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第7話 自分が現場でできること
集合時間より15分早く、メグミは現場入りした。
都内の雑居ビル。今日はコスプレ企画もののAV撮影。新人がひとりいる以外は、現場の空気を乱すような名前は入っていない。つまり、失敗はしたくないが、特別な熱意も要らない撮影現場である。
控室で衣装に着替え、髪を巻かれる間、メグミは他の女優たちと何気ない雑談を交わした。
挨拶だけで消えていく新人。SNS映え重視でメイクに注文をつける子。明らかに騙されて連れてこられたような子。
彼女たちが悪いわけじゃない。でも、そんな子たちは、撮影という言葉にはまるで無関心だった。
メグミは、段取りを聞いたとき点と点が自然に繋がる感覚があった──時間帯、衣装、AV的な抜きどころの配置、絡みの組み合わせ──そうして、ひとつの「画」ができあがる。
撮影前、新人が衣装に文句を言っていた。スタッフがちょっと困っていたので、メグミはそっと声をかけた。
「ココナちゃんの衣装の件、私と変えましょうか?」
「あっ、そう? ごめん、助かる」
スタッフから名前を呼ばれることはほとんどない。でも、それでもいい。メグミという名前はあっても、無数にいる企画女優のひとり。まずは仕事として、この場を円滑に進めること。それをメグミは心がけた。
撮影が始まると、あれだけ衣装に文句を言っていた新人のココナは、泣いてしまった。
胸を見せるまではよかったが、下を見せるところで手が止まる。感極まったのか、セリフは飛び、涙が止まらない。もう絡みを続けられる状況でもなくなり、男優は困り果て、撮影はぐだつく。
メグミは自分のパートを先に済ませてしまおうとスタッフに進言し、彼女の順番を後ろにずらした。
その日の自分のプレイは、正直普通だった。台本通りに淫魔のコスプレをし、セックスをした。
でも、普通で良かった。何人もの女優がいる現場で、新人のココナがいる中で、今日求められていたのは「主役」ではなく「つなぎ」だったのだから──。
撮影後、帰り支度をしていたとき、スタッフが声をかけてきた。
「順番、変わってくれてありがとう。新人がトラブったときも、声かけてくれて助かったよ」
その軽い言葉に、メグミの心は少しだけあたたかくなった。
目指していた、表現者としてじゃない。ただの脇役。でも、現場の一部になれる喜びを、メグミは確かに感じていた。
***
その日のスケジュールが終わるころ、スマホが震えた。メッセージではなく、電話の着信。画面にはマネージャーのムライの名前。嫌な予感はしない。大体こういうときは、現場の穴埋めだ。
「メグミさん。急で申し訳ないんだけど、ピンチヒッターお願いできないかな?」
「いいですよ。内容を教えてください」
条件を聞く前に、メグミの口は動いていた。
ムライは小さく息をついてから事情を話し始めた。
内容は企画乱行もの。役は主役の背景で絡むだけだが、ひとりが飛んだので、その代役である。ギャラは安い。扱いは雑──でも、想定の範囲内。
「すみません、こんなのばっかりで。メグミさんにはもっとちゃんとした仕事を依頼したいんですが……」
「ありがとうございます。助かります、呼んでもらえるだけで」
本心だった。安ギャラでも、現場は現場。動ける機会は、今のメグミにとっては生きる道に他ならない。
メグミはすぐに事務所に向かった。
撮影内容を説明するマネージャーのムライは、電話口より畏まっていた。
メグミが契約書にサインすると、ムライはぽつりと言葉をもらした。
「この業界ってさ、良くも悪くも受け皿みたいなところがあるんだ。目立ちたい子、承認されたい子、お金が欲しい子……、まあ、いろんな子がいる。で、事情がある中でも飯が食えるように、メーカーも事務所も仕事を回す」
ほんの少しの沈黙が流れた。ムライは言葉を探していた。メグミは小さく頷き、言葉を待った。
「でもね、メグミさんは違う。誰より考えて現場に立ってくれてる。仕事としてちゃんと向き合ってくれてる。だから、いつか、ちゃんとした仕事で、ちゃんと評価されてほしいんだ」
