場所にあり、このような辺境の地に王憲兵がわざわざ来ることなど、余程特別なことがない限りありえない。
しかしシャルロットはその絡まった思考そのものを投げ捨て、今やるべきことに集中した。
「憲兵様、助けてください! この屋敷のなかで重度の怪我を負った者がいるんです!」
シャルロットは高揚していた。憲兵はその仕事柄、基本的な治癒魔法なら扱えるという者は多い。
可能性がある。未来がある。フェリシアと、また笑って過ごせる未来が、まだ。
二人の憲兵は驚いたように顔を見合わせた。
シャルロットは固唾を飲んで返答を待った。
刹那の間を置いた後、片方の憲兵が口をひらいた。
「治癒魔法は......使えないからこのような状況になっているのだろうな」
「はい。 原始的な応急処置はしたのですが......血が止まらなくて......もしかしたら、お二人のどちらか、治癒魔法を......」
「──そうか。 そういうことなら──
──残念ながら、俺たちは力になってあげられそうにないよ」
──。
──その一言。
その一言は、まだ人生経験の浅いシャーロットにとって、あまりに重く、冷たいものであった。
シャーロットは、足の筋肉が突如として消えたかのように、ストンと地べたに座り込んだ。
絶望。音を立てて崩れ去っていく、未来への幻想。希望というものは、こんなにも脆く儚いものなのかと。
シャーロットの頬を涙が優しくなぞって地に落ちる。彼女は地べたに蹲って嗚咽した。
「い、いったいどうしたんだフェリシア‼︎ なにがあったんだ⁉︎ 王都の生活はどうした⁉︎ というか、全身血塗れじゃないか‼︎」
テヴィンは幾多もの傷を負ったフェリシアを抱き起こし、この不可思議な状況をなんとか理解しようと彼女を質問責めにする。
しかしそんな言葉の雨にフェリシアが応答できる筈もなく。その双眸を固く鎖し、白い頬を苦悶に歪めるフェリシアを見て、テヴィンは問いより娘を労ってやることが先だったと、一瞬己の過ちを悔いた。
その時、二階からフローレス家のメイド──シャルロット=ディ=ウォードが、デヴィンの大声を聞いて慌ただしく階段を降りてきた。
彼女は少女のような小柄の体の持ち主であり、その顔立ちはまるで人形のように美しく整っている。また彼女の黄金色の髪は腰の下あたりまで伸びていて、その風貌は辺境に追いやられた貴族のメイドというよりは、御伽話に登場する囚われのお姫様のようである。
「何事ですか旦那様──え、そ、それは⁉︎」
シャルロットはテヴィンに抱えられているフェリシアを見た。
「いや、私も状況を把握しかねている。 まさかフェリシアが帰ってくるだなんて……。 あ、この子が、私の娘、フェリシアであることは間違いない。 私が保証する」
「……わかりました。取り敢えずフェリシア様を中にいれましょう。 って、もの凄く血が出ているではありませんか‼︎」
シャーロットは直感的に感じ取った。この出血量は尋常な量じゃない。フェリシアの命の危険まであると。
「私はフェリシア様をどこか寝かせられる場所──あのソファーのところまで運びます。 旦那様は地下の倉庫から新しい布を、たくさん持ってきてください!古典的な方法ではありますが、応急的な処置を施します!」
「わかった、シャルロット」
シャルロットは力強くフェリシアを背負い、居間のソファーまで運んで、そこに彼女を寝かせた。純白の布で覆われた、眩しささえ感じられる贅沢な白ソファーだったが、それは彼女の体から溢れ出る血液によってみるみる紅色に染め上げられていった。
彼女はテヴィンの持ってきた大量のタオルを使って、知り得る医療の知識を惜しみなく捻り出し、止血を試みた。しかし大きく開いた傷口からの流血は止まる気配を見せず、居間の底面は紅の海と化していた。
「フェリシア、あぁ、フェリシア!」
テヴィンは叫ぶことしかできなかった。
はじめはフェリシアの意識を保たせるためか、力のこもった声色でその名を呼んでいたが、しばらくの時が経って彼女の顔が青ざめ始めたときには、ただただフェリシアという5文字の単語を延々とリピートし続ける、壊れたからくり人形のようになっていた。
メイドは焦った。
