駆け出せ、メグミ 〜裸の性、裸の生き様〜

寸陳ハウスのオカア・ハン

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第14話 選ばれし者たち

 昼食後の午後。
 焼けた砂がまだ熱を持ち、蝉の声のようにうるさい波音が耳にまとわりついていた。

 大乱交の混沌が引いていく現場で、スタッフが影を踏むようにしてメンバーたちの間を歩き、選ばれた10人の女優たちの名前を読み上げていく。
 最初に呼ばれたヒカリが、「はい」と返事をする。その後の呼ばれた瞬間の反応は様々だ。歓声をあげる者もいれば、気まずそうにうつむく者もいる。

「……〇〇メグミさん」

 名前を呼ばれたとき、返事は自然に出た。周囲がざわつく。拍手でもため息でもなく、ただただ反応が飛び交っているような空気。
 メグミは、胸の奥がぼんやりと熱くなるのを感じていた。

 隣で、カナの名前も呼ばれた。
 驚いたように、小さく「あ……」と声を漏らすカナが、メグミの手を掴む。信じられないといった顔をしている。
 メグミは、振り返って微笑むと、無意識のうちに、その手を軽く握り返していた。


***


 午後の撮影は、女優二人一組。組み合わせはスタッフの独断と偏見による即席だが、メグミとカナは自然な流れでペアになっていた。

 最初に撮影する組は、ジュリアとヒカリの黒ギャル二強ペア。
 台本らしきものは一応ある。けれど、きちんと機能するものが与えられているのは、彼女たちまでだった。

 2番手のハルカの組も、同時並行で撮影が始まる。そちらはエロ一本槍の暴走系のようで、現場からは、笑い声と悲鳴と喘ぎ声がごちゃまぜになった阿鼻叫喚が聞こえてくる。

「私たち、どうする?」
 次の撮影までの待ち時間、テントの下の控えスペースに戻ったカナが、タオルを巻いたままメグミに尋ねた。

「……こういうのに慣れてない、清楚系女子でいこう。無理して合コン来たら、チャラ男ふたりにナンパされて……最初は嫌がってたけど、快楽堕ちして、最後は淫乱白ギャルになっちゃってイェーイ、みたいな」

「あ~、うん……。けど、いきなりだし、できるかな……」

「大丈夫。地味な私たちだからできる。ってか、それしかない」
 戸惑うカナに、メグミは迷わず言った。

 すぐに、台本の余白に段取りを書き込み、カナと一緒に簡単なブロッキングを確認する。現場のスタッフや一緒に撮影予定の男優ふたりも、チラチラとこちらの様子を窺っている。
「じゃあ、私、最初はマジで嫌がるね」
「うん、でも途中からスイッチ入る感じで」
「おっけー。……あ、絡み始まったあと、水着は着たまま? それとも脱いで?」
「いきなり全部は見せない。最初のうちは、脱がされても、必死に隠そうとして。ただ、乳輪とかアンダーヘアとか、パーツはちょっとずつチラ見せ。それで、乱れていくのに合わせて、どんどんズラしてく感じ。ちゃんと見せるタイミングは最後に作ろう」
 メグミの言葉に、カナはこくりと頷いた。そうして心の準備を整えながら、ふたりは出番を待った。


***


 ジュリアとヒカリの組の撮影が終わり、いよいよメグミたちの撮影が始まる。

 メグミのエンジンは、最初からアクセル全開でいけるほど、あたたまっていた。

 運がいいことに、男優のひとりは午前の撮影でも絡んだユータ。メグミがまだ素人だったころからの、彼もまだ汁男優だったころからの顔見知り。何度か絡み経験もあり、息の合わせ方はわかる。

 海の家。男優ふたりが距離を詰めてくる。
 チャラい男たちのナンパに怯える清楚系――その「地味さ」こそが、今回の武器だ。

 途中、男優がふたりがかりで、逃げようとするカナの腕を掴む。

「やめてくださいっ……!」

 カナの迫真の台詞に、一瞬間が空く。そこにメグミが身体を寄せて、カナと男優の間に割って入ることで、流れが生まれた。

 ユータともうひとりの男優が、メグミの前後を塞ぐ。抗いがたい男たちの圧。まずは、メグミがそれを受け止める。
 ユータの手がメグミの胸に触れる。チャラいけど、無理強いはしない求め方。静かな波のように押し寄せる男たちの欲望。今、見せるのは「混乱」と「わずかな快感」。

「……お願い、もう……やめて……」
 泣いているようで、しかし吐息を含んだ声。触れられ、ほころんでいくメグミの表情を見ながら、もうひとりの男優の手も、カナの身体をまさぐり始める。

 カナの動きを常に目の端で拾い、男優の手の動きやテンションも読みながら、テンポとリズムを微調整していく。

 絡み始めれば台詞は少ない。だが、その頬の火照りと、わずかな吐息の変化が、堕ちた演技を作る。

 水着をズラされるたび、カナは必死に隠そうととする。しかし、その白い柔肌は、ゆっくりと露わになっていく。
「……やぁ……うそ、気持ちよくなっちゃう……」
 息を詰めるような喘ぎ声が漏れる。水着の上から割れ目を這う男優の指先。導かれるまま、カナの瞳がとろんと緩む。はみ出した陰毛の毛先は愛液で濡れている。