ムライの言葉は静かで、重みがあった。
メグミは、視線を膝に落とした。膝の上で指を組むくせは、学生時代から変わらない。
(……私だって、他の子と同じ。認められたいからここにいる)
大学生のころ、美大生なのに、絵が描けなくなった。作品講評の壁に並ぶのは、同級生の名前ばかり。
何も表現できないまま、自分の前で時計だけが進む──あの鈍い耳鳴りのあと、残ったのは、自分の身体と、汗と、呼吸の現実だけだった。
「……ありがとうございます。ムライさんがそう言ってくれるの、救いです」
「救いになれてるなら良かった」
ムライはまた言葉を探すように、ちょっとだけ微笑んだ。
メグミは、学生のとき、ムライが面接を担当してくれた当時を思い出した。
ちゃんと見てくれている人がいる──その事実に、メグミの心は励まされた。
***
後日、メグミはスタジオに入った。
薄暗い空き店舗を改装した撮影所。入口の外でタバコを吸う男優たちと、台車を押すスタッフ。湿った木の匂いと、照明の熱気。鼓動が、静かに速まる。
台本と進行表を受け取り、角の椅子に腰を下ろす。太いゴシック体で、主役の女優の名前が記されている。メグミの名前はない。
企画内容は、『本番のできるおっぱいパブ』。
ただし、巨乳の女の子たちが揃う中、メグミのDカップは一番小さい。
通りかかったADが、簡単な説明をする。
「メインの子の背中に光が入るから、こっちは柔らかめに。音量は控えめ、視線はカメラに寄せないで。動きはゆっくり、被りは絶対しないこと」
「了解です。男優さんは、誰と組みます?」
ADから紹介された男優は顔見知りだった。
メグミと同期で同い年の汁男優、ユータ。茶髪で細身の優男で、緊張すると前髪をいじる癖は2年前から変わらない。
「主役の邪魔すんなって言われてますけど、俺、絡みは初めてで。どうすればいいっすかね?」
「テンポは少し落として、呼吸合わせていこう。もしメインに被りそうなら、一拍置いて間を作る感じ」
「了解っす。目線は俺に固定?」
「うん。表情は抑えめで。肩だけ、少し動きを付けて。おっぱいパブって実際どんなところかわかんないけど、エッチな雰囲気作れるように、がんばろう」
少し緊張がほぐれたのか、ユータははにかむように笑った。その笑みを見て、メグミは今日の相手がユータでよかったと思った。
メグミ自身、どうすればいいかは手探りだった──でも、やることはわかっていた。
(目立たず、雑音にはならないように)
控え室の鏡で髪をまとめ直し、襟元の皺を伸ばす。衣装は薄いベビードール。肌の反射が暴れないよう、軽くフェイスパウダーを叩いた。
自分の顔は地味だ。でも、地味な顔は、画面の奥で嘘をつかない。
(絵を描けないなら、画の中で生きる)
撮影は、まさに「背景」だった。主役の女優が中央でポーズを取り、あくまで視線が集まるのは彼女。メグミとユータは、その背後で腰を振る。それだけ。
それでも、主役が本番に集中できるよう、メグミは目線を意図的に逸らし、音も立てず、だが確実に腰を動かす。その中でユータが戸惑えば、小さく背中に触れ、タイミングを合わせた。
(誰も見ていないような仕事でも、必ず誰かが見ている。今は、自分ができることをちゃんとやる)
耳の端で、主役の女優の吐息が跳ねている。
ソファでの対面座位。挿入されたユータのものが、コンドーム越しに震える。
ユータの呼吸が荒くなり、辛そうな顔をし始める。腰を抱き締める手の力が強くなる。額に汗がにじみ、絡み中にも関わらず、頻繁に前髪をいじっている。
メグミはユータの頬を撫でると、唇にそっとキスをし、一拍置いた。
まず、よだれをユータの口に、そして自分の乳首に垂らした。それから、ユータの口を乳首へと誘いつつ、ゆっくりと息を合わせるように、また動き出した。
(仕事は、目立たないことじゃない。目立たないことで、画を良くすることだ)
誰かに拍手されることはない。でも、流れが途切れなかったときの、現場の空気のわずかな緩み。スタッフの足が止まらないこと。カメラが迷わないこと。そういうものに、メグミは充足を感じた。
