圏ガク!!

はなッぱち

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蜜月

準備万端!!

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 先輩は扉を開け、頭をぶつけないよう少ししゃがんで室内に入る。空気が暖かく、廊下との温度差に少し驚いた。

「うお、マジか」

 ゆっくり背中から下ろされたオレを出迎えたのは、狭い部屋のど真ん中に敷かれた布団だった。ヤル気を見せつけられたようで、ちょっとたじろぐ。

 普段は一切触らないカーテンが引かれ、窓が見えないせいか、開放感とは無縁でやたらと胸がドキドキしてくる。

 先輩のヤル気に答え、即行で脱衣を決めれば完璧なのだが、久し振りの雰囲気にオレは若干戸惑っていた。

「えーっと……あれ、それ何?」

 せっかく布団を用意してくれているのだから、押し倒すくらいはオレから仕掛けるべきかと、頭で考えていると視界に見慣れぬ物を見つけてしまう。

「これって電気で動くストーブ?」

 やたらレトロな作りの物体を指さすと、先輩は申し訳なさそうに笑って頷く。

「小さいけど、ないよりマシかと思ってな。倉庫から拝借してきた」

 二つのワット数が対称に設置されたダイヤル式のスイッチ一つしかない代物で、年季を感じさせる佇まいだったが、先輩がダイヤルを捻ると数秒で目に見えて赤くなった。部屋が暖かかったのは、こいつのおかげかと冷えた手足をあぶっていると「何か体が温まる飲み物でも淹れるか」と先輩が暢気な事を言い出してしまった。

「セイシュン、ごめんな」

 このままではゆるい空気に流されて、ウトウトしてしまう! そんな危機感を抱き、思い切って脱ぐかと気合いを入れた直後、先輩が背中越しに謝ってきた。

「放課後、補習になっちまって……」

 オレは服を脱がず布団に座り、大人しく先輩を待つ事にした。

「別にいいよ。先輩が必死でやってるなら、オレもワガママ言わない」

 教師に諭されるまで、散々文句を言いまくったのを反省はしているのだ。

「オレもちょっと勉強見ようか?」

 教科書一式が全て揃った、先輩のクソ真面目な机を見ながら、ふとした思いつきを提案する。

「俺がやってるのは、セイシュンがまだ習ってない所だからな」

 笑いながら言う先輩に、オレは阿呆みたいにやっていた事を思いだし、苦笑しながら答える。

「多分、大丈夫だと思うよ。圏ガクへの進学が早々に決まってたから暇でさ。高校の内容は一通り予習したんだ」

 受験ではなく、卒業を目的とした内容なら、オレでもフォローしてやれると思ったのだが、先輩はバッとこちらを振り返り「嫌だ」と即答しやがった。

 そりゃあオレに教わるより、不良と言えど教師である連中に教わる方がいいだろうが、即答が気に入らなくて「なんでだよ」と返してしまう。

「セイシュンを疑ってる訳じゃあないぞ。後輩に自分の面倒を見させるなんて……絶対に嫌なだけだ」

 沽券に関わると言いたげな顔を見せられて「贅沢言うな!」と言い返しそうになるのを我慢した。

 喧嘩しに来たんじゃあない。湧き上がる気持ちを抑え、頭を切り換える。お茶かコーヒーを用意している先輩の元へ四つん這いで近寄り、その背中に抱きついた。

「ん、どうした? 寒いのか?」

 先輩の背中は、オレが乗っていたせいか、温かくて気持ちがよかった。頷けば「毛布もあるから使え」と言われたが、オレはそうじゃあないと教えてやる。

「毛布より先輩がいい」

 首に腕を回し、体重を使って先輩を引き寄せ、二人で布団に倒れ込む。咄嗟に庇ってくれたのか、オレが先輩を押し倒すような形になっていた。

「湯冷めでもしたか? ちょっと待ってろ、すぐに温かい茶を淹れてやるからな」

 オレの言葉を額面通りにしか受け取らない先輩は、尚更必要だとお茶を用意しようとしやがるので、至近距離で言ってやる。

「あのさ、オレずっと考えてたんだよね。かなり焦らされた分、今日はオレが先輩を掘ってもいいかなって」

 唇の先を軽く触れさせると、困ったような顔で先輩は笑う。先輩の手が頭に伸ばされ、引き寄せられる。柔らかく額がぶつかり、オレは自然と目を閉じた。

「お前は俺に身を任せてたらいいんだ。何も考えず、横になってろ」

 素直に返事をすると、途中で中断させられる。目の代わりに開いた口を塞がれた。

 完全にのし掛かっているのに、先輩はオレをどけようともせず、オレが望むままに舌先で答えてくれた。興奮しているのか、口の中に唾液が溢れ、それを流し込むように舌を絡める。

 自分で言い出した事だが、今日オレが先輩を掘るのは無理そうだった。急激に体温が上がった体はごく一部を除いて、芯まで茹で上がったように力が入らなかった。

 体だけでなく思考まで蕩け、いつの間にか布団の上に仰向けに寝転がっていた。目を開けると、オレを見下ろす先輩と目が合う。

「……ふく、脱ごうか?」

 肌に触れる布団の冷たさにも興奮を覚える。おぼつかない手でシャツを胸元まで上げると、冷たい手が触れたせいか、もう乳首が主張していて笑えた。

「布団が温まるまで脱がなくていい。着たままでも十分やれるから」

「やれるって、なにを?」

 何をされるんだと期待の目で見つめると、先輩は「んーなんだ、マッサージ……みたいな」と歯切れの悪く呟いた。そして、オレを抱えるように座り、首筋に甘噛みをした。
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