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第二章 まさかのんびり生活からの……地獄!?

俺の家族の朝は騒がしい

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「んあ……」

 シャっと、カーテンが開かれると同時に、俺の意識は現実世界へと戻ってくる。

 情報的には良い夢だが、夢であのジジィの顔はもう見たくないな。

「おはようございます、ユト様」

「ん……ユキナ、おはよう」

 カーテンを開けた人物。

 それはユキナという俺の専属メイドだ。

 完全無欠の美少女……説明はこのぐらいで良いだろう。

 まだ16歳の少女ってのことに驚きだ。

「妹様も、起きてください」

「にゃぁぁ……いや~」

 あら何この可愛い生き物。

「ダメです、起床のお時間です。まったく、妹様はいつもユト様の部屋で寝て……ユト様もちゃんと言ってください」

「いや、そう言われても……」

 理不尽な文句である。

 ちゃんとユリにも専属で仕えているメイドが居るのだが、ソイツがまた特殊な性格をしている。

 なんか、完全に厨二病的なメイドだった。

「もう……私だってユリ様と添い寝したいのに!」

「ユキナ、毎回言うけど、本心を大声でさらけ出すのは止めて、しかも本人の目の前で」

「善処します、私はそういうのは気にしないタイプなのです」

 ごめん、俺そういうのめっちゃ気にするタイプだから。

 俺はため息を吐きながらユリを起こす。

「ユリ、ユリ……起きないともう一緒に寝てあげないよ」

「えっ、やだっ、起きるっ、だからそんなこと言わないでぇ!」

 ユリはバッと上半身を起こして、涙目で俺の方に泣きついてくる。

 さすがは俺のマイエンジェル、泣いてる姿もエンジェルだぜ。

 俺は優しく撫でる。

「はいはい、起きたからこれからも寝てあげるね」

「えへへ、兄さまだ~い好き!」

 ユリの満面の笑みが俺の理性を破壊しようとした。

 何とかギリギリ理性は保てたが……代償が出た。

「……ユキナ、ティッシュ」

「ハンカチなら」

 俺は鼻から出る血を拭き取りながら、ユリに着替えるように言う。

 ユリは気分が良く言うことを聞いてくれて、自室へと戻って行った。

 ……あれ。

「ねぇ……ユリがドアノブ回して部屋でてった……俺届かないのに」

「妹様に身長を抜かされたからと言って、悔しがってはいけませんよ」

「……うるさい」

 俺は自然と出てくる涙を抑え込み、着替え始める。

 着替えると言っても、ユキナに着替えさせてもらってるんだけどな。

 だって、俺が自分でやろうとしても止められてユキナに何故か怒られてしまう。

 そういうとこは気にしちゃ負けと俺は学んだ。




 ~屋敷 リビング~

「おはよう、母さん」

 俺はユキナに着替えさせてもらい、朝食、昼食、夜食を食べるリビングへと足を運ぶ。

 リビングはとても広く、家族四人と使用人58人で過ごすにはここの空間だけでも十分と言えるほどだ。

 テーブルも20メートルぐらいの縦長テーブルだ。

 俺は最初に目に入った母さんから挨拶を交わす。

「あら、おはようユト」

 母さんはそう言うと俺の方へと近づいて来る。

 そのまま俺をギュッと抱きしめ、頬擦りをする。

 正直、鬱陶しい。

「今日も可愛いわね~」

「母さん、毎日会ったら抱き着くのやめて」

「だって、ユトがちっちゃくて可愛いんだから、仕方ないじゃないの~」

 ちっちゃい……ちっちゃいのか。

 俺はその言葉を聞き、少し心にダメージが入る。

 俺はチビと言われるのが嫌いだ。

 人ってのは、自分より背が低いと何となく見下してしまう感情みたいなのがある。

 母さんとかこの屋敷の人からはそんな風には見られてはないけど、他の人たちから見られること間違いないだろう。

 ……チビで何が悪いんだよ!

「おはよう母様……あ!」

 ……oh、マイエンジェルの登場だ。

 俺はマイエンジェルの元へと向かうため、母さんを振りほどき、後ろへと振り向く。

 母さんから「ユトが反抗した~」という声が聞こえたが、今の俺には関係ない。

 振り向くと、そこには……天使がいた。

「母さま、めっ! 兄さまに抱き着いていいのは私だけ!」

 え、何その『めっ』は。

 超可愛いんですけど、俺のマイエンジェルの可愛さが上がってるんですけど。

 ユリはそのまま俺に抱きついてくる。

 身長差……あかん、考えるとまた心に傷を生むことになる。

「あらあら、ユリ……独り占めはダメよ!」

 母さんも大人気なく、俺に抱きついてくる。

 大人がなに子供と張り合ってるんだか。

 というか、結構苦しい。

「……そろそろ止めろ、二人とも」

 すると、テーブルに座って黙っていた父さんが、二人を静止させる。

「あら、アナタも混ざりたいのかしら?」

「父さまも兄さまに抱き着いちゃ、めっ!」

 いや、そろそろ朝飯食べたいだけだろ。

「ユトも苦しそうだ、それに……朝食を食べてないだろ」

 俺の心配をしてくれて……あ、最後に本音出てたわ。

 やっぱこのバカ父として失格なんじゃないのぉ?

「ん~、仕方ないわ……朝食後に決着を」

「「つけなくていい、つけなくていい」」

 俺と父の声がハモる。

 思ってることは一緒ってか。

 そして、ようやく朝食が食べられる俺である。














「………ここか」

 そんな楽しく食卓を囲む家族に。


 ……新たな来客が訪問しようとしていた。
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