 それを横目に、メグミもまた、男優とカメラにゆっくりと身体を開いていく。

「私も、したい……の、かも……」

 メグミは上目遣いで涙ぐんだ。そして、ユータの股間におずおずと触れた。

 「快楽に屈服する演技」ではなく、「自分の欲を認める演技」──清楚の仮面を脱ぎ捨て、欲望を求めるメスの匂いをまとっていくように。そんな変化に身を任せ、メグミとカナは男たちと絡み合った。

 股を開き、膣口マンコを開き、男たちの指や舌を受け入れる。
 よだれが、ジェルが、愛液が、股下から垂れる。
「いや……いやなのに、膣内なかぁ、いい……」
 手マンされ、舐め回され、Vラインの陰毛まで濡らしたカナが、大きなおしりを突き出しながらガクガクと痙攣する。
 メグミも、控えめに、でも自ら腰を振る。ユータの手マンにいきみながら、潮を吹く。
「あ゛っ、ぐぅぅっ、ん゛をぁぁっ……っ! あ゛ぁっ、ぐっ、うヲ゛っ、ぐぅぅぅっ……!」
 他人の見よう見真似でやった、初めての潮吹き。できたという達成感に浸る中で、ユータの追いクンニ。気の緩みからか、無意識におしっこが漏れる。
「あは……♡ おまんこ……びちゃびちゃになっちゃった……」
 出すだけ出したあと、メグミはカメラの前で再度、下半身を見せつけた。本気汁で濡れた黒い毛先は、太陽を浴びてテラテラと光った。

 海パンをずらし、男優のものを自らくわえる。
 メグミはカメラに視線を送りながら、じっくりと味わうように。カナは頭を掴まれ、ガシガシと揺らされながら。ふたりで、じゅぽじゅぽと音を立てて、よだれと我慢汁で泡立てながら、しごく。

 あとは、挿入──ガチガチに勃起した肉の棒を迎える。ぬるりと入ってくる瞬間、身体の内側から熱くなる感覚が脳まで届き、全身を震わせる。

 ズンズンと奥を突かれる。激しいピストン。身体の内と外でぶつかり合う性欲。
 熱に浮かされるまま、水着をはだけ、裸になる。隠していた乳首も、陰毛も、アナルも、全てを白日のもとに晒す。
「あっ、ぁっ、あ゛っ……んぐっ、あっ、あぁっ……!」
 止まらないピストンに、カナが鈍い声を出しながら、トぶ。
 メグミは自ら求めるように跨ると、上の口と下の口の両方を使い、よだれや汁でユータをびちゃびちゃに濡らした。
「んっ、んぁっ、ん゛っ……んんっ、んごっ、んぁぁんっ……」
 腰を振るたびに潰れた声が喉から漏れ、ぐちゃぐちゃと響く水音に重なって、いやらしい音を奏でた。

 焼ける太陽の下で燃え盛るセックス――そして、膣奥おくに射精され、フィニッシュ。

「はーい、地味系白ギャルふたりの淫乱メスマンコに中出しでーす」

 最後、ふたり並んで男優に抱きかかえられ、ふわふわに緩みきった全身をカメラに抜かれるとき、メグミはふと、「私たち、最後までちゃんとやれたんだ」と思った。

「はぁ、はぁ……おちんちん、気持ちよかったです……。ビーチでエッチするの、ハマっちゃうかも……♡」

 ぐったりとしたカナの横で、メグミは息も絶え絶えに、最後の決めセリフを口にした。
 膣内なかから垂れる精液混じりの愛液には、確かな達成感がにじんでいた。


***


 午後の撮影が終わると、夕日の中で「翌日の撮影に進むメンバー」の発表があった。

 メグミは、再び名前を呼ばれた。カナもいた。
 残ったのは、ジュリア、ヒカリ、ナオ、ハルカ。計6人。

 一方で、選ばれなかった4人の女優たちの表情は様々だった。中でも、ヒカリの友人のチナは、スタッフに食ってかかっていた。

「なんで? なんで私じゃないの?」
 その声がかすかに風に乗って、遠巻きに見ていたメグミたちの耳にも届く。

「どう見ても、あの子よりは……」
 別の女優が、誰かに耳打ちしているのが見えた。視線の先にはカナがいる。

 ヒカリが会話の輪に駆け寄り、チナをなだめていた。チナは涙ぐんでいた。その背中を、メグミは直視できなかった。何かを勝ち取ったのではなく、ただ残ってしまった感覚だけがあった。

 バスが来る。
 選ばれなかった女優たちが、もうさっさと帰りたそうなシュンカを先頭に、ひとりずつ荷物を持って乗り込んでいく。
 別れの言葉も、手を振る者もほとんどいない。まるで、最初からいなかったように。

 カナがぽつりと呟いた。

「なんで……私なんかが残ったんだろうね?」

 メグミは、しばらく黙って、海を見ていた。風は湿って、少しだけ冷たくなっていた。

「わかんない。でも……明日も頑張ろう」

 言いながら、自分の手が少しだけ震えていることにメグミは気づいた。それでも、カナはその言葉にこくんと頷き、微笑んだ。

 その笑顔が、メグミにとって、今は唯一の答えのように思えた。
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