あと数分、出血が止まらなければもうフェリシアの命はない。
もしこの場に治癒魔法の使える者がいれば……と考えを巡らせるが、この屋敷にはこの場にいる三人と、あとは何も知らずに寝室でぐっすりと寝ている、フェリシアの弟のセノしかいない。
回復魔法を扱える者などいなかった。
ということは──。
シャルロットは一つの、耐え難い、考えたくもない結論に辿り着こうとしていた。しかし、そんな酷な結論は彼女自身の心の奥底にある何かが受け付けなかった。ただ、それを否定する材料や状況はどこにもない──。
じゃあ、じゃあもうフェリシアは最期かもしれないの──。
シャルロットの瞳に光り輝く涙の粒がほんのりと浮かんだ。
こんな。こんな最期になるなんて。
フェリシアの死──そんな、真正面から受け入れることなど到底できない、冷酷な事実へと強引に引っ張られていったそのとき──。
シャルロットは窓の外から微かに漏れ出る、人の話し声のようなものを聞いた。低く鈍い、男性のような声。彼女にはその声が大変心地良いものに感じられた。そう錯覚するほどに、他人が近くにいるという事実は重要であり、残された、たった一つの希望だった。
だ、誰かが、いる。
もし、奇跡的にその人が治癒魔法の使い手であったなら。
フェリシアが助かる──そんな未来がまだ残されている──。
そんな考えが頭をちらりとよぎったことに気づいたときには、身体は既に反射的に玄関を飛び出し、その声の聞こえる方向へと走り出していた。
お願いですから、奇跡よ、起きてください!
シャルロットは走りながら叫んだ。
「そこに! そこに誰かいるのですか⁉︎ いたら返事をいただきたく存じます‼︎ 今怪我人がこの屋敷の中で倒れているんです‼︎ どうかあなたのお力を貸していただけないでしょうか!!!」
これが文字通り最後の希望だった。
奇跡でも起きなければ、フェリシアは死ぬ。どんなときでも優しく接してくれた、あの、あの、フェリシアが死ぬ。
藁にもすがる思いとは、こういうことなのか。
その話し声はシャルロットの叫びに応じるようにしてパタリと止み、代わりに二つの人影が木々の間から姿を現した。
人影が近づくにつれ、シャルロットはその人たちの風貌を、より鮮明に確認することができた。
二人の男。どちらも彼女の二倍くらいの身長がある。揃って皺一つない茶色の軍服を見に纏い、その右胸には、月の明かりを鮮やかに反射して輝く勲章をぶら下げている。
「──憲兵、さま?」
シャルロットは一瞬思考が絡まって停止した。その軍服は王都周辺の警備を主な任務とする皇帝直属の組織、憲兵専用のものだったからだ。フローレス家の領地は王都から何千里も遠く離れた場所にあり、このような辺境の地に王憲兵がわざわざ来ることなど、余程特別なことがない限りありえない。
しかしシャルロットはその絡まった思考そのものを投げ捨て、今やるべきことに集中した。
「憲兵様、助けてください! この屋敷のなかで重度の怪我を負った者がいるんです!」
シャルロットは高揚していた。憲兵はその仕事柄、基本的な治癒魔法なら扱えるという者は多い。
可能性がある。未来がある。フェリシアと、また笑って過ごせる未来が、まだ。
二人の憲兵は驚いたように顔を見合わせた。
シャルロットは固唾を飲んで返答を待った。
刹那の間を置いた後、片方の憲兵が口をひらいた。
「治癒魔法は......使えないからこのような状況になっているのだろうな」
「はい。 原始的な応急処置はしたのですが......血が止まらなくて......もしかしたら、お二人のどちらか、治癒魔法を......」
「──そうか。 そういうことなら──
──残念ながら、俺たちは力になってあげられそうにないよ」
──。
──その一言。
その一言は、まだ人生経験の浅いシャーロットにとって、あまりに重く、冷たいものであった。
シャーロットは、足の筋肉が突如として消えたかのように、ストンと地べたに座り込んだ。
絶望。音を立てて崩れ去っていく、未来への幻想。希望というものは、こんなにも脆く儚いものなのかと。
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