(大丈夫。私はここで、ちゃんと仕事ができてる)
次のカットに移る合図。メグミはユータと目線を合わせ、また一拍置いた。
都内の雑居ビル。今日はコスプレ企画もののAV撮影。新人がひとりいる以外は、現場の空気を乱すような名前は入っていない。つまり、失敗はしたくないが、特別な熱意も要らない撮影現場である。
控室で衣装に着替え、髪を巻かれる間、メグミは他の女優たちと何気ない雑談を交わした。
挨拶だけで消えていく新人。SNS映え重視でメイクに注文をつける子。明らかに騙されて連れてこられたような子。
彼女たちが悪いわけじゃない。でも、そんな子たちは、撮影という言葉にはまるで無関心だった。
メグミは、段取りを聞いたとき点と点が自然に繋がる感覚があった──時間帯、衣装、AV的な抜きどころの配置、絡みの組み合わせ──そうして、ひとつの「画」ができあがる。
撮影前、新人が衣装に文句を言っていた。スタッフがちょっと困っていたので、メグミはそっと声をかけた。
「ココナちゃんの衣装の件、私と変えましょうか?」
「あっ、そう? ごめん、助かる」
スタッフから名前を呼ばれることはほとんどない。でも、それでもいい。メグミという名前はあっても、無数にいる企画女優のひとり。まずは仕事として、この場を円滑に進めること。それをメグミは心がけた。
撮影が始まると、あれだけ衣装に文句を言っていた新人のココナは、泣いてしまった。
胸を見せるまではよかったが、下を見せるところで手が止まる。感極まったのか、セリフは飛び、涙が止まらない。もう絡みを続けられる状況でもなくなり、男優は困り果て、撮影はぐだつく。
メグミは自分のパートを先に済ませてしまおうとスタッフに進言し、彼女の順番を後ろにずらした。
その日の自分のプレイは、正直普通だった。台本通りに淫魔のコスプレをし、セックスをした。
でも、普通で良かった。何人もの女優がいる現場で、新人のココナがいる中で、今日求められていたのは「主役」ではなく「つなぎ」だったのだから──。
撮影後、帰り支度をしていたとき、スタッフが声をかけてきた。
「順番、変わってくれてありがとう。新人がトラブったときも、声かけてくれて助かったよ」
その軽い言葉に、メグミの心は少しだけあたたかくなった。
目指していた、表現者としてじゃない。ただの脇役。でも、現場の一部になれる喜びを、メグミは確かに感じていた。
***
その日のスケジュールが終わるころ、スマホが震えた。メッセージではなく、電話の着信。画面にはマネージャーのムライの名前。嫌な予感はしない。大体こういうときは、現場の穴埋めだ。
「メグミさん。急で申し訳ないんだけど、ピンチヒッターお願いできないかな?」
「いいですよ。内容を教えてください」
条件を聞く前に、メグミの口は動いていた。
ムライは小さく息をついてから事情を話し始めた。
内容は企画乱行もの。役は主役の背景で絡むだけだが、ひとりが飛んだので、その代役である。ギャラは安い。扱いは雑──でも、想定の範囲内。
「すみません、こんなのばっかりで。メグミさんにはもっとちゃんとした仕事を依頼したいんですが……」
「ありがとうございます。助かります、呼んでもらえるだけで」
本心だった。安ギャラでも、現場は現場。動ける機会は、今のメグミにとっては生きる道に他ならない。
メグミはすぐに事務所に向かった。
撮影内容を説明するマネージャーのムライは、電話口より畏まっていた。
メグミが契約書にサインすると、ムライはぽつりと言葉をもらした。
「この業界ってさ、良くも悪くも受け皿みたいなところがあるんだ。目立ちたい子、承認されたい子、お金が欲しい子……、まあ、いろんな子がいる。で、事情がある中でも飯が食えるように、メーカーも事務所も仕事を回す」
ほんの少しの沈黙が流れた。ムライは言葉を探していた。メグミは小さく頷き、言葉を待った。
「でもね、メグミさんは違う。誰より考えて現場に立ってくれてる。仕事としてちゃんと向き合ってくれてる。だから、いつか、ちゃんとした仕事で、ちゃんと評価されてほしいんだ」
ムライの言葉は静かで、重みがあった。
メグミは、視線を膝に落とした。膝の上で指を組むくせは、学生時代から変わらない。
(……私だって、他の子と同じ。認められたいからここにいる)
大学生のころ、美大生なのに、絵が描けなくなった。作品講評の壁に並ぶのは、同級生の名前ばかり。
何も表現できないまま、自分の前で時計だけが進む──あの鈍い耳鳴りのあと、残ったのは、自分の身体と、汗と、呼吸の現実だけだった。
「……ありがとうございます。ムライさんがそう言ってくれるの、救いです」
「救いになれてるなら良かった」
ムライはまた言葉を探すように、ちょっとだけ微笑んだ。
メグミは、学生のとき、ムライが面接を担当してくれた当時を思い出した。
ちゃんと見てくれている人がいる──その事実に、メグミの心は励まされた。
***
後日、メグミはスタジオに入った。
薄暗い空き店舗を改装した撮影所。入口の外でタバコを吸う男優たちと、台車を押すスタッフ。湿った木の匂いと、照明の熱気。鼓動が、静かに速まる。
台本と進行表を受け取り、角の椅子に腰を下ろす。太いゴシック体で、主役の女優の名前が記されている。メグミの名前はない。
企画内容は、『本番のできるおっぱいパブ』。
ただし、巨乳の女の子たちが揃う中、メグミのDカップは一番小さい。
通りかかったADが、簡単な説明をする。
「メインの子の背中に光が入るから、こっちは柔らかめに。音量は控えめ、視線はカメラに寄せないで。動きはゆっくり、被りは絶対しないこと」
「了解です。男優さんは、誰と組みます?」
ADから紹介された男優は顔見知りだった。
メグミと同期で同い年の汁男優、ユータ。茶髪で細身の優男で、緊張すると前髪をいじる癖は2年前から変わらない。
「主役の邪魔すんなって言われてますけど、俺、絡みは初めてで。どうすればいいっすかね?」
「テンポは少し落として、呼吸合わせていこう。もしメインに被りそうなら、一拍置いて間を作る感じ」
「了解っす。目線は俺に固定?」
「うん。表情は抑えめで。肩だけ、少し動きを付けて。おっぱいパブって実際どんなところかわかんないけど、エッチな雰囲気作れるように、がんばろう」
少し緊張がほぐれたのか、ユータははにかむように笑った。その笑みを見て、メグミは今日の相手がユータでよかったと思った。
メグミ自身、どうすればいいかは手探りだった──でも、やることはわかっていた。
(目立たず、雑音にはならないように)
控え室の鏡で髪をまとめ直し、襟元の皺を伸ばす。衣装は薄いベビードール。肌の反射が暴れないよう、軽くフェイスパウダーを叩いた。
自分の顔は地味だ。でも、地味な顔は、画面の奥で嘘をつかない。
(絵を描けないなら、画の中で生きる)
撮影は、まさに「背景」だった。主役の女優が中央でポーズを取り、あくまで視線が集まるのは彼女。メグミとユータは、その背後で腰を振る。それだけ。
それでも、主役が本番に集中できるよう、メグミは目線を意図的に逸らし、音も立てず、だが確実に腰を動かす。その中でユータが戸惑えば、小さく背中に触れ、タイミングを合わせた。
(誰も見ていないような仕事でも、必ず誰かが見ている。今は、自分ができることをちゃんとやる)
耳の端で、主役の女優の吐息が跳ねている。
ソファでの対面座位。挿入されたユータのものが、コンドーム越しに震える。
ユータの呼吸が荒くなり、辛そうな顔をし始める。腰を抱き締める手の力が強くなる。額に汗がにじみ、絡み中にも関わらず、頻繁に前髪をいじっている。
メグミはユータの頬を撫でると、唇にそっとキスをし、一拍置いた。
まず、よだれをユータの口に、そして自分の乳首に垂らした。それから、ユータの口を乳首へと誘いつつ、ゆっくりと息を合わせるように、また動き出した。
(仕事は、目立たないことじゃない。目立たないことで、画を良くすることだ)
誰かに拍手されることはない。でも、流れが途切れなかったときの、現場の空気のわずかな緩み。スタッフの足が止まらないこと。カメラが迷わないこと。そういうものに、メグミは充足を感じた。
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